UPDATE : 2022.12.19

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#ART & CULTURE

ゴミ:06 軍手

Gomihiroi:Ken Kagami

Photo:Shinsuke Sato
Text:Taiyo Nagashima
Edit:Taiyo Nagashima,Fumika Ogura

It was Gunte? ¥0

片方の軍手はなぜ道端に落ちているのだろう。それがポピュラーな疑問であることは、Google検索してみればわかる。野良軍手の経緯諸説はここには書かないけれど(ググれば出てくるから)、自分の個人的な疑問はだいたい誰かがインターネットにすでに放流していて、そして妙に親切な誰かが回答している。それを確かめるとき、ちょっと心強いような、虚しいような、名状しがたい気持ちになる。自分だけの特別な発見のように思えたそれも、既出の問答で、夢想する間も無く答えに辿り着いてしまう。大切な何かが抜け落ちてしまっているような気がする。

だからこそ、実際に落ちている軍手を拾って確かめてみたい。加賀美健は、数少ない、ググるのではなく拾う方の人だ。

 

「気に入っていますね。佐川とかヤマトとか、ロゴが入った軍手を集めているんです。これは普通の軍手なのになんだか気持ち悪くて。見つけた時、「おっ」と思いましたね。よく見ると中になんか入ってる。なんだろう。よくわからなくて嫌な感じですよね。それがいいんですよ。」

 

膨らんだ軍手の中に広がる謎。何もかもググればわかるというのは勘違いで、好奇心を携えてこの世界で暮らしていれば、そこには解き明かされない謎が次々出現する。あの工場では何を作っているんだろう。なぜ花はこんな奇妙な/美しい形をしているんだろう。軍手の中に何が残されているんだろう。その一つ一つを見落としてしまわないように、子供の時、目に映る物全てに「これなに?」と問いかけたみずみずしいクエスチョンの居所を、今一度自分の中で検索してみるのだ。

 

拾った人:加賀美健

拾った場所:東京都内

素材:綿、???

※FREAK MAG.はゴミ拾いを推奨しています。

PROFILE

  • 加賀美 健

    現代美術作家。1974年、東京都生まれ。 

    社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。 

    2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。 

    日課の朝のウォーキングの際に面白いゴミが落ちていないか目を光らせながら歩いてる。

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