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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC Extra
w.o.d.が主催するパーティ『TOUCH THE PINKMOON』を終えて

Text:TAISHI IWAMI

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がフロアの心を一つにする。前情報のないアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブが大きな熱狂を生む。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターによる連載『SUPERFUZZ MUSIC』。今回は特別編として。4月23日に私がDJとして出演したロックバンド・w.o.d.の主催するパーティ『TOUCH THE PINK MOON』で感じたことをお届けします。

『TOUCH THE PINK MOON』は、いわゆる対バンイベントとは趣が異なる。クラブやアート、ファッション、食など、w.o.d.のメンバーが愛するカルチャーを詰め込み、トータルで発信する文脈をバラエティを大切にした、メンバー曰く“パーティ”。

 

東京と大阪で毎年開催され5回目なのですが、今年は名古屋も加わり、私は東京と名古屋の2か所に渡ってDJしました。今回は東京・恵比寿LIQUIDROOMでの様子を私の視点からレポートします。

開演の2時間前、16時30分に会場はオープン。場内にはメンバーが「PINK MOON」をイメージした香りが広がっていた。カメラマン・小杉歩によるw.o.d.の写真展、Casette Expressによる展示やカセットテープでのDJ、イラストレーター・YUGO.が描き下ろした作品のシルクスクリーン体験や、メンバーの中島元良(Drums)がレシピを考案したフード、オリジナルカクテルなど、コンテンツ盛り沢山。物販をゲットしてあとはライブを待つというより、すでにパーティが始まっている感覚になれる。

 

楽屋にも同じ香りが用意され、さらにメンバー自らが今回のパーティのポスターをあえて破ってグランジ風にして、あちこちに貼る手の込みよう。Ken Mackay(Bass)が作成したロック名曲プレイリストが流れ、自然と音楽談義にも花が咲く。

オープンのDJは私。まずはダウンテンポ/トリップホップからゆったりと始めたのですが、最初からDJブースを目がけて来てくれた人たちもたくさんいたので、上げ目のロックやエレクトロにシフトして、次のDJ、indigo la Endのドラマーでもあるeitaro satoにバトンを渡す。

eitaroとは一緒にポップスに特化したDJパーティ『Die a little bit』をやっているほか、別のDJの現場でも共演することの多い仲間なだけに、このパーティで一緒にやれることが感慨深い。今回の彼はオルタナティブ/インディーロックを軸にヒップホップも挟むプレイ。彼のルーツにロックがあることは知っているのですが、DJとしてはハウスとミニマルミュージック、ポップスのイメージが強かったので、意外と言えば意外でした。あえて技巧的なことは抑えて、曲そのものを活かし流れを作る。そのストイックかつ明快なプレイにフロアが湧く。

そこからライブアクト一発目のTexas 3000へ。とにかく音がでかい。それでいて縦横多彩で柔軟なグルーヴはときとして優しい。オルタナティブロック、エモ、マスロック、ハードコア、多面的なバンドサウンドとめくるめく展開が魅力なのですが、狙ってできるものじゃないというか、ロジックやスキルの向こう側にある、阿吽の呼吸があってこその演奏に上がる。友達と部屋で遊んでいるときのような、MCというより感情から出ている言葉も、何もかもが楽しい。圧倒的にかっこいい生活感。何度か観たことのある彼らのライブは毎回「なんかすごいものを観た」と思うのですが、今回はLIQUIDROOMという大きな会場での体験ということもあって、その天井知らずのパワーに震えた。

続いてはKen MackayのDJ。ロックとエレクトロ、ダンスミュージックのクロスオーバーが体と感情を揺さぶってくる。結果的にふだんからPrimal ScreamやThe Chemical Brothers、近年だとTurnstile好きを公言しているw.o.d.の音楽性を、自分たちの曲以外で体現しているようなセットでもあり、こうしてバンドとファンが豊かな場を共有する瞬間は、とても貴重な機会だとあらためて感じた。

2バンド目はストレイテナー。Kenはストレイテナーのコピーバンド経験あり。ストレイテナーのホリエアツシ(Vocal / Guitar / Keyboard)は、w.o.d.と顔見知りになる前から、自身のDJで彼らの曲をかけていたこともあるという、相思相愛の仲。激情と抒情が交差するオルタナティブロックを起点に、ファンク、現代的なエレクトロニカやポップスなどへと広がり進化を続けるそのスタイルは、質感こそ違えどどこかw.o.d.のそれとも重なる。中盤にはKenが実際にコピーしていた「KINGMAKER」を披露。紡がれていく日本のロックの歴史と、世代を越えて重なる現在進行形のロックの共鳴に胸が熱くなった。ラストは「最後に踊ろうぜ」と2004年リリースの初期曲「KILLER TUNE」を鳴らす。シンプルでダンサブルでタイムレス。まさにパーティにはうってつけの締めにフロアが沸いた。

私の2回目のDJは、フラッシュアイデアで急遽eitaro satoにお願いして2人で。普段もよく一緒にプレイするので、いい意味で気をつかうことなく、何をかけてもしっかり受けてなんとかしてくれるだろうし、そのシナジーが今この瞬間必要だと思ったのですが、いかがだったでしょうか。

そしてラストはw.o.d.。初期のArctic Monkeysを思わせるようなオルタナティブロックを軸に、ジャージクラブやヒップホップ、ディスコなどから受けたインスパイアも盛り込み、BPMも変化させる、「TOKYO CALLING」からスタートする。それはまるで、『TOUCH THE PINK MOON』というパーティの魅力を3分間に詰め込んだかのよう。そしてフロアには乱舞の波が。

 

そこからミドルテンポのファンキーチューン「Kill your Idols, Kiss me baby」、ファストでメロディアスなパンク「1994」と「YOLO」を立て続けに鳴らし、縦に横にフロアを揺らすセット。オーセンティックな踊れるビートの「Take It Easy」、マッドチェスターやビッグビートといったUK産ロックとダンスミュージックの融合からの影響を感じる「モーニング・グローリー」、骨太剛腕ダンスパンク「踊る阿保に見る阿保」など、彼らは最初から『TOUCH THE PINK MOON』をやることを想定して曲を作っていたのではと思うほど、新旧どの曲もまとめてパーティにはまる。

彼らはもともとMCを仕込むタイプではないが、そんないつもよりも緩いMCも、アットホームで自由な空気を後押ししているよう。ライブ中のフロアの景色も、ちょっとクラブライク、ラフな感じがする。そして最後は「My Generation」。この日、KenがDJでかけていたBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之という、国内においてエレクトロニックミュージック/ダンスミュージックとロックバンドに橋を架けた絶対的存在のよるプロデュースの曲という文脈も相まって熱くなり踊りまくりつつ、顔を上げるとそこにはダンスの絶景が。

基本的に、バンドのライブとDJのパーティでは楽しみ方が違う。クラブでは、6時間、8時間と音楽が鳴り続ける。その間にお酒を飲んだり、踊ったり、誰かと話したり、一人でぼんやりしたりする。すなわち時間のなかに身を置く場所だ。一方でライブは、1時間、2時間の中で、その瞬間をつかまえにいくもの。

 

けれど、そのふたつが地続きになるからこその気持ちよさがある。そこにアートや展示、食や香りまで混ぜ込み、余すことなく楽しみを散りばめる。その試みを5年間続けてきたw.o.d.チームに、そしてそのフロアで輝いていた人たちに、大きなリスペクトを。来年も、どうかありますように。

【 Live Info 】

  • ■w.o.d. "2026 ONE MAN TOUR"

    08.30(日) 金沢EIGHT HALL

    09.12(土) 岡山IMAGE

    09.13(日) 福岡BEAT STATION

    09.19(土) 名古屋DIAMOND HALL

    09.25(金) 仙台MACANA

    09.27(日) 札幌PENNY LANE24

    10.03(土) GORILLA HALL OSAKA

    10.08(木) Zepp DiverCity (TOKYO)

     

    TICKET : ¥4,800 (+1Drink)

     

    <オフィシャルサイト先行 受付中>

    受付期間:05/16(土)21:00~05/31(日)23:59

    受付URL:https://w.pia.jp/t/wod-tour26-summer/

【 Release Info 】

  • ■Digital Single 「RISE」

    2026.05.23(Sat) Release

    作詞作曲:サイトウタクヤ 編曲:w.o.d.

    【出光興産 企業CMソング】

    「興す」篇、「導く」篇、「届ける」篇

     

    ▼Now On Streaming

    https://wod.lnk.to/RISE

INFORMATION

  • ■Digital Single 「NON-FICTION」

    2026.04.12(Sun) Release

    【TVアニメ『勇者のクズ』第2クールエンディングテーマ】

    作詞作曲:サイトウタクヤ 編曲:w.o.d.

     

    ▼Now On Streaming

    https://wod.lnk.to/NON-FICTION

     

    ▼「NON-FICTION」 MUSIC VIDEO

INFORMATION

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

     10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといった音楽のディグに明け暮れるようになる。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、DJを始める。2019年にオルタナティブミュージックパーティ『SUPERFUZZ』を立ち上げた。

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