Ai Iwane's Kipuka & Bon-Uta
2019/10/22Aloha
日本人写真家の岩根 愛さんが昨年上梓した写真集「KIPUKA」をご存知だろうか。
岩根さんは、ハワイと福島。
2つの土地で踊る人々の姿を結び付けた映画『盆唄』(2018年公開)を企画、プロデュース。
そして写真集『KIPUKA』(青幻舎)では第44回木村伊兵衛写真賞を受賞した
注目の写真家だ。
その愛さんのトークショーがホノルルのハワイ日本文化センターであったので行ってみた。
愛さんがハワイで日系人を撮り始めたのは、
2006年、サザンオールスターズの撮影で初めてオアフ島を訪れたその足で、飛んだハワイ島。
ハマクア浄土院というお寺の裏にあった朽ち果てたお墓を見たことによる。
150年前に遠く日本に家族を残し、一攫千金を夢見て横浜から船に乗り移り住んだ
元年者たちの墓だったそうだ。
名前も読めないようなボロボロになった墓を見て、衝撃を受けて以来
愛さんは何度も何度もハワイを訪れて、移民たちを撮り続けた。
きっかけは、日系人の中に息づく先祖への想いやハワイという土地の持つ力のすごさ、
先祖の魂が感じられる場所があちこちに点在し、残っているからだった。
さらに、遠く福島から海を渡って来た「フクシマオンド」という盆踊りが縁で
以来、福島も撮り続けている。
その辺りは映画『盆唄』(テレコムスタッフ、中江裕二監督作品)に詳しい。
福島からは途絶えてしまうかもしれない故郷や文化、希望を未来に託すことを教えてもらった。
過去と未来が連なって、それがかけがえのないものだと知りました。
映画『盆唄』はまだDVDにはなっていない。
しかし、日本でもこれから上映の機会はあると思う。
映画を見て、写真集を手にとって、あなたは何を感じるだろう。
ハワイに移り住んだ先達たち日系移民の想像を絶する苦労、
一方、現代日本で継続している、
福島の人たちの伝統芸能を未来に残すための苦悩や熱い思いを
知ることができる作品。
ぜひ、ご覧いただきたい。
Aloha