この世には、“FREAK(フリーク)” と呼ばれる人種が数多く存在している。たとえばそれは、芸術にまつわる奥深き造詣であったり、飲食にまつわる揺るぎない美学であったり、寝食忘れてレコードのディグを続ける胆力であったり。それぞれの世界で、各々の色濃く強い “こだわり” を持ち合わせる人々のことである。
ここでは、そんな驚くべき “FREAK(フリーク)” たちが生きる世界の一片を紹介してゆく。本稿のなかにおいて、きっと全てを語り切ることは不可能かもしれないが、その端々に煌めく熱狂の雫をぜひとも楽しんでいただきたい。
今回紹介するのは池尻大橋に店を構える、“すし屋っぽくないすし屋”を自称する『寿し処花笑み』。「町寿司」をルーツに、その親しみやすさと自由なDNAを受け継ぎつつ、本格的な江戸前熟成鮨を楽しむことができる。一品料理は魚だけでなく肉料理も。愛犬との入店も可で、犬用のメニューもあり、伝統とオリジナリティを融合した、枠にとらわれない食の楽しみ方を提案している。
「寿司だけでなく、和食、フレンチ鉄板、など17歳から料理人としてやってきて、2023年にオープンしたんですけど、コンセプトどうというよりほんと勢いでしたね。町寿司と高級店のあいだくらいがいいかなっていうイメージはありましたけど。
町寿司だってけっこう値段はするし、高級店の寿司と聞くと行く前に力が入るじゃないですか。うちも決して安くはないど、ちょっといい居酒屋に行くくらいの気構えで、本格的な寿司を楽しんでもらいたいんですよね。」
と店主の尾崎氏は話す。
そんな『寿し処花笑み』の魅力を伝えてくれるナビゲーターはYuna。広告塔としても裏方スタッフとしても、美容やファッション業界に携わり活躍する才女であり、仲間内では無類のすし好きとしても知られている。
「自分へのご褒美となると、決まってお寿司にするくらいほんとうに大好きで、だから今日は呼んでもらえて光栄です。よろしくお願いします!」
Yuna「確かに、お寿司屋さんなんですけど、っぽくないっていうか。グラスハンガーとかあまり見ないですし、和と洋が混ざった感じ。お寿司屋さんでワンちゃんOKなのも、かなり珍しくないですか?」
尾崎「希少だと思います。私自身が犬好きっていうのもありますけど、地域の人たちがふらっと入れる店にしたいと考えたときに、ペット同伴可の需要はけっこうあるんですよね。じゃあ、さっそく料理出していきますね」
Yuna「はい。めっちゃ楽しみです。お任せのコースで、お酒もお願いします!」
寿司の前の一品料理は、『もずくとあおさのお吸い物』、『初鰹の刺身、行者ニンニク醤油漬け』、『かますの燻製とデコポンの醤油漬け』、『あさりと焼きなすの茶碗蒸し』、『稚鮎と鯛の白子とそら豆の天ぷら』の5品。
Yuna「お吸い物、さっぱり!磯の香りもいい感じなんですけど、この若干の酸味がまた食欲をそそりますね」
尾崎「最初はさっぱりした口になてもらってスタートしてほしくて、感じていただいた酸味は自家製のポン酢ですね」
Yuna「行者にんにくは聞いたことあるけど、食べたことはなくて。うん、ねぎっぽいけど、確かににんにくっぽい香りが。初鰹、なんかカッコイイですね。食べたら身が締まって強くなりそう(笑)」
尾崎「秋の戻り鰹より今の時期の鰹のほうがざっぱりしてるんよね」
Yuna「次はかます!燻製されていて味や香りに奥行きがあって、あと添えられているものもほんとうにおいしくて」
尾崎「実山椒はいわゆる痺れ系のもの違って、とピリッともするんですけど香りが楽しめるんですよね」
Yuna「デコポンと醤油っていう組み合わせも、こんなに合うんですね」
尾崎「醤油と柑橘、ようはポン酢みたいなイメージですね。ここまでの口直しっていう意味合いもあります」
Yuna「そして茶碗蒸し、昔ながらの懐かしさもありつつこの感じ味わったことないかも。上の層がトロっとしてるんですね」
尾崎「焼きなすを潰してソースにしています。茶碗蒸しにソース、そういうちょっとした発想を大切していますね」
Yuna「天ぷらは薄めの衣で素材が生きていますね。私、そら豆が大好きでしょちゅう食べるんですけど、この天ぷら、いちばん好きかも」
そしていよいよお寿司へ。
尾崎「まずは水だこです。なかに梅が少し入っています」
Yuna「タコはよく食べるんですけど、‟なんで?”ってくらい柔らかくてプルプル!」
尾崎「スライスして3層にしています。グニョグニョしなくなるんですよね」
Yuna「次は、鯵!大好きです」
尾崎「今日はどんちっち鯵、これも時期もので脂が美味しいんですよね」
Yuna「わ、とろけてすぐなくなった。しつこくなくて、でもしっかり食べたっていう印象」
尾崎「最初に下ろしてから塩と水とお酢を軽く洗って、そのあと空気に触れさせないようにして2日間寝かせました」
Yuna「ほたては、めっちゃ甘い!で、食感とか舌触りが独特ですね」
尾崎「かなり脱水してるんですよ。固くはならないですけど、干物感が出て味わいもテクスチャーも、手を入れていない生のものとは別ものになるんですよね」
Yuna「なるほど。次は鯛ですね」
尾崎「甘鯛の昆布締めです」
Yuna「これも寝かせてるんですか?ちょっと粘り気があって、それでいてプリプリ。美味しい味が口の中にしっかり残りますね。次も鯛だ!」
尾崎「こちらは勝浦の金目鯛。金目鯛は千葉がいちばんですね」
Yuna「そしてまぐろ。やっぱ待ってましたって、思っちゃいますよね。おいしすぎて、言葉がでなくなってきました。レポートしなきゃいけないんですけどね。」
尾崎「そうですね。素材本来のおいしさを作り手としては、おいしそうな表情とか“おいしい”の一言以上、のほうが嬉しかったりしますけどね」
Yuna「うん、赤身のおいしさっていう感じがします」
尾崎「あくまでも素材の魅力を引き立てるための漬け、というイメージです。次はこちら、のどぐろです。小型ののどぐろなんですけど、脂もしっかりあるんですよね。お肉でも子羊とか仔牛のほうがおいしかったりするじゃないですか。そういう感じ」
Yuna「そして、なんて美しい海老!これはもう、ストレートですね。どんな工夫があるんですか?」
尾崎「ボイルして、塩とみりんを醤油を足しただけの水に漬け込む。それをもう1回温めなおしてるんですけど、すこし醤油が入ることで海老の味の立ち方が変わるんですよね」
Yuna「うにといくら、器も可愛い!」
尾崎「これ、食器じゃないんですよ」
Yuna「え、なんだろ?キャンドル入れ?」
尾崎「正解!若いときにお洒落の男子部屋にしようと頑張ったときに出会いました(笑)。最後は巻物です。わらびですね」
Yuna「魚を一通り楽しんだあとで、山菜の香りとか粘り、めっちゃいいですね
からのだし巻き卵。もう泣いちゃう(笑)。
今日は楽しかったです今度はプライベートでわんちゃんも連れて来ますね。和食とかお寿司って、ペット可のイメージぜんぜんないんですけど、ほんとに大丈夫なんですか?
尾崎「はい、お待ちしています。ペット同伴可の割合って、和食になるとグンと減りますよね。許可しない理由はわかるけど、許可することがダメな意味もわからないというか。とにかくこのあたりに住む方々が、生活導線の流れで来てもらえるような間口は持っていたいなと」
Yuna「じゃあまた来るんで、覚えていてくださいね!」
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