UPDATE : 2022.09.23

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#ART & CULTURE

ゴミ:04 ドアノブ

Gomihiroi:Ken Kagami

Photo:Shinsuke Sato
Text:Taiyo Nagashima
Edit:Taiyo Nagashima,Fumika Ogura

It was a door ¥0

ドアは関係性の中にある。部屋と部屋をつなぐ。あるいは隔てる。蝶番や、接続詞や、そして社会的動物であるヒトのように、他の何かと関わりながら存在している。だからだろうか、関係性から解き放たれたドアノブは、とても奇妙な存在感を放つ。

「近くの道を歩いていたら見つけたんですよ。きたー!ってなりましたね。これは絶対拾わなきゃダメだって。おしゃれですよね。よく見ると鍵がない。どういうドアだったんでしょうね。これ単体で目にすることはなかなかないし、売っていても買おうとは思わない。貴重なものですよね。」

ザハ・ハディドの建築のようにーーーと言ったら大袈裟かもしれないが、メカニカルな造形と生き物っぽい曲線、機能を備えた無駄のないシステムが美しい。日常的に目にして触れているものが実は全体の一面で、全容を表した途端に全く別の姿を見せる。そういうことは往々にしてある。このドアノブは、どんな空間のつなぎ目として機能し、そしてどんな経緯を経てこの姿になり、道に落ちていたのだろう。じっと見つめていると、その孤独で自由な佇まいに色々なイメージが湧いてくる。「扉開けて」という歌が聴こえてくる気がする。雪の中歌うあの人もまた、孤独とともに自由を獲得したんだっけ。どこにも繋がらないドアノブは、見る者をイマジネーションの扉へと誘ってゆく。

 

拾った人:加賀美健

拾った場所:家の近所

素材:ステンレス・スチール

※FREAK MAG.はゴミ拾いを推奨しています。

PROFILE

  • 加賀美 健

    現代美術作家。1974年、東京都生まれ。 

    社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。 

    2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。 

    日課の朝のウォーキングの際に面白いゴミが落ちていないか目を光らせながら歩いてる。

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