ホクレアが教えてくれること
2019/05/10
Aloha!
今月よりハワイ、オアフ島からも発信します。
第1回は
先日、オアフ島ワイキキのアラワイ運河に係留された
ホクレア号について。
(上の写真提供:Hokulea Crew / Polynesian Voyaging Society)
ハワイ人の先祖はタヒチから太平洋を
4000キロもカヌーで渡ってきたポリネシアンとされている。
彼らポリネシアンは海図もコンパスもない中で、
島々を行き交うためにカヌーを使った。
食料を探したり、新たな島を見つけたり。
カヌーを使った移動が生活の可能性を無限に広げていき、
行き着いた先がこのハワイだったのだ。
磁石などあるわけもない。
航海では太陽、星、月、波といったものだけを頼りに進む航海術、
スターナビゲーションを用いて海を渡っていたという。
常に星が見える晴天であるわけもない。
悪天の中でも波、風、雲、時には海を渡る鳥たち。
あらゆる自然環境を感じながら
自分の位置や目的地を把握した。
その、昔ながらの外洋カヌーを再現したのがホクレア号だ。
1975年に復元された。
Built in Honolulu,
Hawaiʻi and launched on March 8, 1975
Has sailed over 140,000 nautical miles across the Pacific
Length: 62 feet
Width: 20 feet
Hōkūleʻa is the Hawaiian name for the star Arcturus
全長はおよそ19メートル。
船体が2つあるカタマランのような双胴船。
ホクレア号にモーターはなく
帆をあげて風を受けて進む。
偉大なる功績から、ホクレアは
ハワイ州の宝として第一号に正式に認められた。
ハワイの人々にとって、ホクレアは心。
守護アイコンなのだ。
そのホクレア号を操るひとりがナイノア・トンプソン。
(ここまでの写真提供:Hokulea Crew / Polynesian Voyaging Society)
そのナイノアとは
一時期、
声をかけると気さくに、そして僕の瞳をじっと見つめながら
優しく話しかけてくれた。
いつも色あせたTシャツにロールアップしたチノパンツ、
驚いたのが両足とも右足をはいていたこと。
聞けば、
理由は、
「まだ履けるんだから、捨ててはもったいないだろう?」
飾らない人柄そのものだった。
そのホクレア
一度だけ、乗せてもらったことがある。
ワイマナロ沖に係留された際、幸運にも乗せてもらうチャンスを得たのだった。
ワイマナロのアウトリガーカヌークラブの面々が
2017年、日本を含む世界航海を終え
いるホクレアがアラモアナに戻ってきたときは
写真のように
無数のアウトリガーカヌーやSUPが歓迎。
アラモアナビーチパークのマジックアイランドには
その姿を目に焼き付けようと5万人以上が押し寄せた。
動画はその時の様子。
いかに歓待されたか、ハワイの人々にとってホクレアが宝なのか、
を垣間見ることができるだろう。
ぼくたちはいま、
人間がもつ五感や能力を研ぎ澄まして生きる必要があることを、
ホクレアは教えてくれるのだった。