唯一無比。つまり、誰にも似ていない表現性やセンスをまとっている音楽家の装い。そのファッションスタイルには、どんなバックグラウンドとストーリー、譲れないこだわりがあるのかを、フォトセッションとインタビューで紐解く連載。
第1回に登場するのはヒップホップサイドではSANABAGUN.、ロックンロールサイドではTHE THROTTLEの首謀者及びフロントマンを務め、そしてソロではジャズシンガーとして多面的なフィールドで底知れない才能を発揮している高岩遼。
今回のフォトセッションは高岩がオーナーを務める三軒茶屋にあるジャズバー「Brother」で行った。そのバーはビルの4Fにあり、3Fには「いじめっ子マザコンの部屋」をテーマに高岩が厳選したアイテムをディスプレイ及び販売するおもちゃ屋「good junk store『Brother』」が存在する。今回はこのおもちゃ屋を舞台にストリートモードの高岩遼にフィーチャーする。


このフーディーはちょうど先日ここでポップアップをやってくれた999999999(キュー)というハードコアバンドのマーチャンダイズです。8月に999999999がリリースした「2idiots -阿呆兄弟-」という曲にmillenium parade/PERIMETRONの森洸大くんが参加していて。そのMVもmargt(PERIMETRON)がディレクションしてるんですね。このフーディーはそれに併せて製作されたマーチャンダイズです。
デニムはecko unltd.のヴィンテージ。これは祐天寺のARMS ClothingStoreという古着屋でゲットしました。ちなみにARMS ClothingStoreには俺が2020年8月に30歳を迎えるにあたって書いた自伝『30』も置いてもらっておりました。

こういうカジュアルなスタイルのときはB-BOYという側面もありますが、黒人のジャズオヤジのオフみたいなテーマが俺の中であって。ジャズマンでありつつ、ニューヨークのハードコアも聴いちゃうし、スケボーも乗っちゃうみたいな(笑)。
俺と同世代の周りにいるジャズマンたちもそういうファッション感覚を持ってるやつが多くて。B-BOYみたいな格好をしていても「おっ、ジャズいね」みたいな話になります。俺の中ではすべての音楽ジャンルでありカルチャーでありファッションがシームレスに繋がってるんですよね。

ヒップホップの入り口は中1のときに聴いたウィル・スミスのヒップホップユニット、DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスですね。DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスが『エルム街の悪魔4 ザ・ドリームマスター』のサントラに入ることを意識して作った「A Nightmare on My Street」という曲があって。サントラに入るのはお蔵入りなっちゃったんですけど、その曲をきっかけにスプラッターホラーのグラフィックにハマって。さらにスケートデッキのグラフィックも気になってスケボーにも乗り始める、みたいな。
地元の岩手県宮古市にいたときは盛岡まで行くか、auオークションを駆使してました(笑)。ジルコニア素材のブリンブリンとか謎のカンナビスマークが付いたネックレスとかをオークションで2円とかで落札して、それを転売してお金を稼いで服を買ったりして。つまり、今の俺がこの「good junk store『Brother』」でやっていることと変わってないんですよね。

ジャズバーもおもちゃ屋も高校生くらいからずっとやりたいと思ってたんですよ。「Brother」をオープンしたのは2020年12月。当初、この3Fのおもちゃ屋は最初ホテルとして営業していたのですが、コロナ禍にぶつかってしまって経営的に厳しくて。
それなら、自分の趣味をおもいっきり反映させたおもちゃ屋にしちゃおうと思って改装して2022年2月に「good junk store『Brother』」としてオープンしました。
テーマは「いじめっ子マザコンの部屋」です(笑)。ディズニーで喩えるならヴィランズ(ディズニー作品における悪役キャラクターのブランド名)。だから、おもちゃも王道のアイテムは置いてないし、キャラクターもダークヒーローのものしかない。最高に楽しいスペースに仕上がっているので、ぜひ遊びに来てほしいし、各種撮影にも使ってほしいですね。ご連絡、お待ちしてます!
PROFILE
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高岩遼
歌手、エンターテイナー。 1990年8月27日生まれ、岩手県宮古市出身。
自身のルーツであるジャズからロック、ヒップホップまで、時代もジャンルもミックスさせたクリエイティブな音楽を表現する「ニュークラシックシンガー」。特徴であるディープボイスを武器に「ロマンティックストリート」な世界を魅せる。
18歳からジャズボーカリストとしてキャリアをスタートし、SANABAGUN.、THE THROTTLE、SWINGERZとして活動。2013年から2016年までの約3年間に行った路上ライブは4000回を超える。2018年ソロデビューアルバム『10』をリリースし、ソロ活動が本格化。 自叙伝『30』、玩具店『good junk store Brother』、ウイスキーバー『Brother』をオープンするなど、音楽だけにとどまらず、多岐に渡り活動の場を広げている。
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Brother / good junk store Brother
12月に2周年を迎えるジャズバー『Brother』と2月にオープンした『good junk store Brother』。両店ともに高岩がオーナーを務める。
東京都世田谷区太子堂3-15-5 バナナビル3F/4F