UPDATE : 2022.08.16

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#LIFE STYLE

POP UP FOOD〜神出鬼没飯02:Bar Straw/アルコールかノンアルかの境界線を溶かす、心惹かれるドリンクに溢れる世界

Text:Haruna Tanaka

Photo:Takanobu Watanabe
Edit:Jun Hirayama,Taiyo Nagashima

NEUT Magazineの編集長をしながら、空いた時間は友達とおいしいものを食べることに全ベットしている僕(平山 潤)ですが、最近周りにお店を持たない飲食店が増えている、そんな気がする。ウーバーで注文すればいつでも届くとか、そんな都合のいい関係じゃない。だからこそ無性に食べたくなるけど、自分のタイミングじゃ食べられない、神出鬼没飯。英語で言うと“POP UP FOOD”を毎月紹介していきます。

 

第2回となる今回のPOP UP FOODでは、第1回の「ラーメン吉祥丸」と一緒にJINNAN HOUSEで出店していたノンアルコールバー「Bar Straw」を紹介。前回同様、モデルとして活躍するシャラ ラジマさんと共に、バーを切り盛りする赤坂 真知さんに話を伺いました。

店名「Bar Straw」の由来とは?

シャラ ラジマ(以下 シャラ):レトロで親しみやすいロゴとお店の名前が印象的でした!まず気になったのが、なぜ「ストロー」なのでしょうか?

 

赤坂 真知(以下 赤坂):例えば居酒屋で烏龍茶とウーロンハイを見分けるときに、誰もが知らず知らずのうちに、ストローがささっている方が烏龍茶だと認識しますよね。

 

シャラ:あ!確かに…!

 

赤坂:そうなんです。だからストローはノンアルコールドリンクの象徴でもあるなと思って、お店の名前に採用しました。凝ったおしゃれな名前にしても自分がソワソワしてしまうので(笑)、皆んなが分かりやすいような店名にしたかったんです。

シャラ:今日は2種類のドリンクをいただきます!。これから飲むドリンクについて教えてください。

 

赤坂:1つは、「砂炒りほうじ茶豆乳ウォッシュ」です。砂で炒ったほうじ茶に、ピンクグレープフルーツ、カルダモン、メープルシロップを加え、豆乳を使用して液体全体をクリアにする製法で作っています。普段はそれを牛乳で行っているのですが、今日は一緒に出店したラーメン吉祥丸に合わせてビーガン対応にしました。

 

平山 潤(以下 潤):キャラメルみたいな香ばしさがあっておいしい!もう一杯もほうじ茶がベースなんですよね?

 

赤坂:はい。もう1つは、緑茶のように旨みが強い白骨ほうじ茶を使っています。ここに、旨味を補強するための透明にしたトマトと、栃木のココファームというワイナリーから仕入れたベルジュというぶどうのビネガーをプラスして、トニックウォーターでさっぱりと仕上げました。

 

シャラ:お茶の深みや旨みがあるのにさっぱり!ラーメンともマッチしていて、ごくごく飲んでしまいました(笑)とてもおいしかったです。

おいしい飲み物を飲みたいと思うタイミングは、必ずしもお酒を飲みたいときだけではない

:なぜノンアルコールドリンクのみの提供をしているんですか?

 

赤坂:おいしい飲み物を飲みたいと思うタイミングは、必ずしもお酒を飲みたいときだけではないと思うんです。妊婦さんや授乳期間中の人、帰ってから仕事をしないといけない場合や、車で寄った先で飲みたいときなど、そういうシチュエーションはたくさんあると思います。ただ、凝ったドリンクにはアルコールが入っているものが多く、ノンアルコールカクテルを提供する人やお店が少ないのが現状です。なので、先程お話ししたようなお酒が飲めないシーンでも面白いドリンクを飲める場をつくりたい、という思いでノンアルコールドリンクのみを提供しています。そしてその先には、アルコールかノンアルかの境界線を溶かして、心惹かれるドリンクが増えた世界を作る一端になれれば嬉しいです。

 

シャラ:確かに、カクテルのように複雑な味のノンアルコールドリンクは少ないように感じます。先程ドリンクをいただいたときも、なんだか酔ったような気分になるねと潤くんと話していました。それってやっぱりそういう味や香りを感じるのが普段お酒に限られているから、先入観でそう思ってしまったのかもしれません。

 

赤坂:そうですよね。例えばワインやウイスキー、カクテルは味わいに複雑さがあると思います。温度帯でも味わいが変わるし、口に含んだ際の香りと最後に余韻として残る際の香りにも違いがあります。そんなふうにお酒では1杯でいろいろな味や香りが楽しめると思うのですが、ノンアルコールでも多層的で構造的な飲み物を作りたいなと思っています。

花屋やボウリング場。意外なところでやるポップアップにこだわる理由とは?

:普段はどこで営業しているんですか?

 

赤坂:毎週火曜日と水曜日の夜に、渋谷パルコの花屋「THE LITTLE BAR OF FLOWERS」でBar Strawの営業をしています。そのほかにも、イベントやケータリングなどをポップアップで行っています。

 

:僕が編集長を務めているNEUT Magazineのイベントでも、Bar Strawさんにドリンクの提供をしてもらいました!いろいろなところでポップアップをされている印象なのですが、それは意図的なのでしょうか?

 

赤坂:そうですね。自分が持っているコンテンツは飲食だけれど、それを違うジャンルの人やフィールドと一緒に提供したい、というのが軸にあります。初めは、かもめブックスという神楽坂の本屋を借りて営業を開始し、展示会のパーティーやNEUT Magazine主催のボーリング場でのイベント、フジロックなど、さまざまなところで出店してきました。

 

シャラ:新型コロナウイルスの影響で流れてしまいましたが、私が開催した展示のオープニングパーティーでも出店していただくお話もありましたよね!またなにかで一緒にコラボした飲み物を作る機会を作れたらなと思っています。

 

赤坂:実はそのとき、シャラさんのバックグラウンドや好きなものをドリンクで表現する、ということを考えていました。シャラさんは人の多様性や多層な部分について表現されていたので、それが多層的につくられているノンアルコールカクテルと繋がったんです。こんなふうに、人や料理、場所などいろいろな対象とコラボできる点もドリンクの良いところだなと改めて感じます。だから、僕はこれからも幅広いフィールドでドリンクを提供していきたいですし、そこで生まれるオープンなコミュニケーションを大切にしたいです。

 

:ドリンクというコンテンツを使って、さまざまな場所やジャンルに入り込んでいくことで、多くの人がノンアルコールドリンクの魅力を知るきっかけに繋がりそうですね。

 

赤坂:Barは敷居が高いと思われることが多く、意外と閉じている世界でもあると感じます。アルコールも含めて好奇心そそられるドリンクはたくさんあるので、飲食に閉じないBar Strawを入口に、そういったことに触れてもらうきっかけにしたい。渋谷のギャルがふらっとノンアルコールカクテルを飲んだその先にドリンクのおもしろさに興味をもってもらえるような温度感が理想です。

ノンアルコールカクテルのハードルを下げるために、いつかプロダクトとして販売したい

潤:お店を開きたい、プロダクトを作りたい、など今後の展望はあるのですか?

 

赤坂:いつかプロダクトとして販売したいと考えています。缶や瓶にして販売した自分のドリンクを、いろいろな飲食店に置いてもらったり、自販機で買えるようにしたりするのが夢なんです。こうしてアメーバのように広く展開したときに、どのような景色が見えるかという点に興味があります。

 

シャラ:具体的にはシロップを販売するイメージですか?

 

赤坂:いえ、すぐに飲めるドリンクをプロダクトにしたいんです。僕は「飲み物を割る」というオペレーションさえもハードルが高いと思ってて。家でさっと飲みたいときに割るのは面倒ですし、飲食店でもカクテルをきちんと作れる人を1人配置しておくのはコストがかかりますよね。なので、お酒のように複雑な味わいでありながらも、開けたらすぐに飲めるドリンクをいつか販売したいです。

PROFILE

  • 平山 潤

    世間で<エクストリーム>だと思われるようなトピック·人に光を当て、より多くの人に「先入観に縛られない<ニュートラル >な視点」を届けるウェブマガジン「NEUT Magazine」の編集長。食べること、人と話すことが好きです。本連載の担当編集をしています。

  • シャラ ラジマ

    モデル・文筆家。バングラディシュのルーツを持ち、東京で育つ。「人種のボーダーレス」をコンセプトに、独自の路線で雑誌やTVなど幅広いジャンルで活躍中。

  • 赤坂 真知

    ノンアルドリンクの開発から提供までを一手に担う、Bar Straw主宰の赤坂 真知さん。毎週火・水曜日の19:00〜24:00に、渋谷PARCO1Fの花屋「THE LITTLE BAR OF FLOWERS」にてノンアルコールバーを営業中。

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