UPDATE : 2024.06.06

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#ART & CULTURE

レコード会社勤務からイラストレーターに。異色のキャリアと独自の手法で活動するdokkoiとは?

Photo:Takao_okb

Text:Shuichi Aizawa(PineBooks Inc.)

イラストレーターのdokkoiは、2018年から独学でイラストを描き始め、約5年後の2023年には初の個展を開催し、アート、サブカルシーンで話題を集めている。そのキャリアは異色で、イラストレーターになる前はレコード会社のavexで販売促進や営業、イベント制作などを担当していたという。どのような経緯でイラストレーターを目指し、どのような作品を作っているのか。今年4月に2度目なる個展「Dokkoi Dokkoi DOKKOI SHOW(どっこいどっこいどっこいしょ)」を開催したdokkoiに、個展を振り返ってもらいながら制作にまつわる話やルーツを聞いた。

イラストレーターになる前はレコード会社勤務

ーまずはdokkoiさんがイラストレーターになる前のキャリアから聞かせてください。レコード会社のavexにいらっしゃったそうですね。

 

dokkoi:そうです。僕は就職氷河期世代だったのでバイトからスタートしました。最初は販促物の制作を担当していて、レコードショップなどに置くポスターだったりを発注したり、自分でも作ったりしていました。それから営業に異動し全国のレコードショップを巡り、最後はイベント制作の部署でライブの会場押さえからキャストのブッキングだったりと、15年間勤務していろんなことを経験させてもらいました。それでいろいろとやったことだし、もういいかなと思って退職してイラストを描き始めました。それが2018年のことです。なので描き始めて今年で6年目です。ただ作品としての耐久性があるものを描けるようになってきたのはこの2年くらいですかね。

 

ー音楽映像業界からイラストレーションの世界にとはまさに異色の経歴です。ちなみにdokkoiの由来はなんでしょうか?

 

dokkoi:『ガリヴァー旅行記』(ジョナサン・スウィフトによる小説)をスケールダウンしたような話で『どっこい海へ行く』(安藤明義による児童文学)というのが小学校の教科書に載っていて、そこからいただきました。というのも僕は小さい頃から体が大きかったので、それが理由です。

ーなるほど。合点がいきました。4月6日から4月28日までギャラリー月極で2度目となる個展「Dokkoi Dokkoi DOKKOI SHOW(どっこいどっこいどっこいしょ)」を開催されましたが、1年ぶりの個展を終えてみていかがですか?

 

dokkoi:1度目は2週間の展示期間でやったのですが、今回は1ヵ月ほどやらせてもらいました。集客は前回ほどではありませんでしたが、作品の売り上げは良かったので、購入意欲がある方に来ていただけてよかったですし、来年には3回目の個展をやらせてもらうことも決まりました。

 

ー3回目が決まったのですね! ちなみにどういった経緯で個展を開催することになったのでしょうか?

 

dokkoi:いろんな縁があって、アーティストのYOSHIROTTENさんと知り合いになったのがきっかけです。その時イラストを練習がてらたくさん描いていて見てもらったんですよ。それで「ギャラリーでの展示に興味ありませんか?」と声をかけてもらったんですよね。当時はクライアントワークはいくつかしていましたが、自分がどんなポジションにいるのかもわからなかったし、褒めてもらうこともあまりなかったので嬉しかったですね。それから個展会場になったギャラリー月極を紹介していただいて今に至ります。

ーそうだったのですね! 前回の個展もそうですが、すごい数の作品が並んでいました。絵を描くことは好きですか?

 

dokkoi:それが絵を描くのはあまり得意ではないし、苦手なんですよね……(苦笑)。でも作家性が出るまで時間が必要なので、3回はやりたかった。そして描くと決めたら筆は早いほうなので、たくさん描いて買いやすい値段に設定しています。

練習にトレンドや傾向を分析を重ねた日々

ー個展ではどのようなものを題材にして構成したのですか?

 

dokkoi:2回とも同じテーマで制作しています。わかりやすく伝えるなら、YouTubeを開いた時に出てくるおすすめ動画のサムネイル画像がヒントになっています。それを自分なりに分析して今の時代のトレンドにハマるように解釈して描いています。

 

ートレンドを意識するということは、鑑賞者を意識して作品を作っているということですか?

 

dokkoi:そうですね。個展はあくまでも誰かに作品を所有してもらいたいのを前提にしています。なのでモチーフはマニアックなものも入れつつ、作品数を多くしていたり作品のタッチやサイズ感も変えたりもしていて、説明すれば納得して欲しくなるようにと心がけています。あとはクライアントワークも積極的にやっていきたいので、PR的な側面もあります。何より作品制作が自己満足になることは避けていますし興味はないです。

ービジネス的な側面も強いのですね。なぜまたイラストレーターを目指すことにしたのでしょうか。

 

dokkoi:もともとはグラフィックが好きだったのでグラフィックデザイナーになりたかったんです。でも退職した時にはすでに競合も多いジャンルでしたし、AIやアプリといったテクノロジーが日々進化している。それに対してイラストのシーンは、グラフィックに比べると描き手は少なくなってきていたこともあったので、チャレンジする価値があるなと感じました。それで退職してからひたすら絵を描いてテクニックを上げながら、トレンドや傾向などを徹底的に分析しました。

 

ー他にも分析されたことはありますか?

 

dokkoi:書体や構図の研究ですね。具体的にいうと、自分が“いいな”と思ったものがあったら、なぜいいと感じたのかとポイントを整理するようになりました。そのうえでマネしてできることとできないことに分ける。それでできないことはなぜできないのかということを自分なりに明確にして、できるようになるために練習を繰り返しました。

ー最初はどのような作風でしたか?

 

dokkoi:ひと言で言うとすごく汚ない感じでした(笑)。整理整頓された汚なさはクールだと思うのですが、僕の初期の作品はそうではなかったですね。

 

ー前職が現在の仕事に生かされていることはありますか?

 

dokkoi:発注している側でしたので、発注者の気持ちに共感できますし理解もできるので、それは大きい気がします。

dokkoi初期のイラスト。2022年に月極で行われた初の個展では、こちらの原画も販売された

作品制作だけじゃなくクライアントワークもこなしていきたい

ー現在の作風に影響を受けたアーティストやカルチャーはありますか?

 

dokkoi:若い頃はスケシン(SKATETHING)さんやPALACE SKATEBOARDSのロゴをデザインしたファーガス・パーセル(Fergus Purcell)さんが好きでしたが、最近はカリ・ソーンヒル・デウィット(Cali Thornhill Dewitt)さんやグッチメイズ(GUCCIMAZE)さんやMIN-NANOのGoroさんの影響は受けていると思います。あとは個人的にも好きなんですけど、1990年代あたりのサーフィンやスケートボードシーンのグラフィックは見返して研究しています。あの時代はパロディ色が強くておもしろいんですよね。

こちらもdokkoi初期のイラスト。

ー来年も個展はありますが、イラストレーターとしてどのような活動をしていきたいですか?

 

dokkoi:作品制作とクライアントワークを並行してやっていきたいです。

 

ー作品制作とクライアントワークでは考え方は違いますか?

 

dokkoi:まったく違います。個展用の作品制作は、練習でもあり実験のような意味合いもあります。それに対してクライアントワークは、いただいた依頼に対して精度が高い作品をスピーディに仕上げる感じですかね。

ー今やSNSもあって、アーティストに限らずいろんな人が作品を発表できる機会が増えたと思います。それこそdokkoiさんのように今は働いているけどいずれはアーティストになりたいと考えている人もいるはず。そのような人に向けてアドバイスするならどのようなメッセージを送りますか?

 

dokkoi:まだ人にアドバイスできるほどではないので、自分が気をつけていることになりますが……。クライアントワークをメインにしたいのならば、一緒に仕事をしたいブランドやクライアントなどをイメージしてみたり、さらにいつまでに実現したいかなど、目標設定をきちんとしたほうがいいと思います。また作品制作をしたい人にも共通するのは、ロールモデルの設定や目標としている人がいるならその方をきちんと研究すること。またその方と知り合いになれるともっといろんなことが見えてくると思うので、どうすれば仲良くなれるのかも考えてもいいかもしれません。そのためには社会性がある程度ないと失礼になるので、知識やマナーは最低限必要です。時代とともにルールがちょっとずつ変わるので、これは自分も気をつけるようにしています。

 

ーありがとうございます! 個展は来年ですが、現在告知できることはありますか?

 

dokkoi:VISION STREET WEARから、コラージュを多用したようなデザインのTシャツがいくつかリリースされるので、興味ある方はぜひチェックしてください。よろしくお願いします!

 

ー最後になりますが、今後やってみたいことはありますか?

 

dokkoi:やりたいことってあんまりなくて……(笑)。今はとにかくクライアントワークをもっともっとこなしていきたいです。そして自分の作品の価値が高くなるようにがんばっていきたいですね。

INFORMATION

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PROFILE

  • dokkoi

    1979年生まれのイラストレーター。15年間勤務したレコード会社を39歳で退社した後、イラストレーターを目指し独立。ヒップホップにおけるビートサンプリングに近い手法で描かれる作品は、独特なタッチで魅了する。その活動は、国内外のブランドやアーティストとつながり、Perks and Mini(P.A.M.)やAries、thisisneverthatなどの海外ファッションブランドや、MIN-NANOやTOXGOなどといった国内のセレクトショップにグラフィックやイラストの提供などもしている。

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