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UPDATE : 2023.01.19

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#ART & CULTURE

アジカン後藤さんの、イヤーマフのススメ。

Photo:Shingo Goya

Edit / Text:Keisuke Kimura

クラブやフェスで大きな音を浴びすぎて、耳鳴りがしたり音の聞こえが悪くなった経験はありませんか? 大人でもそうなのだから、小さい子供たちにとってはなおのこと。そこで活躍するのが、耳を守ってくれるイヤーマフです。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんも、自身のライブでは子供たちのためにイヤーマフの貸し出しを行い、私たちフリークス ストアも昨年からオリジナルイヤーマフを作り、日本ミュージックフェスティバル協会が野外フェスで行っている無料貸し出しの活動に協力しています。

 

では、なぜイヤーマフが大切なのか、それがもたらすメリットとは?気になるアレコレを後藤さんに聞きました。

「うるさい」は我慢しなくていい。

ー後藤さんは今年、フェスには結構参加されましたか?

 

後藤:そんなに多くないですけど、SUMMER SONICとかRISING SUN ROCK FESTIVALとか、ほかにいくつかという感じです。

 

ーお客さんは戻ってきている印象でしょうか?

 

後藤:普通にお客さんは入っていたと思います。やっぱり反動もあるんじゃないかな。だけど、普段のコンサートであったり、ライブハウスの客入りは、いまだにきつい感じはありますね。特に平日に開催されるものとかって、みんな苦戦しているんじゃないかな。

 

ーあと一歩という感じですね。

 

後藤:コンサートの数自体は戻ってきているので、あとはオーディエンスが戻って来ればって感じだと思います。だけど家族がいて、毎日働いて、コロナでっていう状況を考えると、コンサートを控えようかなって気持ちになるのも当然だとは思うんですけどね。僕らぐらいの年代、30代、40代とかが意外と足が重いのかも。

ー一方で、子供を連れて、音楽を聞きに来る人は増えているんでしょうか?

 

後藤:昔に比べたら多いですよね。

 

ー若い頃に後藤さんであったり、アジカンを聞いていた人が大人になっているわけなので、子供も増えますよね。

 

後藤:そう思います。

 

ーそうしたライブ会場で、後藤さんはいま、イヤーマフを貸出していると。

 

後藤:そうです。

 

ーイヤーマフって以前からあったものなんでしょうか?

後藤:ここ10年ぐらいじゃないですかね。そもそも、ぼくが10代、20代の頃なんて、子供のことなんて気にしてなかったような気もしますし。自分も子供だったし(笑)。でも、30歳も過ぎてくると、ある種の社会的な父性というか、母性みたいなものが芽生えてきて。同時にお客さんたちの年齢も上がってきて、子連れの人も増えるなかで、イヤーマフっていうものがあることを知ったんです。

 

ーライブで、貸出を決めたきっかけはなんだったんですか?

 

後藤:何年か前に、ライブハウスツアーをやったときに、前方のスピーカー近くに子供がいるっていう話になったんです。でも、そこは大人でもうるさいくらいの場所で、 楽屋で「これはライブできないでしょ」とメンバーと話したんです。

 

ーなるほど。

 

後藤:でも、それは1か所だけじゃなくて、いろんな子供が会場にはいたんです。これからは、これが当たり前の風景になるんだと思ったときに、やっぱり子供の耳は大人が守るべきだと思って貸し出しをはじめたんです。

後藤:ただ、そのツアーのときは、もちろん用意なんてないから、近くの家電量販店に行って探したり、ぼくとかマネージャーが持っていたヘッドホンを貸したりしましたよ。

 

ー後藤さんのヘッドホンを、イヤーマフ代わりにしたお客さんがいたと。

 

後藤:そうそう。最前列にいた親に「こんなところで子供が聞いてたら耳がおかしくなるから、これを貸すから子供にさせろ」って直接言いました(笑)。

 

ーかっこいいです(笑)。

 

後藤:そこからは、小さい子供連れには声をかけてもらうようにしたし、事前に告知もしたりして。

 

ー実際に、爆音を浴びると耳はおかしくなるものですか?

 

後藤:その前後でどういう変化がその人に起きたかっていうのは、正直わからないんです。鬱とかもそうじゃないですか。メンタルの調子も、本人にしかわからない。そういう意味では、予防することを前提にやっていくしかないですよね。

 

それと小さな子供は自分の意思でうるさいって言えないんです。爆音の中で寝てたりする子もいるけど、あれって防衛反応だと思うんです。泣くか、寝るかみたいな。

 

ーたしかに、寝てる子も見かけますよね。

 

後藤:とはいえ、参加しやすい音楽の現場も増えているので。それこそフェスとかもですけど、1個持っていたら、安心は安心だと思うんです。

 

ー後藤さんも、爆音を浴びすぎて耳がおかしくなった経験はありますか??

 

後藤:リハーサルを何時間かやっただけでも、 その日はもう音源のミックスチェックとか絶対できないんですよ。聞こえ方が普段と明らかに変わってしまうから。

 

だからイヤープラグだったり、イヤーマフはとてもいいと思いますよ。友達のライブを見に行ったときも「うるさいな」って思うことがあるんです(笑)。そういうときに耳につけると、逆にいろんな音が聞こえたりするんです。

 

ー逆に聞こえる、というのは意外ですね。

 

後藤:もしイヤーマフがなければ、耳を指で塞いでみてください。ベースが何をやっているかとかが、聞こえるようになるので。

 

ー子供だけではなく、大人にもおすすめだと。

 

後藤:そうですね。あからさまなのが嫌であれば、イヤープラグでもいいと思います。

 

ーフリークス ストアも、いまフェスなどでイヤーマフの貸し出しに協力しています。

 

後藤:そういうブランドが手がければセンスは良くなるし「イヤーマフを持ってるのはスマートだよね」みたいな空気も自然に作っていけますよね。逆に、啓蒙みたいなものになってくると、やっぱり響かないですよ。上からのつもりなんてないけど「はい、みんなイヤーマフしてください」みたいになると、うぜえなって思っちゃうじゃないですか(笑)。ちゃんとデザインされていて、かわいければ「これした方がいいよ」っていうのも簡単に言えるしね。ぜひ今後も続けていって欲しいです。

 

ーちなみに、年齢を重ねてきて、後藤さん自身の音楽の趣味も変化してきていますか?

 

後藤:あまりうるさいのは聞かなくなってきましたかね。

 

ー具体的に、最近楽しいと思ったアーティストがいれば教えてください。

後藤:日本だったら岡田拓郎が面白いです。彼の今年のアルバムは素晴らしかったし、アメリカのフォーク音楽なんかも聴きます。アレックス・Gとか、アンディー・シャウフとかね。この間来日していたブレイク・ミルズとかもミックスの仕方が変で、ジャック・ジョンソンの新しいアルバムも彼がプロデュースしていましたけど、いままでのジャック・ジョンソンの音じゃないみたい。やっぱりずっと、そういう面白い音像を探しちゃいますね。

PROFILE

  • 後藤 正文

    1976年静岡県生まれ。

    ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル&ギター。ほとんどの楽曲の作詞・作曲を手がけている。朝日新聞の文化芸能面ではコラム連載「後藤正文の朝からロック」を担当。読書家としても知られ、最近のおすすめは若尾裕さんの『親のための新しい音楽の教科書』。

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