UPDATE : 2025.05.14

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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.6

Text:Taishi Iwami

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルナタティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

Model/Actriz『Pirouette』

2000年代のポストパンクリバイバルやダンスパンクのグルーヴ、ときに鋭くときに粗暴なノイズやインダストリアルサウンド、シアトリカルなボーカルパフォーマンスなどが入り混ざって時代や感情のカオスを映し出す。デビューアルバム『Dogsbody』の衝撃から約2年、ブルックリンを拠点にするModel/Actrizがセカンドアルバムをリリース。

テクノの抑圧されたミニマリズムに感じるスリル、ハウスやディスコの解放感。持ち前のノイズとともにダンスミュージックの髄を極めにいくサウンド/ビートの大枠は、前作と地続きでアップデートされている。スポークンスタイル、シャウト、歌メロを操るCole Hadenのボーカルパフォーマンスは、メロディアスな方向に軸足を置いたことで儚さが増す。そのサウンドと声のコントラストに感じる美しさの中で、いつまでも踊っていたい。

The Raveonettes 『PE’AHI II』

耳から脳を刺激するフィードバックノイズの中で甘美なメロディが光る。Jesus And Mary Chainが1985年にリリースしたアルバム『Psychocandy』の世界観を本家以上に突き詰め、オリジナルなシグネチャーを獲得したデンマークはコペンハーゲン発のデュオ、The Raveonettesのニューアルバム。内容的には2014年にリリースされた『Pe’ahi』の続編とのこと。

オールディーズ、パンク、ロックンロールにトリップホップなど背景は多彩。ノイズと明快なビートとメロディと、やることはいたってシンプル。そのスタンスを貫きながら20年以が経った。しかし、ある種の様式美的な世界感でありながら輝きは褪せることなく、過去の音楽的な古さも感じさせず、二人に影響を受けたであろう後続のアーティストも数知れず。中でもラストの「ULRIKKE」が素晴らしい。マッドチェスター譲りの16ビートとそれを塗りつぶす轟音のひしめき合い。その中で踊る私たちを称えるような歌の織り成す世界観にハマります。

Sextile『yes, please.』

4月に私たちSUPERFUZZの主催で初来日を果たした、LAを拠点に活動する二人組、Sextile。この連載でも来日前から連続で紹介してきましたが、ついにニューアルバムが出ました。エレクトロパンク、ポストパンクやEBM、1980年代のUKに漂う陰鬱やダークサイドの色が強かった2010年代。そこからパンデミックでの活動休止を経て、2023年にリリースしたアルバム『Push』では、レイヴカルチャーやクラブカルチャーに大きく接近する。その路線をさらに推進させパワーも幅も深みも増した内容に。

紹介する収録曲「Woman Respond to Bass」のミュージックビデオは、今回の来日時に渋谷新宿で撮影。監督もスタッフも、お尻を振っている人たちも、街を練り歩いている集団も、みんな私たちの仲間で、私もチラッと出ています。この曲のようなアシッドなエレクトロパンクあり、ハウス/ディスコ、ダンスパンク、セカンドサマーオブラブ~マッドチェスター、ビッグビートにトランス。パンクのインディペンデントなマインドが、ダンスミュージックカルチャーと交わってきた文脈への愛のうえで、2025年を生きるパーソナリティとモダナイズのセンスが躍動する。そんな今これを聴いて踊らないでどうする、なアルバムです。

今回はインディー/オルタナロックに振り切ったプレイリストを。そのくらいカッコいい新曲がたくさん。しかも注目のニューアーティストがどんどん出てきていて高まります。

 

中でもオススメなのは、テキサスはオースティン発のデュオJane Leo。2023年2月にリリースしたセルフタイトルデビューアルバム期は、The  KillsやArctic MonkeysといったUKのビッグバンドを引き合いに出したメディアからの評価もありましたが、確かに。ダークサイドからのクールで鋭いパフォーマンスとロックなギターから感じるポテンシャルは、じゅうぶんその評価に値する。そこに1980年代エレクトロ/シンセポップの要素も入った新しい感覚のスタイルです。

 

ブライトンのThe New Eyesもこれから上がってきそうな予感。見た目の感じから日本でもおなじみ、The Last Dinner Partyに続く存在かと思いきや……、トラディショナルなフォークの香りにパンクをぶち込んで遊ぶ。それでいてポップで、これから先が楽しみです。

 

私たちSUPERFUZZは、Sextileの来日を終えて落ち着いたと見せかけてまだまだこれから。毎月のレギュラーパーティほか、新たに海外アーティストとも話を進めています。また遠くないうちにお知らせする予定です。まずは5月17日、深夜渋谷で会いましょう。

INFORMATION

  • SUPERFUZZ

    Ailternative, Indie &Raw Disco Party

     

    日程:2025年5月17日土曜日

    会場:渋谷club Malcolm

    オープン:23時30分

    入場料:2000円(1ドリンク含む)

    DJ:KEIGO / MUSASHI / TAISHI IWAMI

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

     10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといったロックミュージックのディグに明け暮れるように。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、DJを始める。2019年にオルタナティブミュージックパーティ『SUPERFUZZ』を立ち上げた。

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