UPDATE : 2024.11.05

Articles

1

#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.01

Text:Taishi Iwami

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

Automatic『Signal』

LAを拠点にする3人組バンド、Automaticが2019年9月にStones Throwよりリリースした1stアルバム。Peanut Butter Wolfが1996年に設立し、MadlibやMF DOOM、 J Dillaら錚々たるメンバーによる作品を世に送り出してきた同レーベルとは、アンダーグラウンドでのライブ活動が噂を呼び契約に至ったそう。

70年代パンク~80年代ポストパンクからの影響を起点に実験的かつポップなサウンドを展開。シンセボーカルとドラムボーカルとベースそれぞれの、シンプルでありながら既成概念に捉われないフレーズの反復がクセになります。

また、収録曲から、「Too Much Money」がGUCCIのコスメのCMに、「Calling It」はCELINE、「Suicide In Texas」はGIVENCYのランウェイに使用されるなど、ファッション業界からの注目も高いバンドです。そんなAutomaticの初来日ライブが決定しました。12月1日(日)にCIRCUS TOKYO、12月8日(日)に大阪NOON +CAFEにて。私たちのパーティ、SUPERFUZZがオーガナイズします。

Kaeto『INTRO』

スコットランド生まれロンドン在住のシンガーソングライター、Kaetoのこれまでにリリースしてきたシングルに新曲を加えた最新作。基本的には全体を通して何かしらのコンセプトやイメージを表現する“アルバム”ではなく、これまでに作ってきた曲のコレクション、“ミックステープ”という位置付けです。

肉体を揺らすブレイクビーツ、透き通った歌声、優美な曲線を描くメロディライン、神秘的で夢見心地なサウンドスケープなどが混ざり合い、オルタナティブとポップの間に橋を架ける。すでにHaimやLauren Mayberry(CHVRCHES)、Bleachersといったビッグアーティストのサポートアクトも務めており、これからの飛躍が楽しみです。

Heartworms「Warplane」

Jojo Orme率いるバンド、Heartwormsの最新シングル。リリースはUKインディー/オルタナティブミュージックの登竜門、Speedy Undergroundより。2020年に一度シングルデビューしており、いくつかのメディアに取り上げられていたことで知ったのですが、しばらく音沙汰がなく、2022年10月に再びシングル「Consisitent Dedication」を携えて登場。そこからはコンスタントなリリースを続けています。

テクノの没入感とパンクやオルタナティブロックの熱とのケミストリーによる、動物的、肉体的なダンスグルーヴ、Jojoの美しく力強い存在感は圧倒的。歌詞はイギリスのスーパーマリン社が開発した戦闘機、スピットファイアとそのパイロットにインスパイアされたとのこと。バンドは、この曲を聴いたあとだとさらに緊張感が増す『Glutton for Punishment』というタイトルのデビューアルバムを、2025年2月7日にリリースします。

ここ最近のニューリリースでもっとも気になった動きは、近年謡われ続けてきた00年代エレクトロクラッシュの再燃。エレクトロクラッシュとは、簡単に言えば、80年代からあったパンク/ポストパンク、エレクトロポップ、ディスコといった音楽の融合が再解釈されたダンスミュージックのムーブメント。The Dareが本格的にブレイクし、メインストリームではBLACKPINKのROSÉがBruno Marsとともに、パンキッシュでダンサブルなサウンドで人気を博したThe Ting Tingsを曲とビデオの両側から明らかにオマージュ。Charli XCXも自身のルーツの一つである当時のダンスミュージックにアプローチしてます。

 

Floating Points、Jamie xx、BICEPといったビッグなエレクトロニックアーティストが、ダンスフロア直下の作品をリリースしたことも、ダンスミュージック豊作の2024年を象徴する瞬間と言えます。Primal Screamがここにきて思いっきりハウスに舵を切ったことも実に興味深く、アシッドハウスがロンドンやマンチェスターのクラブを席巻し、レイヴカルチャーが隆盛を迎えた80年代後半~90年代に刺激を受けリリースしたアルバム『Screamadelica』期と今を重ねているのかも、と思ったり。

国内からは、東京を拠点に活動するbedを紹介。完全にインディペンデントで都内のクラブ/ライブハウスでプロップスを高め続け、その噂は複数の海外メディアに取り上げられるなど、今もっとも注目のバンドです。12月にUKから来日するFAT DOGの公演を全日サポート、先述のAutomaticのジャパンツアーにも出演してくれます。

INFORMATION

  • Automatic Japan Tour 2024

    [TOKYO]

    日時:2024年12月1日(日)

    会場:CIRCUS TOKYO

    時間:Open 18:00 / Live Start 19:00

    料金:Adv. 5,500yen(+ 1drink Fee 700yen)

    Live:Automatic / bed

    DJ:ORM / SUPERFUZZ

     

    [OSAKA]

    日時:2024年12月8日(日)

    会場:NOON+CAFE

    時間:Open 18:00 / Live Start 19:00

    料金:Adv. 5,500yen(+ 1drink Fee 600yen)

    Live:Automatic / bed

    DJ:SUPERFUZZ

    チケット:https://superfuzz2019.com

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

    10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといったロックミュージックのディグに明け暮れるように。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、自身もDJを始める。現在は主にDJ、ライター、イベントのオーガナイザーとして活動。オルタナティブミュージックパーティ「SUPERFUZZ」の代表を務めている。

  • NEWLY

    NEWLY

    NEWLY

  • NEWLY

    NEWLY

    NEWLY

  • RECOMMEND

    RECOMMEND

  • RECOMMEND

    RECOMMEND