UPDATE : 2024.02.14

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#ART & CULTURE

My Roots is…
-ミュージシャンたちのスタイルのルーツを紐解く- vol.08 SPARK!!SOUND!!SHOW!!

Photo:Takao_okb

Text:Ryo Tajima (DMRT)

セックス・ピストルズ、カート・コバーンにはじまり、現代ではカニエ・ウエストやリアーナ、ブラック・ピンク、日本ではドラゴンアッシュのKJやKing Gnuなど。その時代を象徴する偉大なミュージシャンは、みんなファッションアイコンだ。

 

本連載では、この理論に基づき現代のファッションアイコン、そして次世代のファッションアイコンとなるミュージシャンを発掘し、彼らのファッション的ルーツを掘り下げていく。

 

 

第8回目は国内のロックシーンを暴れ回っているミクスチャーバンド、SPARK!!SOUND!!SHOW!!(通称、スサシ)の4人が登場。ステージ衣装もオリジナル迷彩で揃えたり、バンドのTシャツデザインもメンバーであるチヨがディレクションしていたり、ファッション的にも独自の特異性を持っている。そんな彼らに聞くルーツの話とサブカルチャー×ファッションの話。

音楽や映画に家族 各々が受け取ったファッションのルーツ

ー自分のファッション的ルーツについて教えてください。

 

たくま:最初にファッションについて気になり出したのは高2の頃ですね。当時はエモやスクリーモ系のバンドが人気で、マイケミ(マイ・ケミカル・ロマンス)やストーリー・オブ・ザ・イヤーのファッションを参考にしたりしていたんですよ。スキニーにタイトなトップスっていう。それがお洒落なのかはさておき、自分が憧れている人と同じような格好をしてファッションを楽しんでいたと思います。

 

チヨ:僕の場合は映画からかもしれないですね。中学高校から洋画を見てファッションを意識するようになったと思います。それと同時期に絶対的なアイコンでもあるカート・コバーンから徐々に古着好きになって、高校の頃は友達と古着屋巡りをしたりしていました。

 

タナカユーキ:オレが中1の頃、『HUNGOUT』っていうテレビ番組が放送されていて、そこにワンコーナーでサバーバン・ノイズ系の(サバーバン・ノイズ・レコード、カリフォルニアのインディーズ音楽レーベル)アーティストを紹介していたんですよ。そこでハマったのがコットンマウス・キングス。当時、海外のアーティストのファッションはDVDやジャケ写からしかわからなかったんですけど、実家にPCが導入されてなんとDVDが観れるぞ、と。そこでアルバムに付属していたDVDに収録されていたMVなど映像に衝撃を受けましたね。特にタックスマン(MC)の存在感がすごくて。ディッキーズのダブルニーパンツに白ハイソックス、エキストラでスケーターもバンバン出てくるし。そこでスケーターファッションを知って、買う洋服も変わっていったと思います。今もサイズ感は大きめの洋服を着ているんですけど、その辺りは今に通じる部分がありますね。

 

イチロー:自分のルーツは親父です。小1の頃、父が知り合いから南国のお土産でもらったTシャツがあって、まったく着る様子もなかったので勝手に引っ張り出して着ていたんですよ。大人用なので合わないくらいサイズが大きいんですけど、そこが気に入っていたんです。そのサイズ感や生地感が好きになってファッションに興味を持つようになりました。デザインは鳥が走っているグラフィックがでっかくプリントされているものだったんですけど。

ーチヨさんは映画から、というお話がありましたがどういう作品が好きでしたか?

 

チヨ:『さらば青春の光』(1979年公開のイギリス映画)とか。そこからUKファッションが好きになり、いわゆるパンクなカルチャーに傾倒していって、18、19歳くらいには今に繋がる自分の好みの土台ができていったように思います。アメカジというよりもUKというか。もちろんときどきによって好みは変わっていくんですけど、ベースはそこかなと。成人式のときもモッズの影響でめっちゃスーツを詰めたりしましたから(笑)。あとは『フーリガン』(2005年公開のアメリカ・イギリス映画)からも影響を受けましたね。トレンチコートにジャージーを合わせたりする着こなしも今もカッコいいと思いますね。

ーそして今に繋がってくるというわけですね。たくまさんはエモやスクリーモバンドの着こなしを経て、今のファッション観になっていくのはどういう経緯がありましたか?

 

たくま:キャンプを始めてから服装が大きく変わったので4、5年前ですね。アウトドアシーンに対応できるように機能性が高くて着回しがいいものを選ぶようになりましたし、アクティブなスタイリングを好むようになりました。髪型も気にしないようにキャップを被るようになりましたし。ただ、シンプルならいいっていうわけでもなく、ポケットが多かったり、やたら収納性がよかったり、そういうちょっとクセがあるものに惹かれるようになりましたね。

ーイチローさんはデッカい鳥のグラフィックから今に繋がる点としてはいかがでしょう?

 

イチロー:なんなら鳥から定着していたと思います。

 

ーほう、鳥から定着?

 

イチロー:ええ。好きで着ていたという意味では今も変わらないですし、鳥が重要だったと言うよりサイズ感が今に繋がっているわけなので。

ー時空を超えて羽ばたいた。では、イチローさんにとってのファッションアイコンや影響を受けた映画などは?

 

イチロー:衝撃を受けたのはIWGP(ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』)や『GO』の窪塚洋介さんや『蛇にピアス』の井浦新さんですね。バンドを始めてからは、Tシャツを作ったりするようになるじゃないですか。そこからはサイズ感だけではなく素材感を追究するようになっていきましたね。コットンとポリエステルの含有率を見たり、シルエットに注目してみたり。20代中盤の頃はノームコアじゃないですけど無地にこだわるようになったりもしました。ロサンゼルスアパレルなどのボディが今は好みです。

ーちなみに、チヨさんは自分でも『SCAB CLUB』というブランドをやっていて、バンドのアー写などもコラージュで作成されたりしています。そういう面でファッションに影響を受ける部分はありますか?

 

チヨ:それはありますね。好きなアーティストの作品を見て、それを着たいと思うこともあります。例えば、今日着ているTシャツも尊敬しているアーティストのものですね。でも、影響を受けるのはさっきもお話した通り、映画からが多いと思います。

 

ーでは、ファッションもストーリーも楽しめるオススメムービーと言うといかがでしょう?

 

チヨ:たくさんありますけど、『ブレードランナー』(1982年公開、アメリカ映画)は登場人物のファッションがどれもお洒落で大好きです。あとは『フィフス・エレメント』も奇想天外な服装がユニークですよね。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年公開、アメリカ映画)も実はファッションとしてすごく楽しめるんじゃないかと思います。意外とパンクカルチャーに近しい格好をしているというか。

ーたくまくんが、今現在ファッション的インスパイアを受けるのは何からですか?

 

たくま:最近だと、MV撮影のときに衣装をリースしたりする古着屋の深緑からの影響はありますね。90年代のものやスポーティな古着もあって、いつ行っても楽しいんですよ。ディレクターのショウゴさんも友人ですし、ファッションのことを教えてくれたり、90年代の知られていないスポーツブランドの古着だとかオススメを提案してくれたり。知り合いだからこそインスパイアを受けるっていうのはあると思いますね。仲の良いバンドマンの格好を見て、「その服めっちゃいいじゃないですか」なんて会話が生まれたりしますから。

音楽とファッションの関係は形を変えて残り続ける

ー最近だと、誰とファッションの話をしたりしましたか?

 

たくま:SHADOWSのKazuki(Gt&Vo)やオーラル(THE ORAL CIGARETTES)の拓也(Vo&Gtの山中拓也)とか。結局、洋服がカッコいいというよりは、その人がカッコいいからファッションもカッコいいしお洒落に感じるんだよなっていうのはあります。

ーイチローさんはいかがでしょう? 今もインスパイアを受けるものと言えば何ですか?

 

イチロー:ルーツの1つでもあるんですけど、学生の頃から買っていたストリートファッション誌ですね。『Ollie』、『Samurai』、『warp』、『Boon』だとか。よく街角スナップ企画が掲載されていたじゃないですか。そのコーディネートの解説とか読んでいて、自分だったらこう合わせるなとか。あの時代の雑誌の雰囲気は今も脳裏に残っています。あとは、たくまが言う通り、深緑のショウゴさんには勉強させてもらっていますね。

ー今回、コーデに新作をミックスしてもらいましたが各々のルーツが反映されているように思いますね。

 

タナカユーキ:そうですね。今お話した部分が反映されているのかなと。自分の場合はなんか白シャツがいいなって思いましたね。ちょっとサイズも大きめだし。

ーお似合いですよ。スサシのみなさんが活動の軸にされているのはライブハウスであり、いわゆるロックシーンになりますが、そういった音楽×ファッションのカルチャーは今もあると思いますか?

 

チヨ:昔とは形が変わって今も存在していると思いますよ。鋲ジャンにタイトなダメージデニムだとか、いわゆるパンク・ハードコアなファションであったものを、今はクラブで遊ぶ若い子が好んで着たりするじゃないですか。この間、自分が好きなブランド、サイバーダイン(CYbER dYNE)のところに遊びに行ったんですけど、若い子が自分の好きなDJが着ているブランドだからって理由で着用していて、すごくいいことだと思いましたね。僕もhideさんが好きで、そこからインスパイアされた格好をしていますけど、今もラッパーからファッションの影響を受けて若い子が洋服を選ぶっていうのは、今後のファッションカルチャーが面白くなっていく要因になると思います。やっぱり、これからも音楽とファッションの関係性って密接なんじゃないですか。

PROFILE

  • SPARK!!SOUND!!SHOW!!

    4人組ミクスチャーバンド、通称スサシ。ジャンルに捉われない毒っ気のあるサウンドでシーンを魅了する。3月13日からはロックバンド、w.o.d.と共にスプリットツアー『痙攣』を開催。

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