UPDATE : 2024.12.10

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#ART & CULTURE

SUPERFUZZ MUSIC vol.02

Text:Taishi Iwami

すでにヒットしている曲だけでなく、そのDJしか知らないであろう曲がクラウドの心を一つにする。前情報のない無名のアーティストや、インディペンデントなアーティストのライブがフロアを大いに盛り上げる。そんなクラブやライブハウスでの音楽や人との出会いに魅了された、一人のオーディエンスでありDJでありライターが、タイムリーなアーティストやおすすめのニューリリースをテキストとプレイリストで紹介します。

Marie Davidson『Sexy Clown』

カナダはモントリオール出身のミュージシャン/プロデューサー、Marie Davidsonが2025年2月28日にリリースする『City Of Clows』より、最新シングル「Sexy Clown」を公開しました。

ソロで名を馳せたクラブシーンに別れを告げバンドを結成し、アルバムのリリースを経て再びソロに。バンドでありメンバー中の兄弟二人はDJユニット、2manydjsとしても知られるSoulwaxのレーベル、DEEWEEからのリリースという流れ。シナジーが起きる気しかしませんし、まさにそういう曲。アルバム『FROM DEEWEE』以降のSoulwax技も光っています。キャリア史上もっともハードでエネルギッシュなダンストラックだった前シングル「Contrarian」もあわせて聴くと、アルバムの全貌、曲のバリエーションがますます楽しみに。

Primal Scream『Come Ahead』

約8年9カ月ぶり、Primal Screamの12枚目となるフルアルバムが素晴らしい。アシッドハウスの台頭に刺激を受けたロックバンドによる作品、その金字塔として名高い『Screamadelica』(1991年)、サイケとダブとエレクトロが交差する『Vanishing Point』、怒りのエレクトロソウルに始まり尖ったダンスミュージックが爆発する『XTRMNTR』(2000年)、サイケとパンクとエレクトロを軸にした攻撃的ミニマルサウンドに飛ぶ『Evil Heat』(2002年)。以降の作品も良作ではありますが、そこまでのキレが凄すぎたバンドという認識でずっと大好きだったから、正直そこまで期待はしていなかったのですが完全に持っていかれ踊りました。

フロントマンのBobby Gillespieとはダンスミュージックのメッカ、イビザで出会い『XTRMNTR』の制作にも関わったDavid Holmesを共同プロデューサーに迎え、土着的なディスコ、ファンク、ソウルに接近。『Scremadelica』譲りのダンスグルーヴとサイケデリアや、ダンスチューンとバラッドのコントラストと融合することで、大地を踏みながら腰を揺らしている実感と異世界へのトリップ感が入り混じる。そして、レトロカルチャーをリファレンスに生音中心で構成されているにもかかわらず、この新鮮味。最高です。

Chole Qisha『Chole Qisha』

マレーシア生まれ、現在はUKを拠点に活動するシンガーソングライター、Chloe QishaのデビューEP。その佇まいや歌声からはネクストブレイクの予感が漂っています。

1979年リリースのディスコヒット曲、Lipps Inc.「Funky Town」に思いを寄せたこの曲や、どこかThe Beatles「Hey Jude」を思い出す「VCR Home Video」など、レトロとモダンをシームレスにするプロダクションが光ります。そこにBillie EilishやRina Sawayamaが重なる、麗しく力強い歌声とポップソングとして頭抜けたメロディセンスや、オルタナティブなエッジときたら、この先もっと広いレンジで、世代を越えて愛されそう。

今月は11月のニューリリースを中心に。北アイルランドはベルファストから、ヒップホップやグライム、パンクを繋ぐKNEECAPの「Parful」に、David HolmsがPrimal Screamのアルバム『Come Ahead』ばりのアーシーなグルーヴを加えた「Parful – David Holmes Remix」、サウスロンドンインディ/パンクからアシッドハウスに接近したDeciusの期待値を超えてくる新曲「Birth Of A Smirk」、エモ、シューゲイザーといったオルタナティブなロックと、トラップやヒップホップのフィーリングの融合で名を上げたEKKSTACYの新曲「sevetten」などが特におすすめ。直近では、赤ちゃんの泣き声をサンプリング、オートチューンをかけてループさせ、曲名が「Where’sThe Daddy」ときた、Major Lazor & M.I.Aのコラボレーションにすっかりはまってずっと聴いています。

年末年始はリリースが落ち着くので、来月はどんな内容にしようかと考えているところです。ひとまず、この連載はまだ2回目ですが、今年もお世話になりました。カウントダウンは渋谷club MalcolmのパーティでDJしますので、お会いできる方は乾杯してください。

 そして私は今、先月の記事でお知らせしたように、LAからAutomaticを招いてツアーを行っている最中。東京でのデイ公演は完売するなどおかげさまで好評で、国内のバンド/DJともかなり刺激的な化学反応が起きています。こちらは番外編として近日レポートを執筆する予定ですので、公開されたら読んでいただけると嬉しいです。

INFORMATION

  • 『Club Malcolm NEW YEAR COUNTDOWN TO 2024-25』

    2024/12/31(火)
    オープン/クローズ:23:00/6:00
    会場:Shibuya Club Malcolm
    料金:DOOR ¥1,500- (+1ドリンク代)

     

    DJ (AtoZ):
    Acrocanthosaurus
    Breezy Houz
    Hype Sync Records
    LIFE is SAMPLING
    TAISHI IWAMI (SUPERFUZZ)
    TAIYO B2B RICKY

PROFILE

  • TAISHI IWAMI

    10代の半ば、ファッションに対する自我が芽生えるとともに、ロックンロールやパンク/ポストパンク、インディーロックといったロックミュージックのディグに明け暮れるように。そして街で手にした1枚のフライヤーがきっかけで、そういった音楽の流れるクラブへ。お洒落でカッコいい人たちがダンスに興じるフロアに魅せられ、自身もDJを始める。現在は主にDJ、ライター、イベントのオーガナイザーとして活動。オルタナティブミュージックパーティ「SUPERFUZZ」の代表を務めている。

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