UPDATE : 2025.03.06

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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.04

Text:Taishi Iwami

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルナタティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

Sextile「Freak Eyes」

待望の初来日公演まで1カ月を切りました。前回の記事でも紹介した、LA発を拠点にするSextileのニューシングルが最高です。1970年代後半のパンクを経た1980年代、その中でもモノトーンのベールを纏ったダークなポストパンク/インダストリアル/EBMからの影響が色濃く出ていたパンデミック前。そこから活動休止期間を経て1990年代や近年のレイブカルチャーとも共鳴するダンスミュージックに舵を切ったアルバム『Push』の勢いをさらに推し進めています。

歪んだシンセベースのループとシンプルな4つ打ちによる土台の強度は圧倒的。そこにThe Rapturteの「House of Jealous Lovers」やLiqud Liquidの「Optimo」といったダンスパンクのスーパーアンセムを思わせるパーカッションや、ハイなボーカルパフォーマンスなどがライドする。これぞダンスフロアのための曲。今後のライブがますます楽しみに。

The Muder Capital『Blindness』

いつの時代も良質なバンドを輩出しているアイルランドはダブリンですが、近年はとりわけ熱い。その代表格と言えば、昨年夏にリリースしたアルバム『Romance』で押しも押されぬUKのトップバンドに上り詰めたFontaines D.C.。ほかにもU2のBonoを父に持つElijsh Hewson率いるメロィアスなロックバンドInhaler、グランジやガレージパンク譲りの熱と爆発力のあるフックでねじ伏せるSprints、スリリングなパンクを鳴らすMhaolら、カッコいいバンドが目白押し。中でも今もっとも注目のバンドがの要素The Murder Capital。先日リリースされたばかりのこちらの3rdアルバムも素晴らしい。

時代の荒波を映し出すようなノイジーなサウンドやリリック。エモーショナルなメロディ、そしてパワフルなビート。それらの要素が、現代的な精密さと比較すると明らかに肉体的な生々しさを重視したプロダクションによって混ざり合う。すなわち、バンドならではの魅力をもってカオスとポップを共存させ、絶大な求心力を獲得したアルバム。彼らも3月27日、代官山SPACE ODDにて初来日公演が決定しています。

Chloe Slater『Love Me Please』

マンチェスターを拠点にするシンガーソングライターChole SlaterのニューEP。サウンドからもオフィシャルのInstagramアカウントからも、90年代のオルタナティブロックやインディーポップへの愛が伝わってきます。そのあたりのサウンドをルーツとして前面に出しているアーティストやバンドは山ほどいるレッドオーシャンの中でも、彼女は飛び抜けた存在。

<アメリカンドリームには騙されない>と構造に対してシンプルにノーを突き付けるパンクな強さと、しなやかな美しさとともに独自のポップ道を突き進む。ルーツがわかりやすく曲も明快なだけに一定のノスタルジーを感じさせつつ、てらうことも媚びることもなく今の時代と共鳴するセンスとヒットポテンシャルから目が離せません。

先に紹介したSextile、そして個々のメンバーの活躍は目立っていましたがユニットとしては7年ぶりとなるFactory Floorの新曲、Marie DavidsonがSoulwaxのレーベルからリリースしたアルバム『City of Clowns』よりY.A.A.MのSoulwaxリミックス。冒頭の3曲は近年再燃してきている2000年代ダンスパンク味のある曲を。そこからSnapped Ankles、Goatの新曲はアーシーなサイケデリックロックや民族音楽に根差しながら現代的なグルーヴを追求するスタイル。Heartworms、Model/Actriz、The Muder Capitalといったエッジ―なインディ/オルナタティブロックも良作/両曲がたくさんあり厳選しました。

 

ラスト2曲はオーセンティックな香りを。一つは来日も決まり、日本のインディーロックファンの間で今もっとも期待が高まるHosegirlの2ndアルバム『Phonetics On and On』から。そして最近もっともリピートしている、The Lemon TwigsのBrian D’Addarioのソロデビュー曲「Till The Morning」。The Lemon Twigs同様、流行なんてお構いなしに、古き良きポップ道の真ん中を行くさすがのナンバー。ならば「これ、ソロじゃなくてThe Lemon Twigsでよくないか」と思い調べてみると、アルバムの曲はほとんどバンドメンバーである弟のMIchaelと作ったのだそう。バンドとの差別化というよりは、いろんな制作パターンを試したいのでしょう。その意欲に乾杯。

 

こんな感じで毎月新曲を紹介しているプレイリストですが、今回はとりわけ悩みました。これだから掘るのは止められない。そして夜はパーティへ。そんな生活をオススメする連載。来月は私たちSUPERFUZZの手掛けるSextileの来日公演もあり。音の鳴る現場でもお会いできますように。

INFORMATION

  • 『Sextile in Japan』

    日程:2025年4月3日(木)

    会場:CIRCUS Tokyo

    開場:19時

    料金:前売り 5,500円(+ 1ドリンク代700円)

    Live:Sextile / bed

    DJ:SUPERFUZZ DJs

    <チケット情報/問い合わせ先>

    https://superfuzz2019.com/

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

     10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといったロックミュージックのディグに明け暮れるように。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、DJを始める。2019年にオルタナティブミュージックパーティ『SUPERFUZZ』を立ち上げた。

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