UPDATE : 2026.05.21

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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.17

Text:TAISHI IWAMI

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルタナティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

GENER8ION 「 STORM Ⅰ&Ⅱ starring Yung Lean」

フランスの音楽プロデューサーであるSurkinと、映像/映画監督のRomain Gavrasによるプロジェクト、GENER8IONが、スウェーデンのラッパー・Yung Leanを迎えた新作。070 Shakeをフィーチャーし2021年にリリースした「Neo Surf」に続き、今回も2034年のディストピアが舞台になっている。

イギリスの全寮制男子校。いじめっ子役をYung Leanが演じる。ヒエラルキー、暴力、ドラッグ、集団心理、連帯感。高所での危険な遊びのシーンは、男子校を舞台にした日本映画『青い春』から引用されている。後半に繰り広げられるDamien Jaletの振付による演者全員でのダンスも、日本の集団行動と重なる。荒廃した世界のなかに生まれたカオティックな秩序。これが未来の話だと思うとほんとうにこわい。「Ⅰ」はタフでスリリングなダンスパンクで、「Ⅱ」でビートが跳ねて旋律にも光が見える。そしてさすがはフレンチ・エレクトロの雄、Surkin。どちらも単体でダンスフロアバンガーになれる強度。はたしてその先は?6月12日にはアルバムもリリースする。

bed 「円相 | Enso」

都内のクラブ/ライブハウスでの活動が話題を呼び、その噂は海を越えUKへ。bedが新鋭レーベル・Forty Milesから新曲をリリース。タイトルの「円相 | Enso」とは禅宗における書画のことで、森羅万象や心を映し出す鏡、悟り、宇宙といった概念を円形で象徴的に表現している。曲の舞台は2052年の東京。<脳と脳を接続し、感情、感覚、記憶を循環させるニューラルネットワーキング>とバンドの公式Instagramには記されている。

テクノの成せる永久機関的ミニマリズムと、読経にも通じる有機的ミニマリズムがクロスオーバーして加速する。そのパフォーマンスは、言葉を越えすべてが見透かされた世界のなかで、冷えた感情を燃やしているようにも聞こえる。技術革新の先にあるもっとも生々しく原始的なコミュニケーション。それが吉と出るか凶と出るか。時代の最先端をとらえたうえで、フィジカルなパフォーマンスを追求するロックバンドだからこそできる表現がここにある。技術/テクノロジーに依存するのは人の常。それによって誘発される、ディストピアを回避するための意志を持ったアクションとは?それは2026年現在においても、もっとも考えるべき問題の提起であるような気がした。今まさに必要な高揚と覚醒がここにある。まずは踊ろう。

RIP Magic 「Screwdark」

ロンドンを拠点にするSorryのメンバーである、Marco Piniがフロントマンを務めるRIP  Magicの3rdシングル。LCD SoundsystemのJames Murphyがプロデュースを手掛けた前シングル「5words」は、Jamesの主宰するDFAのダンスパンクや、The Strokesあたりの脱力したアートパンクのフェチにも刺さりそうな曲だった。今回はその脱力感はそのままに、音楽的な幅を広げ、センスの強度を示すような曲に仕上がっている。

マッドチェスタームーブメント、あるいはBeckのようなヒップホップ由来のブレイクビートとサイケデリックロックの融合や、トリップホップの低音が醸し出す陰鬱といった、80年代末~90年代中期あたりの空気を感じさせつつ、そのデジャブが捻じ曲がっていく。「5words」に感じた、ありそうでなかった新しい感覚はほんもの。すでに滲み出るRIP Magic節が、多くのインディーミュージックファンを虜にし、ライブハウスやダンスフロアを酩酊と快楽の境地へと導いていく景色が浮かぶ。

「ダンスフロアは死んだと思う。だから今はロックミュージックを作っている」と言ったCharli XCXの「ROCK MUSIC」は、ロックの真ん中を射抜くフレーズに満ちていながら、ロックのイメージを塗り替えるトラック。そして同時にダンスフロアを愛する彼女だからこその、踊れるビートの再定義のようにも思える。先に紹介したbedやRIP Magicしかり、ポップな強度を担保しながらの進化が止まらないOvermono、「Born Slippy (Nuxx)」のリリース30周年に沸くなかで、アグレッシブなニューリリースも連発するUnderworld、YやMornといったUKの新人バンドもおもしろい。さまざまなシーンでアップデートや、パラダイムシフトを感じる2026年。

 

私はセレクトDJなので、このただならぬ気配に興奮が止まらない。そして身が引き締まる思いにもなる。ビートに身を任せれば嫌なことが全部飛ぶ、ただ楽しい空間のなかに、新しい気づきがある。そんなダンスフロアならではの体験をぜひ。

 

直近のパーティは5月22日、渋谷clubasiaでの『キルタイム』。私は個人と、BLUEMEW、KEIGOと一緒にやってるDJパーティ/クルー『DUST』として2回DJします。毎月のSUPERFUZZもやってますのでチェックしてくださいね。

INFORMATION

  • キルタイム

    日程:5月22日金曜日

     

    オープン:23時

     

    会場:clubasia TOKYO

     

    入場料: ¥3,000

     

    DJ: 

    BLUEMEW / Cyber Chef / DUST / Elena Midori / HINOTO / judgeman / KEIGO / kuniii / kyoru  / MELEETIME / moemiki / MUNÉO & RANNA / NIVIL / Ryuhei / sluhg / TAISHI IWAMI / TAKUMI MAKI / 6.do / 酒呑童子 

     

    Pop up:

    A Night On The Floor / FELLATIOPEACHTEA 

     

    Host:

    Keiicha / TAISHI IWAMI

INFORMATION

  • SUPERFUZZ - Alternative, Indie &Raw Disco Party

    日程:2026年6月20日土曜日

    会場:渋谷club Malcolm

    オープン:23時30分~5時

    入場料:2000円(1ドリンク含む)

    DJ:KEIGO / TAISHI IWAMI

     

     

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

     10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといった音楽のディグに明け暮れるようになる。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、DJを始める。2019年にオルタナティブミュージックパーティ『SUPERFUZZ』を立ち上げた。

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