UPDATE : 2024.07.24

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#ART & CULTURE

コラボを超えたコラボ。HOSOI × CHALLENGER 2024プロジェクトの裏側

Text:Yoshio Yoshida

Edit:FREAK MAG.

80年代に世界を席巻し、いまもシーンに影響を与え続けているカリスマスケーター ”CHRISTIAN HOSOI”と、バイクやスケートボードなど自分たちが子供のころに憧れていたカルチャーを表現している”CHALLENGER”による、スタイル全開のカプセルコレクションが7/27(土)リリース!

本コレクションの仕掛け人である田口悟(CHALLENGERデザイナー)と柴田アルベルト将吾(FREAK’S STOREバイヤー)による今回のコラボの裏側に込めた想いや裏話を、スケートボードシーンを捉え続けてきたフォトグラファーであり、ライターでもある吉田佳央氏をインタビュアーに迎えてお届けします。

コラボレーションのきっかけ

ーまずは今回のコラボの経緯から聞かせていただけますか。

 

田口(以下 田):ホソイとのコラボは2回目なんですけど、そもそものきっかけは以前CHALLENGERとDCがコラボした時のDCの担当者が、クリスチャン・ホソイと一緒にキリスト教の礼拝をしている仲で。僕が80’sのスケートカルチャーが好きと話していたからか、「お前はクリスチャン・ホソイに興味はないのか?」って。もちろん「めちゃめちゃ好きだよ!」って返したら、「何か一緒にやらないか?」「できるのであればぜひやりたい!」という流れでやらせていただき、2017年のお正月に限定アイテムとしてリリースされたんです。

 

アルベルト(以下 ア):FREAK’S STOREでCHALLENGERのアイテムをやらせてもらうのも2回目で、前回はMAGIC NUMBERとのコラボでした。スケートボードが初めてオリンピック競技として実施された年でしたね。 

そして2024年、今年は別の形で何かコラボレーションできないかというのを相談していて、最初はいろんなものを持ち込んでスケートにまつわる企画をやりたいと思ってたんですけど、ちょうどその頃にホソイの第二弾をやらないか? っていう話があるのを聞いて。僕ももともとホソイのファンで、オールドスクールデッキに乗っているのも田口さんは見てくれていて、前回のコラボデッキをいただいていました。今も家に飾らせてもらっているんですけど、そんな経緯もあって、ぜひFREAK’S STOREでやらせてくださいとなったんです。

ーHOSOI × CHALLENGERとしては2回目でも、FREAK’S STOREとしては初めてなんですね。

 

田:ただホソイをテーマに描くのは3回目なんです。ホソイがスポンサードされているのもあり、2回目はRVCAでやっていて、コロナ禍だったんですけどいろんなアーティストが彼を題材に描くっていう企画で、かなりの大きさのキャンバスに描いてアメリカに送りました。今もRVCAの本社に飾ってくれていますよ。

 

ア:そんなこともあったんですね。

 

田:作品は全て龍をモチーフにしています。正確には最初のは鯉なんですけど、鯉は川を登って龍になるっていう伝説があって。自分の中ではクリスチャン・ホソイ=ドラゴンというくらいワイルドな存在でもあり、今年は偶然にも辰年。それもあって必然な流れでしたね。

 

ア:80年代って、スカルとかドラゴンのグラフィックが多いですよね。スティーブ・キャバレロのキャブドラゴンのイメージも強いし親和性があるというか。今回のアートはちょうど龍の衣がプールコーピングのようになっていて、そこでホソイがレイバックしているっていう発想にトバされました。

スケートこそ”表現のひとつ”

ア:前回のCHALLENGER × MAGIC NUMBERのコラボの時も、長瀬智也さんや中村竜さんがスケートボードはひとつの遊び、どう表現するかだよねといったような話をしていて、すごい共感していたんです。

80’sのムービーをディグってもホソイとトニー・ホークとの対決とかすごく面白いんですけど、ホソイはマシーンのようなエリートのトニー・ホークを前にしてもすごく見栄えがするというか、素人目でも感じられる勢いやアツさがあって、僕の中で存在感が大きくなっていったんです。ホソイのスケートこそ表現だよなって。それもあってオリンピックというスポーツの枠で行われるスケートボード競技であっても、表現としての側面もあるんだよっていうのを感じてほしいなと。

 

 

ー東京オリンピックでも、男子パークでボルケーノの上に立って、あえてエンターテイナーとして魅せていたスケーターもいましたよね。

 

ア:いましたね、最高でした! あと岡本碧優選手がラストのフリップインディーはメイクできなかったけど抱き抱えられたシーンも、スケートボードが元々持っている魅力だと思うし、そういう意味でも既存のオリンピックスポーツとは違って、上手いだけじゃなくカッコいいが大事、それをどう表現するかなんだよ? というか。CHALLENGERのブランドコンセプトにもそういったところがありますよね?

 

田:CHALLENGERはアメリカンガレージというか、バイクとかスケートボードとか自分たちが子供の頃に憧れたものを表現している感じなんですけど、なんだろうな? D.I.Y.精神があって全てを自分たちで創り上げる楽しさを表現しているみたいなところはあるかなと。

なおかつそれはスケートボードにも共通しているというか。僕らの時代のストリートスピリットみたいなものは、スケートボードがオリンピック競技になって、ライダーが選手と呼ばれるようになっても変わらない部分ではあると思っていて。前回のオリンピックもそうだし、パリオリンピックの予選大会を見ていても、本番はメイクできなくても表彰式が終わった後にメイクしていて、そのシーンを後でSNSとかで観ると「これだよな!」って思うんですよね。

乗り方が完全にストリート

ーではパリオリンピックについてはどうお考えですか?

 

ア:表現でしょと言いながらも、見たらやっぱり興奮しちゃいますよね。もともと競技の部分を否定している訳ではないですし、めちゃくちゃ面白いですし、すごく応援していますし、欠かさず見ようと思っています。でも前回もそんな話をしましたよね? 東京オリンピックの時も始まっちゃったらめちゃくちゃ面白いよね。涙出ちゃうよねって。

 

田:今回はもうオリンピック予選シリーズの最終戦、ブダペストですでに涙ですよ。

 

 

ー西矢椛、織田夢海、根附海龍、佐々木音憧……、いろんな選手の涙がありましたね。

 

田:あの場にいたスケーターは全員本当にスゴイと思います。僕らの時代では考えられないことが起こっていますよね。メイク率といい、同じスケートボードとは思えないくらい、レベルも規模も全然違いますね。

 

ア:田口さんから見てもそうなんですね。僕は日本がこんな急激に強くなるなんて思ってもみなかったんですけど、それこそCHALLENGER × HOSOIの初コラボ時のインタビュームービーで、ホソイが「日本は若いスケーターがすごく伸びてきてるから、この先、日本人が表彰台を独占する日も近いよ」と言ってたんですけど、東京オリンピックでその通りになって「凄え……」って思いました。今回田口さん的な注目選手っていますか?

 

田:そこで堀米(雄斗)君って言っても面白みがないと思うので、さっき涙があったと話していましたけど、音憧(佐々木)君が好きなんですよね。ギリギリで出場は叶わなかったですけど、彼って乗り方が完全にストリートじゃないですか? カルチャーの良さや悪っぽさが滲み出ているというか。そういう人が活躍してくれるのが個人的に面白いんですよ。

他にもコンテストはあまり出てないですけど佐々木真那君とかも良い子だしカッコいいですよね。あと京之助(山下)君も。今は映像を残す方にシフトした感じがしますけど、僕はそっちで全然良いじゃんって思いますけどね。

 

ア:昔、原宿のHurley本社の地下に小さなランプがあったんですけど、まだ小学生だった京之助君と一緒に滑ってましたよ。特に開放はしてなくて知り合いだけどうぞって場所だったんですけど、最初は誰かの友達の友達みたいなところから来るようになって、夜に気兼ねなく滑れるってことで重宝してくれて、よくお父さんと通ってくれていました。当時はストリートではなく、アールばかりでしたね。

 

田:やっぱりアールから入った方が将来ストリートも上手くなるのかな? 僕らの頃とは違ってストリートじゃなくてアール、カルチャーじゃなくてスポーツからスケートボードに入っていくのが今やスタンダードですよね。

アートだからこそできる表現

ー今回のコレクションの中心になっているバンダナのデザインについてもう少し詳しく聞かせていただけますか?

 

田:描くって決めてからは龍以外出てこなかったんですけど、前回がエアーだったから今回はグラインドかなって思った時に、ホソイにはレイバックのイメージがあって。独特のダイナミックさを表現したくて、目一杯使った感じですかね。構図的にもすごく気に入っています。

ア:ホソイのレイバック、カッコいいですよね! スタイルが詰まったお手本というか。バートでのエアーももちろんなんですけど、プールでのグラインドもめちゃくちゃシビれます。本人もこのバンダナのデザインはめちゃくちゃ気に入っていて、レイバックにもすごいこだわりがあるっていうのをインタビューで語ってくれているので、それもぜひ観てほしいなと思います。

 

ーそこは田口さんの長年のスケートキャリアがあって、本質をわかっているのも大きいですよね。

 

田:それにアートじゃないとこういう表現はできないですよね。だったら遊んだ方が面白いかなって。

 

ア:いい感じにプールコーピングの味も出ていますしね。ゴリゴリ系だぞっていう。他にも個人的には鳥山明さんが亡くなられた年というのもあって、神龍もそうですし、悟空が界王様のところへ向かう時の蛇の道とも重なるというか。田口さんからのラフデザインを見た瞬間に、これはキテるなと思ったんですよ。

このレイバックグラインドなんですけど、デザインの中でL/S TeeにだけCHALLENGERロゴにグラインドしているところがまたカッコよくて。応用すれば使いどころも満載だなって。

将来、古着として価値が出る

ー他のアイテムのこだわりも聞かせていただけますか。

 

田:やっぱり樋貝(吉郎)さんの写真を使わせてもらってるところじゃないですかね。当時、リアルに撮っていた人の写真が使えるのは光栄ですよ。

 

ア:樋貝さんの写真を使ってはどうかという話をいただいた時、自分はOPEN STUDIOのディレクターと一緒にいたんですけど、2人して「ヤバいですね! ぜひやりましょう!!」って。それからこのフォトTは想像していて、欲しいなと思っていたんですけど、さらに田口さんから上がってきたフォト総柄のシャツデザインを見たら、更にトバされましたね。

田:樋貝さんから写真をいっぱい使って総柄にするのが面白いんじゃないかってアイデアをもらったんですよ。最初は遠慮して、あまりたくさん写真使っちゃいけないかなと控えめにしていたんですけど、せっかくだったらなんでも使ってよと言ってくれて。

 

ア:実は今回のアイテムにはシグネチャーが入っているんです。CHALLENGER × ホソイのコラボと言いながら、樋貝さんとのコラボでもあって、20~30年後に古着として良い価値が出るような商品が作れているんじゃないか? そういう企画に参加できているってところで、自分も興奮しているんですよね。正直売れる、売れないはあまり考えていないというか、それよりも記憶として、プロダクトとして後世に残すべき企画だと思ったから取り組んだんですよ。

田:僕もカルチャーを伝える意識は持っていて。今回この服を着て樋貝さんに初めてジャンプランプで撮ってもらったんですよ。肋骨を強打しちゃいましたけど。笑

 

ア:樋貝さんの写真を使って個展をやることはポップアップ期間中のコンテンツに入れていたんです。それなら打ち合わせを兼ねて現調もしてもらおうというタイミングで、CHALLENGERの店舗前で田口さんのスケート写真を撮ろうっていう話が持ち上がって。セッションの時、会社には「ちょっと打ち合わせに出ます」って言って抜け出して、自分は見学に行っていました。笑

 

田:CHALLENGERのお店は今年で15年になるんですけど、ビルの建て壊しが決まって8月でなくなっちゃうんですよ。だから、どうしても店舗前で写真が残したくて。それでジャンプランプをお店の真ん前に置いて、車が行き交う中でバックサイドヒッピーツイストをやったんですよね。

 

 

ー田口さんが滑って樋貝さんが撮る。しかもジャンランというセクションに技のセレクトも、青春時代にスケートボードをしてきた40代には刺さるものがありますね。

 

ア:あの時は僕も樋貝さんが撮っている体勢とかを見て、『JUDO AIR』に載っている写真はこういう感じで撮ったんだなって想いを馳せちゃって。イチファンとしてめちゃくちゃ面白かったですね。その時の田口さんの写真も渋谷のギャラリーに展示予定なので、ぜひそれも皆さんに鑑賞してもらいたいなと思っています!

INFORMATION

  • 【HOSOI×CHALLENGER】2024 CAPSULE COLLECTION

    80年代に世界を席巻し、今もなおシーンに影響を与え続けているカリスマスケーター“CHRISTIAN HOSOI”と、バイクやスケートボードなど自分たちが子供のころに憧れていたカルチャーを表現している“CHALLENGER”による、スタイル全開のカプセルコレクションが7/27(土)リリース!

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