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用の美という言葉がある。柳宗悦が民藝運動の中で提唱した観念として広く知られ、あらゆる道具は、用途を遂行するために必然的な美しさを備えていくというものだ。では、その対義語はなんだろう。不要の美、とでも言おうか。それはまさしく、加賀美健のための言葉のようだ。「メガネは、壊れかたがいいものだけ拾います。意味とか役に立つとか、そういうことはもちろん考えていないですね。みんながゴミ拾いに価値を見出し始めたら、僕はやらないと思います。あとは、相川翔っぽいメガネは持ち帰りたくないですね。見つけても眺めるだけにしておきます。」アスファルトに熱されて歪んだフレーム。片方外れたレンズ。ねじれたテンプル。いい具合に壊れたメガネを見つめていると、自由なコンテンポラリー・ダンスを思い出す。誰かが定めた価値に従うのではなく、自分のためのリズムを自ら見つけ出し、たった独りでも踊れる人に、私はなりたい。
拾った人:加賀美健
拾った場所:スイス、日本
素材:スチール、プラスチック、ガラス
※FREAK MAG.はゴミ拾いを推奨しています。
PROFILE
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加賀美 健
現代美術作家。1974年、東京都生まれ。
社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。
2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。
日課の朝のウォーキングの際に面白いゴミが落ちていないか目を光らせながら歩いてる。