すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに沸かせる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターによる連載『SUPERFUZZ MUSIC』。“オルナタティブ”をテーマに、いつもはタイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースを紹介していますが、こちらは特別編。4月3日(木)、我々SUPERFUZZがLAからSextileを招き、渋谷CIRCUS TOKYOにて開催した『Sextile in JAPAN』で感じたことをお届けします。
Sextileの初来日が現実に
私がSextileに出会ったのは2017年。彼らが2ndアルバム『Albert Living』をリリースしたタイミングでした。ダークで鋭利なポストパンク/エレクトロニックパンクに魅了され、高速電撃ハンマービート曲「One Of These」をDJでもヘビープレイするように。彼らはちょうど私たちがSUPERFUZZを立ち上げた2019年に、EP『3』をリリース。そこで前作以上の大きな衝撃を受けました。収録曲「DISCO」は、その名のとおりダンスミュージック/クラブカルチャーにアプローチ。オーディエンスが乱舞するダンスフロアが見えるような曲で、以降SUPERFUZZでは今日まで鳴らさなかった夜はないアンセムに。
そして、「いつかSextileを日本に招いてパーティーがしたい」という夢が芽生えた頃に、コロナ禍が。バンドは活動休止、しばらく音沙汰がなかったのですが、2023年に再登場。サウンド、ファッション、アートワーク、マーチャンダイズなどあらゆる面において、パンクの荒々しさやDIY感覚が90年代レイヴカルチャーを通過したようなスタイルを強く打ち出し、新たな姿で復活を遂げる。そして私は2024年の秋に彼らの公式インスタグラムアカウントにDMを送り、6年越しの想いが実現しました。
いよいよ世界を揺らす前夜
対バンは東京を拠点に活動するbed。2024年末にLAからAutomaticを招いた際も彼らにオファーしました(ちなみにSextileとAutomaticのメンバーは友達同士)。bedを紹介するときにはいつも書くのですが、彼らの音楽はさまざまなバックグラウンドのミックス、融合、というよりはもっと根本的な創造という言葉がしっくりくる。ロック、パンク、ハウスやテクノ、その各レイヤーからはさまざまな音楽的背景が見えてくる。しかしトータルのサウンドやパフォーマンスが何なのか、と言われたらbed以外の何ものでもない。オーディエンスを巻き込んだ凄まじいエネルギーが現実を破壊し、新たな時代が生まれる。すべての人々が現象の当事者となり、空間のパフォーマーとなる。その景色は唯一無二。
bedはいよいよ本格的に世界へ。UKのインディーミュージックに特化したメディアSo Youngに大きく取り上げられ、そのタイミングでAutomaticとFat Dog、そして今回のSextileの来日公演と立て続けに海外アーティストとの共演を果たした。そして、4月9日にはドラマ『HEART ATTACK』のオープニングテーマ、「Kare Wa 3.0」をリリース。Spotifyではグローバル規模のメガプレリスト『Shock Wave』や『Fresh Finds Rock』などにも選出されている。そして、5月半ばからはいよいよUKツアーへ。
それらのすべてはDIY発で起こった。私も含めbedの起こす現象を目の当たりにした、その噂を聞きつけて彼らのことを掘り下げたメディアやプロモーターたちからのオファーによって実現したもの。bedはUKから戻ったあと、6月19日には代官山UNITにて、自主企画パーティー『INSOMNIA』を開催する。私のここまでの絶賛を読んで、大げさだと思う人こそ、一度足を運んでほしい。
エネルギーを発し続けるフロア
Sextileは私たちがオファーする前から、「もっともライブをしたい国は」というファンからの問いに「Japan!」と答えていた。まさに彼らにとっても待望のステージが幕を開ける。フロアに降りる階段まで溢れるオーディエンスの大歓声とともにメンバーが登場。先述した「Disco」のリミックスバージョンからのスタートでフロアは一気にヒートする。シンセとギター、ボーカルのBrady、ギターとボーカルのMelissa、サポートドラムのLiaはスタンディングスタイル。ステージを駆け巡るBradyとMelissa、マシンビートと共鳴するLiaのタフで生々しいドラム、音も視覚的な刺激も圧倒的だ。
続いては2月にリリースされたばかりの新曲「Freak Eyes」。終盤に披露した「S is For」、ラストのその段階で未発表の「Resist」もそうだが、5月2日にリリースされたばかりのアルバム『yes, please』からの先行曲が、過去の人気曲以上の盛り上がりをみせ、ライブのハイライトとなっていたことが印象的だった。
1970年代パンクや80年代のディスコパンクが、90年代レイヴカルチャーや00年代のエレクトロクラッシュなどへのリスペクトをモダナイズした、2020年代だからこそのスマイリーダンスミュージックが、上限知らずで爆発を繰り返す。オーディエンスのダンスも止まらない。ステージとフロアのシナジーにより、永久機関のごとくエネルギーを発し続ける空間。期待値以上、ほんとうに呼んでよかった。
止まらないパーティー
この日のDJは私とMUSASHI、KEIGOのSUPERFUZZレギュラーメンバーと、今回のSextile来日にともない、私たちとともにパーティーの制作クルーとしても動いてくれたVoxとBLUEMEW。MUSASHIはロックのフィーリングを念頭に多彩なダンスミュージック、KEIGOはディスコパンクやニューウェーブ、インディーロック、VOXはバウンシーなダンスミュージックを軸にフロアを盛り上げ、BLUEMEWはまさに今を感じさせるベースミュージックをプレイする。Sextileのライブが終わった22時以降もパーティーは続き23時過ぎまで。あらためて、参加してくださった皆様に心からのリスペクトを。
この『Sextile in Japan』、そして4月5日に開催し、Sextileにもbedにも続けて出演してもらった渋谷clubasiaでのSUPERFUZZ6周年パーティーを終えて、KEIGOが自身のインスタグラムに投稿した言葉。
「フロアのすべての人が主役だった夜。アウトサイダーだった私を壊して、すべての境界を越えてひとつにしてくれる、そんな音楽が、やっぱり大好きだって思った」
そんな誰かの心に刻まれる夜を目指して、私たちSUPERFUZZはこの先も動いていきますので、今後ともよろしくお願いします。
INFORMATION
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SUPERFUZZ
Ailternative, Indie &Raw Disco Party
日程:2025年5月17日土曜日
会場:渋谷club Malcolm
オープン:23時30分
入場料:2000円(1ドリンク含む)
DJ:KEIGO / MUSASHI / TAISHI IWAMI





