UPDATE : 2026.04.07

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#ART & CULTURE

<HIGAN The 13 M-51 Masterpieces>現代に重ね呼び起こす想いとパッション

Photo:Tsutomu Ono

古着屋から始まり、現在は国内外20以上のブランドも取り扱う高円寺のショップ「彼岸」が4周年イベントを開催した。

 

今回、彼岸が注目したのは、1950年代~1960年代にUK・ロンドンの若者を中心に流行したモッズカルチャー。そんなモッズの象徴である軍用のパーカー・M-51(日本ではモッズコートと呼ばれているアウターのルーツ)を彼岸が買い付け、doublet、FACETASM、FUMITO GANRYU、KIDILL、日本を代表する4ブランドがリレー形式でカスタムを施す。ファッション業界全体を見渡しても激レアな企画が実現した。販売数は限定13着。それらのお披露目に、多くのファンが駆け付けた。

 

「稼いだお金を音楽やファッションに費やし、コマーシャリズムを嫌い、独自の世界観を追求することで社会に抗うモッズのカルチャー。そこに彼岸が歩む道との重なりを感じました」(彼岸オーナー・大崎龍之介)

イベントの舞台はもちろん高円寺。現代を生きる日本のモッズたちが、カスタムされたM-51を羽織る。M-51と同様にモッズカルチャーを象徴するVespa、Lambrettaといったイタリア製のスクーターに跨って、和田堀公園を出発。環七を北上して会場のイベントスペース・MATERIALに1台、また1台と入場する。その模様はインスタライブならびに場内に用意されたスクリーンでも中継された。

 

DJ加藤直樹セレクトによる、モッズたちが好んで聴いていたR&Bが流れる。続々と場内入りするスクーターのレトロで乾いたエンジン音。細部にまでリアルモッズへのこだわりを感じる。そんな当時さながらの空気が、M-51のカスタム、彼岸発の服を着たモデルたちやファンが醸し出す、現在進行形のオルタナティブな世界観と融合する。それは時代を超えた絶景。

今回は会場に足を運んだブランドのデザイナーにも話を聞いた。

 

「彼岸という店は、あくまで個人的な感想ですが、いい意味で日本っぽくない。海外のイギリスとかにあるすごくマニアックな古着屋さんに近いにおいがします。言葉にするのは難しいのですが、独特の世界観を生み出している、国内では特異な感じが好きなんです。そんなお店による、一つのM-51を4ブランドがリレー形式でカスタムするという企画は、私にとって初めての試みでした。そのなかで、学びも反省もあり、携われてよかったです」(FUMITO GANRYU・丸龍文人)

 

「僕も丸龍さんと同じく、今回のような経験は初めてでした。打ち合せせずにフリースタイルで繋いでいくなかで、僕は彼岸のみんなが喜んでくれるにはどうしたらいいんだろうって、楽しみながら取り組みました。こうして完成品を見てみると、各デザイナー同士のリスペクトも感じますね。彼岸はパッションのお店。服を売っているのではなくて、コミュニケーションを売っているというか、車があるんじゃなくて車がある生活を売る、みたいな。そして、最終的にこのようなイベントというかたちまで、見事に仕上げてくれたなって。そこには彼岸から僕らに対するリスペクトを感じますし、かっこいいなと思いました」(doublet・井野将之)

 

「高円寺という土地だからこその彼岸の世界観が重要で、僕らはそこにちょこっとクリエイティブを足しただけ。ここまでのストーリーに関わることができて、すごくよかったです。10代の頃から洋服が好きで、シーンを何十年と見てきたなかで、節目節目に、自由を求めている未完成な語られないお店が出てくるんですよね。そういうお店が徐々に成長して新しい価値を作ってきた。それが彼岸であってほしいし、彼岸を好きになっていろんなクリエイティブに触れるようになった人たちが、将来僕らと一緒に仕事してくれるようになってくれたら嬉しいですね」(FACETASM・落合宏理)

 

「世代も近い4人のデザイナーが集まり、モッズコートという男のロマンが詰まったような服を、それぞれのデザイナーがフリースタイルでカスタムして繋いでいく、今までにないコラボレーションになったと思います。

この企画を考え、実行した彼岸というショップは、既存のセレクトショップとは一線を画す、次世代を代表するショップになると思います。彼岸に通うお客様達はファッションに向き合う熱量が高くて、服を着ることを全力で楽しんでいるのが伝わります。誰もが、心に秘めている初期衝動のようなものを体現したかのようなショップだと思います」(KIDILL・末安弘明)

そして、大崎はイベントのスピーチで、自身の彼岸という店、そしてファッションへの想いをこう語った。

 

「どんな色のどんな服を選ぶか、それだけで日常は劇的に変わります。愛する服を着れば、自分自身を愛せるようになる。そんなファッションの圧倒的なパワーに私たち自身も人生を救われた当事者です。この元気のない日本で、生きることの素晴らしさを見つけたい。そんな僕らの想いに共鳴していただいた、日本が誇る4ブランドとのとんでもない企画が実現しました。

 

誰かに正解を合わせる、そんな息苦しい世の中で、彼岸は他人の目という鎖を断ち切って、たったひとつの自分のエゴを極限まで肯定する場所です。僕らはここからファッションという名の熱狂を、日本へ、世界へ放っていきます。どんなときにも熱狂してくれる彼岸の仲間たち、すべてのお客様、みなさんがいるからこそ、僕らは突き進みます」

彼岸は今後、現在の店舗からの発信だけでなく、さまざまな角度から間口を広げていく予定とのこと。好きな服を好きなように着る。そして磨かれていく感受性は人生の景色を変える。そんなファッションの持つポテンシャルを信じてやまない彼岸の、これからの展開から目が離せない。

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