UPDATE : 2025.06.19

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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.7

Text:TAISHI IWAMI

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルナタティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

Black Asteroid『Infinite Darkness』

Black Asteroidが来日、私たちSUPERFUZZとBLUEMEWによる新しいパーティ『DUST』にヘッドライナーとして出演してくれます。

 

Black AsteroidことBryan Blackは、故郷のミネアポリスでPrinceのキーボードテック、サウンドデザイナーとして音楽キャリアをスタート。ロンドンに渡ってからはMotorを結成、Depeche Modeともツアーを回る。2011年からBlack Asteroid名義で活動を開始。瞬く間にテクノシーンで名を上げ、BerghainやFabricといったヨーロッパの主要クラブやフェスにたびたび出演する。ファッションシーンからの注目度も高く、Rick Owensとのコラボや、Raf Simonsのショーではサウンドトラックを手掛けている。

80年代ポストパンクやインダストリアルのダークネスと陰鬱が、強靭なテクノビートと混ざり合ってダンスフロアを揺らす。90年代ブリストル譲りのダウンテンポがエレクトロニックミュージックの深みへと誘う。00年代エレクトロを思わせるパンクなシンセの歪みがムーブメントのリバイバルとシンクロする。時代の積み重ねをエネルギーに現在を捉えキャリアハイを更新し続ける。そのライブ/DJパフォーマンスも同様に素晴らしいので、彼の出演する私たちの新パーティ『DUST』、ぜひ遊びに来てください。7月11日、CIRCUS Tokyoにて。

Turnstile『NEVER ENOUGH』

マイノリティに対する偏見や同調圧力が嫌で嫌で仕方なかった。ここにはそんな奴らが集っていた。最初は何もかもが新鮮で刺激的で楽しかった。こんな日がいつまでも続けばいいのに、と思った。しかし、時間が経つということは、生きていくということは皮肉なもの。そんな自由な場所にも、知らずのうちにヒエラルキーが生まれ、組織は整備され、思想は統一化され、表現は様式化され、はみ出すものは追いやられる。そんな本末転倒のループに気づいた者だけが獲得できるクリエイティビティ、なのかどうかはわからないが、退屈を嫌うすべての人々に、Turnstileの作品を送りたい。

ハードコアパンクを出発点に、オルタナティブロックやエモといった近い親戚だけでなく、サイケやダンスミュージック/クラブシーンにも接近。あらゆるジャンルやカルチャーの中に、親和性や共通項を見出すことや、相反する要素の化学反応に喜びを感じ、クロスオーバーの概念が拡張されていく。そんな彼らの活動を追っているとゾクゾクする、興奮する、元気が出る。押し付けるな、すべては自分の意志で選ぶから。積み重ねられてきたカルチャーへのリスペクトとともに。

Idoru「My Drug」

ミニマルテクノやEBM、ニューウェーブなどに魅せられたアンチアイドルが、エレクトロニック/ダンスミュージックのダークヒーローへ。今年に入ってからすでに7曲目のリリース、Idoruが絶好調です。

インダストリアルなテクスチャーのなかで、明快な4つ打ちとスネアとハットが鳴り、太いベースがうねる。ウィスパーボーカルによるフックもばっちり。これまでにリリースしてきた曲の中でも、もっともストレートな必殺ダンストラックで、彼女のシグネチャーがダイレクトに伝わってきます。ルックスも超クール。これからもっと広がっていきそうなアップカミングな存在。日本のクラブでプレイする日も遠くないかもしれません。

Black Asteroidの来日もあってテクノやエレクトロの気分。彼の代表曲の一つ「DUST」から始まり、日本のDJ/プロデューサーRisa Taniguchiとの共作曲「Acid Fresh」、SianとHiroko Yamamuraによるニューシングル「Frequency Moves」、そしてIdoruの新曲「My Drug」と、色の異なるテクノ入門にもよさそうな4曲からスタート。

 

XKYLARやThe Dare、Camilla Sparksなど00年代のエレクトロクラッシュ/ブログハウスの真ん中を射抜くリバイバルサウンドはまだまだ盛り上がってきそうな予感がします。そしてこのタイミングでFelix Da Housecat、Chicks on Speedら、まさにエレクトロクラッシュの象徴的存在だったアーティストも新曲がかっこよかったこともホット。

 

バンドでおすすめなのはFriedberg。無駄を削ぎ落したミニマルな展開のなかで、コーラスひとつ、リズムパターンの変化ひとつで強烈なインパクトを残す。Little Simzのアルバム『Lotus』からのミニマルポストパンク「Young」も最高で、というかアルバムごとほんとうに素晴らしかったので、あらためてじっくりと。ソウルの最先端がそこに。

INFORMATION

  • DUST vol.0 -Black Asteroid in Tokyo-

    日程:2025年7月11日金曜日

    会場:CIRCUS Tokyo

    オープン/クローズ:22時30分/5時

    チケット:前売り ¥2,500 / 当日 \3,000 (+1ドリンク代)

    -Mars Floor-
    Black Asteroid / MAYUDEPTH / SEKITOVA / Marco (Ben) / TAISHI IWAMI /BLUEMEW

     

    -Spiders Floor-
    BU$$IN / Elena Midori / EPHEMER / KEIGO / MASATO(DAYS) / Sho Asakawa / soguiii®

     

     -Styling Booth-
    A Night On The Floor

     

     -Organized by-
    SUPERFUZZ / BLUEMEW

     

     Techno, Bass, Disco, Indie Dance, Punk from past to future

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

     10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといったロックミュージックのディグに明け暮れるように。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、DJを始める。2019年にオルタナティブミュージックパーティ『SUPERFUZZ』を立ち上げた。

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