すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルナタティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。
Errortica『I’m Good』
ロシアはサンクトペテルブルク出身のDJ/プロデューサー、ErroroticaがセカンドEPをリリースしました。オンラインプラットホーム、Boiler RoomとOpinion Clubの共同企画ではMonika Setaとともに1980年代後半~1990年代のUKレイヴシーンや、1990年代のビッグビートをルーツに感じるミドルテンポのブレイクビーツを中心としたプレイ。STVOL. TVでは140BPM台のバウンシーなブレイクビーツを軸にエネルギッシュなセットを展開し、最後は80年代の2トーンで締め、パンク/ポストパンク時代と2025年のダンスミュージックを繋ぐ。そんな彼女の生み出す作品は、人々を世の不条理から解放することのできるダンスフロアへの愛に満ちた、オルタナティブなエッジが光る。
「私はただ、人々のためだけに音楽をやっています」
「パーティは私たちの社交の場であり、お互いを恋しく思い、次の出会いが待ち遠しく思えるようなレベルを目指しています」
彼女は自身の所属するレーベル、System 108のサイトに掲載されたインタビューでこう話している。そんな言葉そのもののような、肉体とハートを揺らす、パワフルなブレイクビーツキラーの4連発。パーティのここぞという場面では、この作品をそのまま順番に繋げばOKレベル。それやっていいの本人だけですが(笑)
Gelli Hana『Switcheroo』
LAを拠点に音楽活動を行いながらフリーのジャーナリストとしても活動していたAngel Abayaが名義を変更し、Gelli Hahaとしてニューアルバムをリリース。Angel Bayaが2023年5月にリリースしたアルバム『The Bubble』は、ストレートなインディーポップ/シューゲイザーでしたが、今回はそのインディーらしいハンドメイド感覚は残したまま、ディスコ路線に。
1980年代の煌びやかなポップス、そして当時のディスコで輝いていたミラーボールと2000年代を繋ぐエレクトロクラッシュのリバイバル。その風に乗りつつも、型に捉われない自由な遊び心が溢れる。そこに浮かぶのは、がっつりクラブ仕様というよりは、ホームセンターで買ったチープな照明がリビングを照らす、ホームパーティの景色。老若男女が和やかなムードで楽しめそうなチルで優しいダンスグルーヴをお楽しみください。キッズたち?の声が入った「Bounce House」から、彼らがDJにイタズラしているような「Piss Artist」~「Tiramisu」のつなぎ目に思わず笑みがこぼれました。
Fcukers「Play Me」
LAを拠点に活動する3人組、Fcukersの新曲。彼らを初めて知ったのは2023年3月。90年代のオルタナティブ/インディーロックシーンに燦然と輝くBeckの「Devils Haircut」と、ピュアなハウスビートを掛け合わせた「Devils Cut」がリリースされたタイミングだった。同じ年の初来日ライブは新宿SPACEという、100人入るか入らないかの小さなクラブで行われた。あれから約2年が経ち、彼らはグラストンベリー・フェスティバルで多くのオーディエンスを魅了し、ボイラールームでのパフォーマンスも大好評を得る。インディーミュージックシーンとクラブシーンを繋ぎ、今もっともアップカミングなニューカマーとして注目を集める存在となった。
今回の新曲「Play Me」は、IdlesやVinde StaplesやDenzel Curryらの作品をプロデュースしたことでも知られる、Kenny Beatsとの共作。そんなトピックに対しておそらく予算ゼロのビデオもおもしろい。直球ドラムンベースのビートを軽やかに乗りこなす。120BPM台のハウスではなく、高速ブレイクビーツを採り入れることで、ダンスミュージックとしての強度とローファイなインディーミュージックのフィーリングが絶妙に溶け合う、Fcukersのシグネチャーがより際立つ曲に。リリースはNinja Tune、すなわち日本国内でのプロモーションや国内での流通はBEATINK。これは再来日が待ち遠しくなる。
というわけで、今回は個別で紹介した3作品の流れに倣って、インディー/オルタナティブミュージックとダンスミュージックを繋ぐようないイメージで、20曲のプレイリストを作りました。まだまだ続く暑い日。私が子供の頃、まるで地獄のようだと教えられていた砂漠の温度と変わらない日も。このあいだ海に遊びに行ったのですが、とてもじゃないけどいられませんでした。ということで、みなさん体調に気を付けて、ぜひ空調の効いたクラブやライブハウスに遊びに行って踊ってください。
INFORMATION
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SUPERFUZZ - Ailternative, Indie &Raw Disco Party
日程:2025年9月12日金曜日
会場:渋谷club Malcolm
オープン:23時30分~5時
入場料:2000円(1ドリンク含む)
DJ:KEIGO / TAISHI IWAMI





