すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルナタティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。
somber 『I Barely Her』
『SUMMER SONIC 2025』に出演していたニューヨーク出身のシンガーソングライター、somberのデビューアルバム。高校でクラシックを学びながら、自宅で作った曲をネットにアップし続けていたところ、2022年にリリースした「caroline」が大きなバスを起こす。本作収録曲の「back to friends」と「undressed」はビルボードのシングルチャートにもランクインし、総ストリーミング数は20億を超えています。
RadioheadやJeff Buckelyを表現における最たる影響源だと公言し、インディーロックとメインストリームの間に橋を架けたThe 1975をフェイバリットに挙げる。そんなバックグラウンドから広がる多幸の世界。限りなく透明に近い淡く美しい色彩感とアンセミックな力強さが共鳴するサウンド、圧倒的なメロディセンスといった要素が溶け合う楽曲の魅力は、時代のアイコンと成りえるポテンシャルに満ちたパフォーマンス力によってさらに輝く。求心力、牽引力、包容力を併せ持つこの作品は、インディーロックの希望そのものと言えるだろう。
Pixel Grip 『Perceoticide : The Death of Reality』
シカゴで結成されたエレクトロニックミュージックトリオ、Pixel Gripの3rdアルバム。SASAMIとKing TuffのJoo Joo Ashworthを共同プロデューサーに迎え、LAとシカゴを拠点に、完全にインディペンデントな体制で、約3年をかけて製作されたとのこと。1980年代のニューウェーブ~2000年代のウィッチハウスなどを通過した、ダークサイドから放たれるポップな輝きに心を奪われました。
アルバムを象徴するシングルの一つ「Jealousy Is Lethal」。<Jealousy is Lethal, hope it kill you soon>、何度もそう歌うリリックは、そのセンテンスだけを読めば痛みで胸が張り裂けそうになる。しかし繰り返し聴いてしまうのは、その美しいメロディの先に希望があるような気がするから。言葉が音楽に乗ったとき、それは魔法になる。表現って素晴らしい。ありがとう。
Snõõper 『Woldwide』
愛も怒りも、笑いも涙も、すべてをファニーでトラッシュなパフォーマンスに変換して、ハッピーなエッジに満ちたフロアを作り上げる。テネシー州はナッシュビルで結成された、6人編成バンド、Snõõperの2ndアルバム。リリースは引き続きJack Whiteが主宰するレーベル、Third Man Recordsより。
Devoのスタイルをインターネット世代が体現した“エッグパンク”として語られることも多い彼ら。ガレージパンクやハードコアパンクのローファイなDIYサウンドや、ニューウェーブのユーモアから受けた刺激を高速チューンに詰め込んで踊りながら全力疾走する。速ければ速いほどいいという単純な価値観とともに不条理を笑い蹴とばす。スタンスが明快であるがゆえにポップで親しみやすく、何が起こるかわからないスリルもある。こんなパーティがあったら行ってみたいし、こんなパーティを開きたい。そんなアルバム。
ここ最近のインディー系リリースがおもしろい。PVAが1990年代のトリップホップに接近、そのオリジネイターの一人であるTrickyがポーランドのシンガー、Martaと組んだ新曲もまた素晴らしく、前回紹介したDeki Alemのアルバムも含め、これは波がきているんじゃないかと。すでに大ヒット中のsomberもそうですが、ネクストブレイクのにおいが漂うGirl Groupの新曲もグッド。OasisのLiam Gallargherの息子、Gene Gallagherの率いるVILLANELLEのよるグランジ一直線のデビュー曲も熱い。押しも押されぬ世界最強ダンスアクト、Fred Again..がガレージパンクバンド、Amyl and The Sniffersと組んだことも併せて、インディーロックもまた盛り上がって来そうな予感。
というわけで、私たちの主催する、ロックとエレクトロニック/ダンスミュージックの間に橋を架けるパーティ、『SUPERFUZZ』でもプレイしたい新曲満載です。次回は10月17日。ぜひ遊びに来てください。
INFORMATION
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SUPERFUZZ - Ailternative, Indie &Raw Disco Party
日程:2025年10月17日金曜日
会場:渋谷club Malcolm
オープン:23時30分~5時
入場料:2000円(1ドリンク含む)
DJ:KEIGO / TAISHI IWAMI





