好きなバンドや映画、アニメキャラクターをモチーフにした1枚や、名デザイナーがシルエットにこだわり抜いた美しい1枚。私たちがふだん何気なく着ているTシャツには、選ぶ人の個性がにじみ出ている気がする。「お気に入りのTシャツを教えて!」と持ってきてもらったとっておきの9枚から、その人らしさを探ります。
第2回のゲストは、アーティストの小田原愛美さん。「私のクローゼットはTシャツばかり。買う時はわりとデザイン重視ですが、やっぱり着心地の良いものの方が手元に残りますね。古着を買うことが多いので、自分にぴったりのサイズを見つけるとつい手に入れてしまいます」と話す彼女の、ベストナインをご覧あれ。
『エルム街の悪夢』というホラー映画をモチーフにした1枚。10年ほど前に古着屋で見つけました。ホラー映画が大好きで、こういうTシャツをたくさん集めているんです。古着のTシャツは、価格が高すぎない掘り出し物を買うのが自己流。1万円以上するようなものは、あんまり欲しくなくなっちゃいますね…。『エルム街の悪夢』はホラー映画の中でも特に好きで、フィギュアなどもコレクションしています。
これも同じく『エルム街の悪夢』です。ホラー映画好きの友人にもらったのですが、その後すぐにアメリカに引っ越してしまったのでなかなか会えなくなり…。その子との思い出も含めて、大切にしている1枚です。このTシャツはすごく薄手で、形もなんかいびつ(笑)。趣味の合う人に会うと「フレディだ!」って突っ込んでもらえます。
ゾンビ映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』のもの。昔好きだった人にもらいました(笑)。これはサイズが大きめで、肩が落ちるシルエットがいい感じです。少し薄手の生地で、柔らかい着心地もナイス。ゾンビ映画も大好きで、他には『死霊のえじき』のTシャツも愛用しています。
ホラー映画ほどではないですが、バンドTシャツもたくさん集めています。これは約10年前にフリマで手に入れた、大好きなBad Brainsのもの。ちょっと大きすぎたので、自分で裾をカットしました。古着特有のクタっとした質感が気持ちよくて、着心地も最高。あまりにも着古しすぎて、ところどころ穴が空いてます…。
このTシャツが一番よく着てるかも! ほぼ毎日ってくらい着てます(笑)。SUBLIMEというバンドのもので、プリントもかっこいいし、サイズ感もバッチリ。黒のTシャツは汚れが目立たないしいろんなスタイルに合わせやすいから好きです。色が落ちてスミっぽくなっているところにもグッときますね。
同じくSUBLIMEの1枚。18歳の頃にLAのベニスビーチで買いました。現地でSUBLIMEを聴きながら「ここが聖地か…」と感動した思い出が詰まっています。当時は新品のどこにでも売ってそうなTシャツだったのですが、約15年経っていい感じに味が出てきましたね。これも裾をカットして愛用しています。
10年くらい前に〈JACKSON MATISSE〉のためにイラストを描いた1枚。初めてちゃんとお金をもらってアパレルの仕事をしたものなので、とても記憶に残っています。ドクロのイラストは、〈POWELL PERALTA〉というアメリカのスケートボードブランドのパロディです。ユルい感じがお気に入り。
レコード針などを製造する〈JICO〉のノベルティとして制作したもの。ボディのカラーも私が選んでいいと言ってもらえたので、90年代っぽい懐かしさのあるイエローにしました。イエロー×ブルーの組み合わせが好きですね。私も家でよく着ていますが、私以上に父が気に入ってヘビロテしています(笑)。
これは自分用にオリジナルで作ったTシャツ。Talking Headsのライブアルバムのタイトルである『Stop Making Sense』という言葉が好きで、“この言葉を着たい!”と思ったんです。自分用と夫用に、全部で6色くらい作りました。これはキッズの150サイズで、ピチッとタイトに着ています。
PROFILE
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小田原愛美
イラストレーションをはじめ、コラージュや陶器など手法を問わずさまざまな作品を制作するアーティスト。ポップで温かみのある、アイロニカルな世界観が魅力。私服やインテリアのセンスも注目を集め、自身がデザインするアパレルブランド〈I&ME〉も人気。