クリエイティブディレクター/アートディレクター/グラフィックデザイナーとして、音楽やファッションなどさまざまな分野で活躍する2BOYが、今話したい人物を訪れる対談企画「2BOYのくりえいてぃぶ研究所」がスタート。
記念すべき第1回目はNovelbrightのギタリスト・山田海斗と待ち合わせ、お酒の席で知り合った2人らしくとあるバーへ。2BOYが手掛けたNovelbrightのアートワークについて語り合う。

――2BOYさんと海斗さんの出会いから、教えてもらえますか?
2BOY:出会いは渋谷のclub Malcolm、共通の仲間がオーガナイズする『Mixing』というパーティーですね。そこで連絡先を聞かれて。僕、DJも10年以上やってるんですけど、初対面の男性とLINE交換することってほとんどないので、よく覚えてますね。
海斗:オーガナイザーの一人のyukiくんに紹介してもらったんですけど、なんかいろいろやってるみたいだから、大人的な打算で仲良くしといたほうがいいかなって。冗談です(笑)。そんなに深い話はしなかったんですけど、すごく楽しくてここで終わる関係にはしたくないなと思って、連絡先を聞きました。
2BOY:あれがちょうど2年くらい前か。僕はNovelbrightも海斗くんのことも一方的に知っていて興味もあったんで、嬉しかったですね。そこからタイミングが合えば飲みに行く、みたいな関係になって、去年の2月とか、1週間くらい連続で一緒に飲んだよね?
海斗:なんやかんやで毎日一緒にいて(笑)。4日目くらいからお互いにこれはいけるとこまでいこうみたいな感じになって、「明日も行くっしょ」って。

――何なんですか、そのグルーヴは(笑)
2BOY:謎ですよね。そんな感じで仲良くしていて、2023年の秋くらいに酔いも進んでお互い熱くなってきた時に、僕が「Novelbrightのアートワークって素敵だと思うけど、<自分ならこうやりたい>っていうのがある」っていう話をしたら、海斗くんも「僕だってやってもらいたいですよ」と返してきて、すぐに他のメンバーやマネージャーに話してくれたんだよね。それで、一緒にやれることになったんです。
――その始まりが、アルバム『CIRCUS』のアートワークですか?
2BOY:そうです。「やれても最初は配信シングルとかかな?」と思っていたら、まさかのフィジカルもリリースされるアルバムで。いきなり重いやつきたなと(笑)。海斗くん何も言わないんですよ。「ジャケットやってもらうことになったから」って。

海斗:すべて全力だからシングルよりアルバムのほうが重いっていう感覚がないので。
2BOY:その感覚はもちろんわかるんだけど、シングルは1曲のイメージをビジュアライズするもので、アルバムは集まった個性を象徴するビジュアルを生まなければいけない。バンドにとってはそこまでの活動の集大成でもあると思うし、という意味での重さだね。
――今おっしゃった、2BOYさんならできることとは?
2BOY:Novelbrightのことは前から知っていて、最初は僕もそうだったんですけど、バラード曲のイメージが強い人も結構いると思うんです。でもライブをみたときに出音の一発目から、めちゃくちゃロックバンドだしライブバンドだなって。音源を聴いたときの精度の高さも素晴らしいけど、この荒々しさこそがNovelbrightの圧倒的な本質なんだと思ったときに、ここを伝えたいなって。1分1秒、命を削るように演奏している姿に心撃たれました。
海斗:それはほんとうにそうで。僕らもバラードのイメージや爽やかなバンドという見られ方が嫌なわけではなく、でも自分たちが何者かと聞かれたら、2BOYさんが言ってくれたような文脈でロックバンドだって答える。ライブをみたうえで、その部分を汲み取ってくれたことが嬉しかったですね。

――実際に2BOYさんから出てきたものに対する感想は?
海斗:2BOYさんに手掛けてもらった作品も、それより前の作品も、僕らは心からカッコいいと思ったからリリースしているわけですけど、今までとの違いは、ファンの方々からの反応が大きく増えたことですね。たぶん、2BOYさんの言ったことがちゃんと表現に現れていて、共感できたからだと思うんです。
2BOY:それ大きく書いといてください(笑)。海斗くんにも僕を紹介した責任があるもんね。
海斗:僕はあまり関係を壊したくないから、プライベートで仲のいい人とあまり仕事はしたくないタイプなんですけど、2BOYの熱を感じて「この人だったら」と思ってメンバーに紹介してよかったです。
2BOY:でも悩みというか、まだ模索中な部分もあって。『CIRCUS』から始まって、以降もいくつかの配信シングルを手掛けさせてもらっている中で、作品や楽曲の魅力を伝えるためのビジュアライズに注力することによって、アー写だったりファッションだったりライブの感じだったりとの乖離が生まれているかもしれないというか、もっとやれることがあるんじゃないかと思っているんです。


――ストイックですね。
2BOY:個のデザインとしてベストアンサーは出して当然で、そこは自信を持ってやっているんですけど、もっと彼らのほかのセクションに関わる人たちの仕事とのシナジーを生めるんじゃないかと。トータルで「これがNovelbrightです」っていう強いもの。それだけのエッジやカッコよさを持っているバンドだと思うので。
海斗:ありがたいですね。まさにそういうところが2BOYさんと仕事をしている意味なんです。と言うのも、一人のデザイナーというよりは、Novelbrightというチームの一員であるという当事者意識がめちゃくちゃ強い。だからファンの方々の反応も大きいんだと思います。

2BOY:僕は高校の時にバンドを組んでいて、オリジナル曲を作ってライブもしていたんですけど、結局卒業とともに自然消滅してしまった。やりきってないままバンドが終わっちゃったんで、どこかバンドに対する思いが残っていて。だから、一人だろうがグループだろうが、ジャンルは何であろうが、音楽の道を志してデビューまで至っている時点で、その頃の僕よりも圧倒的にすごいし、リスペクトがある。その中でNovelbrightは、僕がやれなかったバンドでしっかり結果を残しているからこそ、という強い気持ちで参加している部分はあるのかも。
海斗:ちょっとおせっかいですけどね(笑)
2BOY:おい(笑)。直近の仕事、「ワインディングロード」のジャケットはどうだった?

海斗:自分のキャリアの中でいちばん好きなジャケットかも。僕の好きな洋楽の感じ。ワインディングロード=曲がりくねった道のところが、NovelbrightのNとBになっているんですけど、こういいアイデアってベタと言えばベタだし、一歩間違うとダサくなるところが絶妙に粋なはからいになっていて。
2BOY:えー!うれし!アートワークについて、難航することもあるって聞いてたんだけど、自分に関してはここまでどの作品もけっこうスムーズだったじゃない?だから逆に不安で質問してみた(笑)
海斗:難航というより、今までは僕らのイメージをデザイナーに伝えて修正していくっていうやり方だったから、やりとりが多くて。でも2BOYさんは自分からどんどん提案してくれる。僕らはメンバー一人ひとりこだわりは強いけど、人の意見はちゃんと聞いて自分たちの視野を広げたいっていうスタンスだから、最初からいろいろ言ってもらって「こういう考え方があるんだ」って、納得したうえで進めるやり方が合っているのかも。僕らだけじゃたどり着けないところに連れて行ってもらえる。

――これから先、やってみたいことは?
2BOY:「たどり着かなかったところに連れて行ってもらえる」と言ってくれたことを真っすぐ受け止めて、これからもそうしていきたいと思います。今もすでに進行中の仕事があるので、楽しみにしていてください。
海斗:4月に出すシングルのジャケットも手掛けてもらっているんです。実はリリース自体の予定がなかったところに、いい曲ができたからこれはツアーの前に出そうって。歌詞も、ボーカルが今思っていることをそのまま言葉にしたもので、今まででいちばん完成が早かったかもしれない。今の自分たちの想いがリアルに乗っためちゃくちゃいい曲なんで、アートワークも含め、期待していてください。
2BOY:じゃ、とりあえず乾杯しよっか(笑)。
