UPDATE : 2026.04.21

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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.16

Text:TAISHI IWAMI

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、“オルタナティブ”をテーマに、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

Giant Claw, galen tipton 『Mobile Suit Gym Rat』

オハイオ州を拠点にするビジュアルアーティストで、Orange Milk Recordsを主宰するKeith Rankinのソロプロジェクト、Giant Clawが、盟友galen Tiptonとのコラボレーションアルバムをリリース。人間の生み出した人間以上のパワーを持つモビルスーツ(ロボット)が、ジムに通うという人間的な行為にはまる。その矛盾が描き出す、陽性のインダストリアルなテクスチャーを基盤に、2人のハイパーポップ的な感覚がクロスする。

ハウス、ブレイクビーツ、R&Bにニュージャックスイング、インディーミュージック。さまざまなジャンルがダンスという共通項で繋がる瞬間もあれば、それらを雑多に切り貼りすることでしか生まれない興奮もある。歴史的な文脈があるからこその楽しみと、文脈に捉われないからこそ生まれる新しいシナジー。両側からの圧倒的な魅力にワクワクが止まらない。一通り聴いたあと、インターネットでも街でもダンスフロアでも、私はそういう混沌を楽しんできたんだなと、しみじみ思った。そして今を生きる活力が湧いてきた。

Daisy Grenade 「Girls Are So Lucky」

ニューヨークを拠点に活動するDani NigroとKeaton Whittakerによるデュオのニューシングル。”かわいい”に毒とユーモアを掛け合わせ牙に変える、“パワーパンク・バブルグランジ”と呼ばれる音楽性はそのままに、今回はそのミクスチャー感覚がより高まった、ハイパーポップ色の濃い1曲に。

入りはグランジをベースに、ポップパンクやY2Kポップの要素も滲む、今の世代のオルタナティブロック。そこからブレイクビーツ、そして2010年代初頭のSkrillexよろしくな、ダブステップ/ブロステップの硬質なハーフタイム・ドロップをぶち込む。本人たちはフラットに「ダブステップ最高!」という感覚だと思うが、そこに宿るポストアイロニー的なエネルギーとダンスミュージックとしての牽引力に撃ち抜かれた。DJとしてはパーティーのハイライトを彩るバンガーにしたい衝動に駆られる。

Y 「Duplicate」

ロンドン発、ヨーロッパを東へ。西アジアを南下した砂漠の向こうに見えるピラミッド。その正体は、‟中東のCBGB”と呼ばれるライブハウスでした。そんな物語が浮かぶような、前衛的パーティミュージック。YのデビューEP『Y』は、インターネット検索の優位性を無視したバンド名とタイトルもあわせて衝撃的だった。

そして彼らの最新シングルもまた、持ち前の魅力が爆発している。アシッドフォークの調べを序章に、パンク、クラウトロック、ジャズ、バルカン音楽と、多ジャンル多国籍のてんこ盛りでぶち上げる。とにかく過剰でエクストリーム。この血を湧かせ、肉を躍らせるような原始的ミクスチャー感覚は、音源だけでも病みつきに。これはライブで狂いたい。

ジャンルにとらわれない姿勢が新しいスタイルを生み、それが新たなジャンルというまとまりになっていく。しかしやがてそれも様式化され、さらに別の何かが生まれるという、皮肉の反復。大雑把に言えばそんな時代のサイクルのなかで、今こそが最高に楽しいと、クラブで遊んでいてよく思う。

 

 

見た目はレイヴァーとパンクスが乾杯して肩を組んでいる。ある角度から見れば浮いている人がクールに見える。そのレイヤーは様式的な目線で見ると過去よりも複雑だけど、実はすごく単純で感覚的で、それこそが当たり前で健全なのだと思う。みんな人間なんだから。そこに、あるライブパフォーマンスやDJのかける音楽が介在して、心の中でみんな繋がっていく瞬間がある。ふだんはそんな空間を何も考えずに楽しんでいるのですが、ふとしたときにその尊さが刺さるんです。

 

 

そして自分は確実にそんなシーンから影響を受けている。今までだったら考えられない服を買ったり、レコードを聴いたり、心の中で受けつけなかった場所にさえ遊びに行くようにもなった。こんな日々がいつまでも続きますように

INFORMATION

  • SUPERFUZZ - Alternative, Indie &Raw Disco Party

    日程:2026年4月25日金曜日

     

    会場:渋谷club Malcolm

     

    オープン:23時30分~5時

     

    入場料:2000円(1ドリンク含む)

     

    DJ:KEIGO / TAISHI IWAMI

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

    10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといったロックミュージックのディグに明け暮れるように。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。おしゃれでカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、DJを始める。2019年にオルタナティブミュージックパーティ『SUPERFUZZ』を立ち上げた。毎月渋谷Club Malcolmで開催しているレギュラーパーティだけでなく、Sextile、Automatic、Black Asteroid、VITALINE、Isolation Berlinら、海外アーティストも積極的に招聘している。

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