Firsthand RAYARD MIYASHITA PARKでも以前ポップアップを開催した畠山千明さんのchiaki no bi-zu。そのアクセを販売し、売上を全額寄付している。そもそも、なぜビーズアクセサリーなのか。そして、その活動の裏にはどんなメッセージが込められているのか。

ファッションを介してメッセージを伝えられる
—chiaki no bi-zuはどのように始まり、Firsthandでポップアップすることになっていったんですか?
畠山:ビーズアクセ作りは最初、娘と一緒に楽しむ目的で始めたもので、やってみたら意外と楽しいことに気づいたんです。もともと色を組み合わせることが好きだったこともあって、趣味の一環であり、1人の時間を過ごすデトックス的なものでした。そんなある日、保護犬のシェルターで寄付を募っているのを見かけて、そこに必要なお金が足りていないことを知ったんです。作っていたビーズアクセは、以前から販売したらいいんじゃないかというアドバイスを周りからされていたこともあって、これを売ることで得られるお金が誰かの助けになるのであれば、私もハッピーだと思って自分のペースで活動を始めたんです。そこでFirsthandからお声がけいただいてご一緒させていただくことになったんですよ。私の活動目的や内容にもご賛同いただいて参加させていただきました。
—動物愛護がきっかけで。それまではオンラインでの展開だったんですよね。
畠山:そうですね。1人で空いている時間にやっていることなので品数も少ないし、発送まで含めて全部自分だけでやっていることだったんですけど、実際にポップアップに参加することで、アイテムを手に取って身につけて、という機会を与えていただけたんです。前提として売上を全額寄付することを告知していたので、その考え方にお客さんも賛同してくれたうえで来てくれていたので、すごく幸せな時間でした。
—売上の寄付先はイベントごとに変更したりしているんですか?
畠山:はい。何かに偏るということはなく、動物だったり子供の児童相談所だったり医療機関であったり、その時々に応じて私が自分で判断して寄付先を変えていますし、その内容によってポップアップの展開も変えたりしているんですよ。社会福祉活動を絡めてみたり、ワークショップを展開したり。

—そもそもサスティナブルな活動について、なぜ興味を持ったんですか? また、昨今のサスティナブルを重視する傾向についてどう思いますか?
畠山:私が生まれ育った環境が関係しているんですが、小さい頃はほぼ自給自足ですべてを賄うような生活だったんです。生ゴミも畑の肥料として使ったり、洋服も祖母が私の好みの柄の生地からワンピースを作ってくれていたりしていて、それが当たり前だと思っていました。すごくミニマムな生活だったんですよね。だから、常に新しいものを買い続ける生き方の方が不自然でしたし、東京で暮らすようになって、ものが異常に溢れている現状自体に違和感があって。最近、サスティナブルな活動に注目されるようになってきましたけど、私としては本来の自分の生活に則ったもので、そっちの方が生きやすいんです。デメリットは何もないし、世界が良い方向に向いていると感じています。ファッションシーンで仕事をしていると、あまりにも洋服が多いなってことは昔から感じていたので、良い潮流だなって思いますね。
—なるほど。では、畠山さんがビーズアクセの売上金を全額寄付する活動を行なっているというのは、根本により良い社会を目指して、という思いがあるからですか?
畠山:もちろん前提としてありますね。私は保育士の学校に通っていたんですけど、児童相談所だとか子供を助けるうえでお金が足りていないことは重々承知していて。当時の自分はあまりにも無力で何もできなかったんですけど、今だったら何かできるんじゃないかなっていうのもあったんです。それが何なんだろうってことを考えたときに、自分の力でお金を作り出して、それを寄付することなんじゃないかなと。販売しているビーズにも、それを表記しているので買ってくれる人も同じ気持ちで手にしてくれているだろうし、購買者の意識が変わって、社会問題を知ってもらうことで何かを変えられるかもしれない。それに、単純に寄付して終わる活動ではなく、ファッションに取り入れられるということが、私にとって1番大切なことなんです。ただ問題提起をするのではなく、身につけるものであれば、そこから話が発展する良い機会が増えるんじゃないかと思っています。
—ビーズを身につける人も意志や考えを持ってファッションに取り入れることができますよね。
畠山:そうですね。そういう意味でもオンラインだけではなくポップアップという場所は重要です。文章で説明するよりも、私が直接顔を見て説明する方が真意も伝わりやすいですし、ファッション的なアドバイスもできたらお客さんも嬉しいでしょうし。お互いに知らないことを伝え合うコミュニケーションの一環にもなっているんです。
—そうやって実際に会話して買ったものは、購買者にとっても忘れないものになるはず。
畠山:サスティナブルの考え方もそうですけど、何かを買うにあたって意志が必要な時代じゃないですか。例えば、chiaki no bi-zuを買うことで、そこに賛同していることを示すことができるのは、すごく良いことじゃないですか。その責任感があれば、ものを過剰に買うこともなくなるかもしれないし、今持っているものを長く大切にしようという考え方に繋がるかもしれない。ビーズアクセを販売して売上を寄付するという行動が、私のエゴではなく、みんな同じ気持ちでいてくれれば、その分、思いがストレートに伝わっていくことになると思います。
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