






It was a high heels(?) ¥0
限定のコラボレーションスニーカーが欲しい。あのブランドの靴が履きたい。貴重なもの、特別なものを身につけたい。それも悪くはないけれど、マーケティングの盤上で規則的に動かされているな、とも思う。そのマスゲームから一歩足を踏み出して路上に目を向ければ、より自由でワイルドな美しさに出会える。加賀美健が拾うゴミは、そういうことを教えてくれる。
「このソールは家族とご飯を食べに行く途中に見つけたんです。道端の、何か大きなボックスの上に置いてあって、「やべ〜!」とか言って拾いました。「パパ、汚いよ!」って娘に言われたけど。こんな状態の靴は売っていないし、欲しいと思っても出会えない。そういうところも好きなんです、落ちてるものって。ゴミを探して狩りをしている感じなんですよ。ハンターの感覚っていうんですかね。ゴミハンター。」
素敵なお店に行けば、選び抜かれた素敵なものが手に入る。だけど、ゴミハンターの視点を持てば、この世界全てが美しいものを点在させたセレクトショップに変わる。美しさの境界線を引くのは、他ならぬ自分なのだ。履けない靴は、そんなふうに想像を一人歩きさせてくれる。
拾った人:加賀美健
拾った場所:路上
素材:ゴム、合皮
※FREAK MAG.はゴミ拾いを推奨しています。
PROFILE
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加賀美 健
現代美術作家。1974年、東京都生まれ。
社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。
2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。
日課の朝のウォーキングの際に面白いゴミが落ちていないか目を光らせながら歩いてる。