UPDATE : 2023.08.23

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#ART & CULTURE

My Roots is…
-ミュージシャンたちのスタイルのルーツを紐解く- vol.04 xiangyu

Photo :Takao okb

Text:Ryo Tajima

セックス・ピストルズ、カート・コバーンにはじまり、現代ではカニエ・ウエストやリアーナ、ブラック・ピンク、日本ではドラゴンアッシュのKJやKing Gnuなど。その時代を象徴する偉大なミュージシャンは、みんなファッションアイコンだ。

 

本連載では、この理論に基づき現代のファッションアイコン、そして次世代のファッションアイコンとなるミュージシャンを発掘し、彼らのファッション的ルーツを掘り下げていく。

 

第4回目は、アフリカのGqomをベースにトライバルなサウンドにユニークで遊びの効いた歌詞と癖になるメロディで楽しませてくれる音楽を追求するxiangyu。音楽の他に、ファッションブランドPERMINUTEのデザイナー半澤慶樹と主宰する川のごみから衣装を創作するプロジェクト“RIVERSIDE STORY”を立ち上げたり、映画に出演したり、さらに書籍を出したりと、自由奔放に活動する彼女。もちろん、そのファッションセンスも独特。そんな彼女にファッションのルーツの話しを聞いた。

ストリートスナップで得た経験がルーツ

ー撮影のときからTシャツが気になっているんですが、何のTシャツなんですか?

 

これは最近買ったばかりのお気に入りなんですよ。マクセル(maxell)のTシャツなんですけど、こういう企業ロゴ系のTシャツを集めるのがすごく好きなんです。特にこれは身巾が細身でタイトに着れるのがいいんです。

ー企業ロゴ系のTシャツってたくさんありますけど、好きになるものの系統はあるんですか?

 

どういう企業なのかっていうのはあまり関係がないんですけど、パロディものだったり企画として作られた“本物”じゃない洋服は選ばないですね。あくまでも、そのカンパニーが何らかの目的で作ったであろうものをコレクションしています。あとはオリンピックやFIFAワールドカップだとか、過去に開催されたスポーツ大会などのスーベニアグッズも好きで集めちゃいますね。

 

ーということは、けっこう古着好きでらっしゃる?

 

そうですね。持っている洋服は大半が古着ってくらいです。コーディネートを考えるときは、例えば今日だったらトップスがTシャツでラフな感じなんで、パンツをスラックスにしてカチッとさせた組み合わせにしたり、アクセ合わせで少し大人っぽくしたり、全体のバランスを考えてミックスコーデにしています。

ーどこか90’s感や00年代初期の雰囲気も着こなしから感じられます。xiangyuさんがファッションを意識するようになったのは、いつ頃、どういうきっかけからなんですか?

 

高校生の頃に体験したストリートファッションがルーツなんです。ちょうど、『FRUiTS』や『TUNE』などの雑誌が全盛期でしたし、私も原宿でストリートスナップの声がけをしていたんですよ。

ーえっ、スナップをやっていたんですか?

 

そうなんです。自分でオシャレな人を見つけて声をかけて。当時、mixiなどを介してコミュニティができていて、とあるファッションサークルに属しながら、そこで出会った人とチームを組んでイベントをやるような活動を16歳のときにやっていたんですよ。それで着ている洋服をスナップする人から聞いていくうちに、良い古着屋の情報をもらったりして、古着好きになっていったんです。あのときの経験は今の自分のファッション観に影響を与えていると思います。

ーストリートスナップで声をかけていた人は、xiangyuさんが好きなファッションをしていた人だと思うのですが、どういう格好の人が気になっていたんですか?

 

何系とも形容しがたいファッションをしている人がすごく好きでしたね。当時、ファッション誌でいくと『Zipper』の勢いもすごくて読者モデルさんのファッションが参考とされていました。そんな時代の中で、自分らしく独自のミックススタイルをしている人が超カッコいいと思っていて、そこから自分もどんどんミックスしていく感じになっていった気がします。

意味がないものが存在できる世の中であってほしい

ー何よりもオリジナリティを重視していく方向へいったわけですね。何か映画やドラマなどから影響を受けたりというのはありませんでしたか?

 

あまり映画などを観て、特定の時代のファッションが好きになったという経験はないんですけど、やっぱり古着好きなんで『ストレンジャー・シングス 未知の世界』や『グーニーズ』に出てくるファッションはいいなぁって思います。あと、特に好きなのは映画『エレファント』でDVDも持っているくらいなんですけど、そこに出てくる高校生のカジュアルなファッションは好きだなって思い返してみても感じます。

ー今後、個人的にやってみたいことや夢などはありますか?

 

自分が面白いと信じているものがもっと世の中に広まってほしいと考えていて、そのためにモノ作りもしているので実現させたいですね。私が面白いと思うものが、ものすごく小さいことだったりするんですよ。

 

ー小さいことというのは?

 

例えば、今だったら街にある落とし物が面白いなって思っていて、それをテーマに曲も作ったり。でも、きっとそれって意味がないしどうでもいいことなんだと、自分でも思うんですよね。それでも私は意味がないことやどうでもいいことがちゃんと存在している世の中であってほしいと思うから。それを自分のクリエイションに昇華させて形にしていきたいと考えています。

ー意味がないものに存在してほしいと思うのはなぜですか?

 

そうじゃなくちゃ本当に疲れてしまうと思うんです。意味がないものが存在できない世の中なんて面白くないし、私には無理だなって。だから、そうじゃない世の中にしていきたいというのが私の願いで、その姿勢をモノ作りへ向けて今後も変わらずにやっていきたいと思っています。

PROFILE

  • xiangyu

    2018年9月からライブ活動開始。 日本の女性ソロアーティスト。読み方はシャンユー。 名前は本名が由来となっている。
    Gqom(ゴム)をベースにした楽曲でミステリアスなミュージックビデオも公開中。2019年、5月22日に初のEP『はじめての○○図鑑』をリリース。23年5月3日にはgimgigamをサウンドプロデュースに迎え新曲「入れ歯」をリリース。
    また、音楽のみならずxiangyuとファッションブランドPERMINUTEのデザイナー半澤慶樹で主宰する川のごみから衣装を創作するプロジェクト“RIVERSIDE STORY”を立ち上げ、渋谷川編と題し2022年9月に初の個展を恵比寿KATAにて開催。2022年7月に上映の映画『ほとぼりメルトサウンズ』では、xiangyu自身が主演・主題歌を担当した。また、同年11月には初の書籍「ときどき寿」を小学館から発売している。

    8月31日に自主企画イベント第三弾『bump! vol.3 -return of the TOKKURI-』をLIQUIDROOMの2階KATAで開催予定。徳利、TOMMY(BOY)が出演予定。

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