セックス・ピストルズ、カート・コバーンにはじまり、現代ではカニエ・ウエストやリアーナ、ブラック・ピンク、日本ではドラゴンアッシュのKJやKing Gnuなど。その時代を象徴する偉大なミュージシャンは、みんなファッションアイコンだ。
本連載では、この理論に基づき現代のファッションアイコン、そして次世代のファッションアイコンとなるミュージシャンを発掘し、彼らのファッション的ルーツを掘り下げていく。
第5回目は、シンガーのKick a Showにファッションの話を聞く。Kick a Showと言えばスーツスタイルからオーバーサイズなどハイモードな大人の男のスタイルをしていると感じるが、実際に今の気分はどうなのだろうか?
地元の先輩や父親からの影響を経て出来たスタイル
ーKick a Showさんのファッションスタイルについて教えていただきたいのですが、何か参考にしてきたカルチャーや人、アーティストなどはありますか?
地元、新潟でお世話になっていた先輩方です。1つのセレクトショップに通って、みんなと同じものを着たりしてきました。東京に住んでからも渋谷にそういうショップがあったので通っていましたね。めちゃくちゃお洒落でカッコいい大人たちが自分の周りにはいたなと思います。
ーそれは何か共通の音楽的なバックボーンがあるものですか? 〇〇年代のHIPHOPからのスタイルだとか。
いえ、僕は音楽とファッションを切り分けて捉えてきたんですよ。好きなアーティストの格好を真似るというのではなく、好きな格好をするという感覚です。どちらにも共通しているのは、たくさんのものを見聞きしてきた結果、今1番好きなものを自分のスタイルに落とし込んでいるということですね。
ーファッションのルーツが地元の先輩。では、音楽の原点はどこにありますか?
1番のルーツは父親からの影響だと思います。モータウン(アメリカのレコードレーベル)のレコードや日本の歌謡曲、南佳孝さんの短冊CDなどが家にあったので幼少期から聴いて影響を受けてきたと思います。自分が書く歌詞の世界観は、わりとその辺りからインスパイアされている部分も大きいと思います。
ーモータウンのアーティストで好きだったのは誰ですか?
アイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)とかも好きだったんですけど、家でよくかかっていたのはジャクソン5(The Jackson 5)でしたね。ソウルやR&Bはよく聴いていましたし、今でも好きです。純粋無垢な歌詞の世界観も好きで。
シンプルでジャストサイズな着こなしが気分
ーちなみに今のファッションスタイルについてはいかがでしょうか? Kick a Showさんと言えば、オーバーサイズでモード感のあるスタイルが連想されます。
この3年ほどでファッション観が変化したというか。今まで好んできていたのは、ヘンリック・ヴィブスコフ(Henrik Vibskov)などの北欧のブランドでサイズ感もワイドだったんですけど、最近はジャストサイズで着ようって考え方になってきましたね。
ーこの3年というと、ちょうどコロナ禍となった期間ですが、パンデミックからも影響される部分はありましたか?
まさにそれが理由です。イベントやライブなどの現場が減った時期、服を買わなくなっていったというのもあるんですけど、僕は実際にショップに行って試着したり手で触れて買いたいタイプなので、それができなくなってスタイルチェンジされた気がします。モードな感覚から動きやすく、場所を選ばずにハマるファッションを選択するようになっていったと思います。
ーなるほど。そんな中でずっと好きなブランドはあったりしますか?
2018年頃からC.P. カンパニー(C.P. Company)とお付き合いがあってスポンサードもしてくれたりしていたので、今でも好きでずっと着ていますね。C.P. カンパニーはもの作りに徹底したこだわりがありますし、ブランドとしてもバックボーンがすごいので、そういった情報を教えてもらってますます好きになりました。そういう背景を知って自分とのシンパシーを感じたりすると、よりブランドのことを好きになったりしますね。
ーたしかに。語りたくなる洋服は愛用し続けますよね。では、他のカルチャーからファッション的な影響を受けることはありますか? 例えば、映画だとか。
映画でいくとクリストファー・ノーラン監督作品が好きです。登場人物のスーツスタイルがめちゃくちゃお洒落でいいですね。その着こなしを参考にしたりします。
ースーツもKick a Showさんらしいと思います。好きなスーツスタイルはどんなものですか?
ブリティッシュなスタイルが好きですね。ダブルのスーツが好みで、友人のウィズダム ツール(Wisdom Tool)で仕立ててもらっているんですよ。
パリで活動していくことを目標として
ーでは、ステージのオンとオフでいくといかがでしょう? ファッションスタイルを分けたりしますか?
比較的そのままのスタイルですね。MVではテーマに応じて格好を変えたりもしますけど、ライブに関しては同じ服で出ることを意識しています。特に、好きなものが絞られてきた今は同じ服装でステージに上がることにも意味を感じていて、シンプルなシャツにしても同じものを何着も買って、常に新しい状態で同じ格好をキープすることを心がけています。
ー直近の音楽活動についても教えてください。
今年に入って「Déstresser」、「One More Time」とリリースしたんですけど、このシングルはパリのレーベルRoche MusiqueのCezaireがプロデュースしてくれたんですよ。FKJが所属するレーベルでもあるんですけど、これは個人的にすごく嬉しい出来事でした。そこから、彼らをミュージックバー、ライオンに招聘してイベントをすることもできましたね。その流れでKartellと今2曲一緒に制作しています。アップテンポな曲になりそうなので、リリースを楽しみにしていてほしいですね。その他にもリリースに絡めて面白いことを企画しているので、そちらもチェックしてほしいです。
ーパリというとKick a Showさんのルーツでもありますよね。今後のリリースも非常に楽しみにしています。では、今後の目標というか実現したいことがあったら教えてください。
この1年、Roche Musiqueを介してパリのアーティストの音楽性だったりを間近で見たり、一緒にディスカッションを重ねて制作を進めることで、もっとパリのカルチャーを知りたいと思うようになりました。あのフランスならではのスタイリッシュな感覚はきっと現地に行かないと理解できないものだと思います。僕もまだパリではライブしたことがないですし、フランスで活動することを目標にしていきたいと思っています。
PROFILE
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Kick a Show
佐渡島出身、東京拠点に活動するシンガー。今年の1月から4週連続デジタルリリースを行った。この楽曲のプロデュースをKick a Showが敬愛するFKJも所属するRoche Musiqueの総帥Cezaireをはじめとする面々が担当。この秋の動向にも期待を集中させている。





