唯一無比。つまり、誰にも似ていない表現性やセンスをまとっている音楽家の装い。そのファッションスタイルには、どんなバックグラウンドとストーリー、譲れないこだわりがあるのかを、フォトセッションとインタビューで紐解く連載。
第3回にフィーチャーするのは、今、幅広い層のリスナーから熱視線を浴びているBREIMENのフロントマン、高木祥太。BREIMENというバンドの音楽像は、本当に稀有だ。高い演奏力を誇る5人のメンバーが鳴らす楽曲群は、独創性と大衆性が絶妙なバランスで融和している。BREIMENのすべての楽曲のソングライティングを手がけている高木のファッションもまた誰とも被らないビビッドな個性を放っている。
今回は彼がかつて暮らし、現在も仲間が共同生活を送っている東横線「反町駅」にあるアパートでフォトセッションを行った。

この部屋は5、6年前に弟と借りて。そこから住人が何度も入れ替わってるんですね。今はBREIMENのドラマーであるSo KannoとBREIMENのMVのディレクトリをすべて手がけている映像作家の2025が共同生活してます。コロナ禍になって最初のころはみんな時間もあるし寂しいからこの部屋に集まることが多くて。
BREIMENの2ndアルバム『Play time isn’t over』(2021年5月リリース)の着想を得たのもこの部屋だったし、この部屋はある意味ではあのアルバムとともにあったんですね。今後もこの場所は残したいし、誰も住まなくなったら事務所にしてもいいかなと思ってます。

ガイコツのツナギは原宿のよくわからないお店で買いました(笑)。まぁ、これはそのまんま俺が最初に衝撃を受けたベーシストでもあるレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のフリーのコスプレ的な感覚で買いました。「あ、フリーのやつがあった!」と思って。コスプレなんだけど、逆にハロウィンのときは着ないようにしていて(笑)。完全に日常使いしてます。

デニムのパンツとTシャツは、反町の古着屋“LIOT”(ライオット)で購入したものです。ここは大好きな古着屋で次回あらためて語らせてもらいます。赤のカーディガンは日吉にある“無人古着・古本ステルナ”という無人販売の古着屋&古本屋で買いました。
ここの店もすごく面白くて。古着は300円-1500円、古本は100円-500円の価格設定で販売されているんですけど、めちゃくちゃ雑多で興味を惹かれる服がいっぱいあるんです。このカーディガンはレディースなんですけど、「どんなご婦人が着ていたんだろう?」ってこの服が歩んできたバックグラウンドを想像するのも楽しくて。


今までブルーデニムは絶対に着ないと決めていたんです。でも、最近になってその考えが変わってきて。昔は無理だなと思っていたものが、ありだなと思えるようになった。それは音楽も一緒で。自分が作る曲のコード感やリスナーとして聴く音楽の幅がかなり広くなったんですね。
服は誰のために着ているものでもないし、自分が気持よければOKという意識が根本的にはあるけど、でも、潜在的にはどう見られたいかという気持ちも入ってるじゃないですか。だから、服ってその人のコアな精神性が映し出されると思うんですけど、歳を重ねるごとにジェンダーレスなスタイルでありたいという思いが大きくなっていて。それは裏を返せば、潜在意識では女性的にも男性的にも見られたいと思っているのかもしれない。それがこの赤いカーディガンやデニムのパンツにも表れているのかなと思います。
PROFILE
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高木祥太
常軌を逸した演奏とジャンルにとらわれないスタイルで注目を浴びる5人組オルタナティブファンクバンド、BREIMENのフロントマン及びベーシスト。
2020年2月に1stアルバム『TITY』、2021年5月に2ndアルバム『Play time isn’t over』をリリースし、多くの著名人やプレイヤーから称賛を受け、2022年にはASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文氏主催の 「APPLE VINEGAR -Music Award- 2022」において特別賞を受賞。 2022年5月9日にリリースされた岡野昭仁×井口理「MELODY(prod.by BREIMEN)」ではBa.Vo 高木祥太が作詞・作曲、BREIMENメンバーが 編曲・演奏に参加。2022年7月20日には3rdアルバム『FICTION』をリリース。
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