“Culture Freak(カルチャー・フリーク)”。それは、アートや身体表現、ゲームや音楽、「〜道」など、さまざまなカルチャーに精通する人たち。時に熱狂的なまでに、その “道” を極めようと努める、“フリーク” な人々のこと。
本シリーズ連載では、そんな “Culture Freak” たちが心に抱く熱い想いや哲学を、インタビュー形式でお届け。
第二回は、細かな表現に水を織り交ぜた作品で、ユースを中心に注目を集めているグラフィックアーティストのAsahiNa。2000年生まれの彼女は、学生時代の19歳から独創的な作品を発表してきた新世代のアーティストだ。いかにしてアーティストとしての道を進んできたのか、なぜまた水といったエレメントを使うのか。00年代生まれでこれからの世界を切り開いていくであろうAsahiNaのルーツとこれからを聞く。
独学でスキルアップしながらグラッフィックデザイナーとしての道を切り開く
ーそもそもグラフィックデザインに興味を持ったのはいつですか?
AsahiNa:私が生まれ育った場所は山梨県なんですけど、その地元にいた高校3年生の受験シーズン中にグラフィックデザインを勉強したい! って思ったんです。しかも受験1ヵ月前に(笑)。それまでは教育系の大学に行って教師になろうと考えていました。
ー教師を目指していたのからグラフィックデザイナーとは思い切りましたね……(笑)。きっかけはなんだったのでしょう?
AsahiNa:教育は今でも携わりたいと思っています。ただ、高校3年生の夏に学校外の教育ってエンタメだと感じて。それこそ映画だったり音楽だったり。それで芸術系の大学に興味が出ました。グラフィックを選んだ理由は、当時、田舎暮らしだった私の楽しみは雑誌を読むことぐらいだったんですよね。なので毎月、街の本屋に行っては置いてあった雑誌ほぼすべてを読むほどに通っていました。あとはおもちゃや化粧品のパッケージやカタログを見るのも好きで集めていました。それから雑誌やカタログといったデザインをやりたいとなって、大阪芸術大学を受験しました。ただ、受験を決意するまでデッサンをまともにしたことがなかったので無理だろうなって思っていたんですけど、受かったんですよね。
ーそれまたすごい! では雑誌やカタログが好きだったのが興じて進学先が決まったのですね。進学後はどのような勉強を?
AsahiNa:今の私の仕事ってグラフィックはもちろん、タイポグラフィーも作るし、文字組みもするしって、基本的にデザインに関わることはすべて自分でやるんですけど、その土台は大学で勉強しました。でも2年くらい通って、やめてしまうんですけどね。
ーえ!? なぜまた?
AsahiNa:大学の授業って、デザインの専門学校に比べると進みが遅いんですよ。それにもやもやしていましたし、先生に言われたことをそのままするというのも私には向いてなくて……(笑)。もうそれなら自分で勉強してやろうってやめました。あと当時からクライアントワークを引き受けていたので、忙しくなってきたというのもあります。
ーそうだったのですね。では大学をやめたあとは地元に戻ったのですか?
AsahiNa:いえ。同級生が卒業するまではいて、それから上京しようと考えていたので、そのまま大阪に残りました。スケジュールとしては実際に学校に行っていたのと同じように勉強しつつ、フリーランスとして仕事もして過ごしていました。その頃にCGも勉強しましたね 。
ーこう聞いていると独学でいろいろとスキルをアップさせていったのですね。そしてなぜまた上京したかったのですか?
AsahiNa:勉強に関しては今も変わらずにしていますよ。いろんなソフトを試しながらスキルを磨いています。上京に関しては、もともとより大きな都市へ行きたいって願望があって。去年は個展の会場を探しに海外に1ヵ月半行っていました。大阪よりも東京、東京よりも海外って、人が多い街に移住したいって感じなのかな。きっと忙しいのが好きなんだと思います。
ーおもしろい歩みをされていますね。好きなカルチャーも聞かせてもらえますか。AsahiNaさんの作品は、ヒップホップシーンや、ガールズバンドのHaze、水曜日のカンパネラなど、音楽カルチャーでも見かけます。
AsahiNa:音楽はもともと好きでクラブにはよく行っています。最近は、レゲトンやダンスミュージックが好きです。
リアルすぎるCGではなくあくまでもCGとわかるものを作りたい
ーではここからは作品について聞かせてください。AsahiNaさんのグラフィックやCGは、水のエレメントを織り交ぜたものが多いのも特徴的ですが、影響を受けたものはありますか?
AsahiNa:固定のものに影響を受けたということはないのですが、 CGに関しては「ファイナルファンタジーX」や映画『スターウォーズ4~6』あたりのCGが好きなんです。というのも、今のCGってきれいすぎてリアルと変わらない感じがするんです。リアルを追求すると、現実で制作と向き合うことへのショートカットやコストカットになってしまうので、リアルを追求することにおもしろみは感じないですね。水や光沢のある質感を使うのは私自身が小さい頃から好きなんです。それこそ私は川沿いで育ったから、いつも地元を思い出して水を一貫してテーマとしています。自然はデジタルと相反するように感じるけど、うまくまとめられていると感じています。
ー確かに、リアルすぎるCGだとCGというのもそもそも意識しないかもしれませんね。そして、きれいな素材に惹かれるのですね。
AsahiNa:きれいなものが好きってみんなにあるものだと思うんですよね。例えば美しい夕焼けを見て、きれいと感じない人はいないはず。この美意識は大切にしています。とはいえ、制作のモチーフはそのときどきの美しいと感じたものや好きなものを使っています。自動車の気分だった時は、タイヤや車体をモチーフにするし、植物の時は植物をモチーフにしている。好きなものが変わること自体も美しいことだと思います。
ー他にも作品を作る際に意識していることはありますか?
AsahiNa:すべての作品に共通していることだと、まずはしっかり構想を練ります。仕上げはPCで行いますが、制作のスタートは必ず手描きです。タイポグラフィーだと8割がたは手描きで仕上げています。そうすることで自ずと手ぐせが反映されて、自分らしさも出せますからね。
ーアパレルグッズも発表されていますよね。
AsahiNa:クライアントワークで作ることもありますが、展示とは別でたまにアパレルを作ってポップアップをしています。これは毎回テーマを設けて作っているんですけど、前回だと映画『ワイルド・スピード』からインスパイアを受けて、サイクリングのトップスやレーシングカーをモチーフにしたグラフィックを作りましたね。これも作品と一緒で、作りたいものを作りたくてって衝動で作っています。
ーアパレルのクオリティも高いです。
AsahiNa:クオリティは高くしたいですけど、あくまでもポップアップはグッズ以上ブランド未満のバランスでやることを大事にしています。私はグラフィックアーティストであって、ファッションデザイナーとは違うので。個展に関しては、ポップアップとは線引きをしていて作品の流用は絶対しませんし、企画のテーマもまるまる考え直してゼロからスタートしています。
ーもの作りに貪欲なのですね。このように作品作りにアパレルにといろいろな表現をされていますが、大切にしていることはありますか?
AsahiNa:これは精神論になりますが、自分との対峙の時間を一番大切にしています。たまに自分の作品の完成度ではなくて、自分のしてることは世の中の誰かの役に立ってるかな、って根本の部分を考える時があって……。私にとって制作や表現は「より良い人生を生きる手段」なんですけど、それって形は違えど全員にありますよね。もっと何かを学びたいとか、ファッションで自己表現したいとか。芸術は作る立場の人間でなくても、なぜそれが好きなのかを考えたり、取捨選択していく上で自分を形作っていける手段なのかなって思ってて。なので私が好きで作った作品を好きだと思ってもらえたら嬉しいし、作品に対する姿勢をカッコいいと思ってもらえたらもっと嬉しい。要は共感してほしいんですよね。だから私の作品は私の人生や生活が反映されているべき。その時に自分の気持ちに正直に生きたり、何を作るかを死ぬほど真剣に考えたりと、そういった自分との対峙が大切になってくる。正面向いて生きるといいますか。
あとは秩序がないものというか、抽象的なものは作らないようにしています。モチーフとしているものが明確にあって、それをデザインしていきますね。もともとデザインを勉強していたので、はちゃめちゃなものが好きじゃないのかもしれないです。
ー最後に今後作ってみたいものや展望はありますか?
AsahiNa:今は映像作品を作りたいです。過去にVJ用に短いものは作ったことはあるんですけど、作品としてはなかったので。作った映像を投影してその空間ごと作り込んだような作品にできたらいいですね。そして、展示は海外でやりたい。直近はロサンゼルスと台湾に行こうと思っています。それでいつか日本以外にも住んでみたいですね
PROFILE
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AsahiNa
2000年生まれ、山梨県出身のグラフィックアーティスト。水や光沢のある素材をモチーフに作品を発表する。アーティストとして活動しながら、国内外のジャケットワークやブランドにグラフィックの提供もするなど、幅広く活動を展開中。





