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UPDATE : 2022.08.30

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#覗き見フリーク!!

Yeah! オカルトの世界へようこそ

Photo : Nanami Nakashima

Edit:Ririko

近年注目を集める、科学では実証できない未知の世界が広がる 「オカルト」の世界。そんな世界に魅せられた、オカルト界隈で名を馳せる怪談蒐集家、響洋平氏 × オカルト女子Ririko氏の、ディーーープでPOPなオカルト夜話。 ガタガタ…と窓ガラスが鳴り止まない、リアルに怖い古い民家でお話を伺ってみたら、恐怖よりもワクワクしている自分がいた。

Ririko(以下、り):本日は宜しくお願い致します!ではまず自己紹介からお願い致します。

 

響洋平(以下、響):クラブの DJ と怪談蒐集家をやっております。響洋平と申します。

 

り:DJ や写真を中心に活動している Ririko と申します。宜しくお願い致します!

オカルトへの目覚め

り:早速ですが、響さんが怪談にハマったきっかけとか、ルーツってなんですか?

 

響:ルーツね。たまにその質問は受けたりするんだけど、怪談・オカルトへのきっかけで言うと だいぶ遡るんですよ。幼稚園くらいの頃ですかね。友達の二つ上の男の子と遊んでいた時、その子が「響くん、怖い話してやろうか」って言い出して。「聞かせて」って言ったら至ってシンプルな話をしてくれた。 それは、” 警備員が見回りをしているときにある部屋に入った。するとそこに火の玉が飛んでた。” という話で、当時、絵本が好きでよくみていた僕は火の玉って絵本にも出てくるし「火の玉か~」くらいに思ってたんですけど、その後に彼が僕の人生を変える決定的な一言を言ったんです ね。

 

り:ふむ。

 

響:何かというと「響くん、今の話、本当にあった話なんだよ」って彼が言ったんですよ。

 

り:はいはいはい。

 

響:それまで僕の中でお化けとかね、妖怪・幽霊というものが本当にあるという概念がなかった んですよ。でも彼は「本当にあったんだよ」っていうからもう衝撃。え、本当にあったの!?っ て。例えるならポケモンが好きな子供が「こないだポケモン近所で見たよ」って言われた感じの衝撃!「ポケモンいるの!?」っていう。

 

り:純粋だなあ…。

 

響:そっからですね興味をどんどん惹かれたのは。

 

り:なるほど~。私の場合は…、幼少期の頃から怪談がずっと好きだったんですけど、特に興味 が湧いたきっかけは祖母から聞いた狐憑きの話でした。近所で狐憑きにあってしまった人がいた と。

 

響:それって狐に憑かれてしまったということ?

 

り:そうです。そっから行動がおかしくなるわけなんですが、それがまたすごくて。本当に狐みたいなんですって。四つん這いで歩いたり、家の縁の下で穴を掘って丸まって寝ていたり。ここでさ らにすごいんですけど、その人がいた場所に、狐の毛みたいなものがぶわ~ってあったらしいんですよね。

響:へー!

 

り:他にもその人の家にお客さんが尋ねて行ったら、奥から出てきて、すごい警戒した顔して柱登って消えて行ったとか。

 

響:てことはだいぶ長期間で狐憑きに遭ってるってことだよね。家に滞在してその間もずっと狐が入ってる状態で。

 

り:そうですね。

 

響:それにまた狐の毛っていうのがなんか面白いね。

 

り:そうですよね。憑く話は聞いても毛はなかなかないですからね。とはいえ、ここまでのめり込んで調べるようになったのは”きさらぎ駅”*1 きっかけでしたけどね。

響:あ、じゃあ割と最近なんだ。

 

り:そうですね…私が本当に「熱い!調べたい!」ってなったのはそうでした。今はそこから神 隠しを専門に探しているんですけど、怪異の元がとてもグレーでそこが面白いなあと思って。人攫いかもしれなければ、神様かもしれない、天狗のような妖怪かもしれない。狐憑きもそんな感じだし、幽霊か妖怪かそこの境界がグレーなものが好きなのかな。今に至った経緯はそんな感じですね。

幽霊?妖怪? UMA ?

※途中から自称 UMA 大好き、たろうさん ( 仮名 ) が対談の噂を聞きつけて飛び入り参加されました。

 

り:幽霊と妖怪の違いってなんだと思いますか?

 

響:どうだろうな、一般的にどうかわからないですけど、妖怪っていうといわゆる民俗学とか伝 承に則って語り継がれているものであり、ビジュアル化的にはポップなもの…。それに対して幽霊っていうのは人の形をしていたり、なんかちょっとイメージ違いますよね。結局どう捉えるかの違いという気もする。

 

り:確かに。

響:例えば本当に霊感強い人に取材をすると「人の形をしているものはまだマシですよ」っていうの。人の怨念や恨みが突き詰められていくと、原型を留めない形をしてるらしくて。多分、人間って目に入ったものを、自分の頭で記憶しているビジュアルと結び付けて認識してると思うんですよ。例えば何か黒い影がスッと走った。仮にそれが「怪異」だとしたら、自分の中にある幽霊のビジュアル・イメージと結び付けて何かの姿として捉えると思うんです。だからああ幽霊だとなる。

 

り:確かに、私も黒い影みたらイメージ的に幽霊かと思っちゃうな。

 

響:ただ、本当に視える人はディティールをしっかり見ちゃうケースがあるらしいんですよ。

 

り:あーなるほど、普通の人ならモヤっと見えるのに。 響:そう、「” 薄っぺらい板のような” 人影だった」「首がなくて手と足しかなかった」とかね。だからそうなってくると人によっては妖怪と捉えるってケースもあるのかな…って。

 

響:狐憑きも、何か取り憑いてる状態な訳で。海外だと悪魔だったり。同じような状況でも、文 化的・宗教的な背景で捉え方も変わるだろうし。

り:そうですね、それで思い出したんですけど、どこの民族だったかな。ハワイだったかな。そ の人の歴史を表すタトゥーを入れる文化がある民族なんですが、例えばその民族の A さんが亡くなったとして、その人が幽霊として現れた時にはどこかにその A さんが入れていたタトゥーが浮かび上がる、って言う話もあったりするので、見え方や捉え方って思ってるより個人個人のバック グラウンドが重要かもしれないですね。…捉え方というと今日はもう一人、幽霊興味ない派もいてもらってるんですけど。

 

たろう(以下、た):僕は幽霊全部 UMA派*2 です。すみません、いきなり参加しました。

 

響:そうなんですね!全部 UMA として捉えてると。 た:そうですね。白く見えるものは全部フライングフィッシュ*3 だと。

り:wwwwww

 

響:おー!全然いいと思いますよ。

 

た:雪山の雪女とかは雪女ではなく全部イエティ*4とかビッグフット*5。黒い影は全部モスマン*6。なので、僕はそういう意味では幽霊からエクトプラズム的なものまで全てUMAで証明できると捉えてます。

 

響:そう、だから結局そうなんですよね。どう捉えるかだけな気がするんですよね。幽霊見た人でも「あれは宇宙人だ」って言う人はいますし、もちろんUMAって捉える方もいますしね。

 

り:すごい、幅が広がった。笑

幽霊来るか?

り:この場所って一応、私が思いつく限りの知識で霊が出そうな状況を整えようとしてて。笑

 

響:そうなんですね!

 

り:人形があって鏡があって…あと塩があって状況を今整えていてちょっと出待ちをしてる感じです。

 

響:塩はちなみにどうして?

 

り:あー塩って基本的に祓うイメージだと思うんですけど、逆にこれが効果あるのって信仰がある からだと思うんですよ。ていうのは、日本人とかだったら「盛り塩は基本的に霊を避けるもの」っていう概念があるからその状態で亡くなって幽霊になったら塩を前にしたときに避けていく、けど動物霊のような信仰がないまま幽霊になったものって塩を全然超えられるらしいんですよ。踏 み倒せるらしいんです。そうすると足跡がついたりするっていう話もあったりするので、観察要素として置いてみました。笑

響:そう、まさに今言ったように塩ってお祓いに使うイメージありますけど、そうじゃないっていう説ももちろんあって。特に盛り塩なんかはお客さんを招くっていう意味で置いたりもしますけど必ずしもお祓いをできるわけじゃない。例えばこれは渋谷のとあるライブハウスの店長も怪談 好きでたまに怪談会をやってるんですよ。で、演出のためにお皿に盛り塩を置いてたら、イベント終わって朝方になってみたらこの塩の置いてある皿だけが真っ二つに割れてたらしいんです。

 

り:へ~~~!

 

響:それ写真も残ってるんです。塩はそのままなんです、下の皿だけがパキーンと割れてて、どうやったらこうなるかっていうのが説明がつかない。そういうこともありましたね。

 

た:僕は否定派として、その現象をじゃあどうやったら起こせるか考えちゃいますね。

響:なるほど。

 

た:その店長を驚かせるために、めちゃめちゃ冷しておいて、ライターで暖めたら…とか。科学的なアプローチで皿だけ割るにはと。

 

り:確かにそれをやってみて本当にそういうふうに割れるかみたいなことはやっても面白いかもしれない。

 

響:逆に、その実験をやって実際にパキッと割れたらそれも面白いですよね。それだけのエネルギーを与えないと割れないものが割れてしまったっていうのはそこに何かのエネルギーが働いて いたということなので。

 

り:その間にやってたっていう説が立つと同時に、その間にじゃあいなかったら?本当に余程大変なことが起きてるっていう。確かにそれはありますね。

服にまつわる怪談

り:ちなみに今回、企画、FREAK MAG.っていうセレクトショップのメディアで掲載することになるんですけど、洋服とか衣類とかそういうものに関しての話とかってありますか?

 

響:洋服…服に念がこもったりってのは実話怪談では聞いたことがありますね。これとあるレストランで、たまたま隣になった方が話してくれた話なんですが、昔その人がフリマサイトでものを買ったそうなんです。雑貨二つとピンクの羽織ものの古着。そしたらその夜に金縛りにあったそうなんです。 なんだこれと思ったら黒い塊が体の上に乗っていたそうで、見ていたらその塊から女の顔がスーーっと出てきたらしいんです。その方、Tさんという女性だったんですが、女の顔が「T なんて死ねばいいのに」と言ってきたと。驚いて叫んで、部屋の電気をつけたら誰もいなかったそうなんですが、それを後日友達に話したら「それは見てもらった方がいい」と霊媒師を紹介してくれたそうなんですね。

響:そして後日会いに行ったわけなんですが、詳細を話す前にその人が「最近買い物しました?」と聞いてくるんです。「フリマサイトで買い物しました」というと「買ったもの全部今から言ってください」って言われた。で、この雑貨と、古着と…と言ったら「その古着って赤っぽい色してるでしょ。恐らくそれが原因だから次持ってきてください。」って言われて、指示通り次に行くとき持っていったらしいんです。そしたらその人が古着を見るなり、「間違いなくこれのせいです。この古着はこちらで処理します。」と言ってきたそうなんですね。 理由を聞いたら、霊媒師が言うには元の持ち主は女性、その女性は勤め先の男性と不倫していてその相手から持ち主に向けてプレゼントされたものがこの衣服だと。で、本当はその女性は相手と一緒になりたかったが、叶わずその男性を強く恨んだまま亡くなったと。で、巡り巡って彼女の元にきていた、ということだったみたいなんですね。

 

り:それはそのまま解決した?

響:それ以降何もなかったみたいですね。

 

り:解決してよかった~。

 

響:ただ僕これ個人的に面白いと思うのは、亡くなった女性っていうのは恨んでるのは不倫相手なんですよ。一説では男性の奥さんの名前も T だったのではとも思うんですけど。

 

り:私もそうかなと思った。

 

響:ただ結構人の念とか思いが振り切ってしまうと誰彼構わずってなるケースもあるみたいなの で、それはそれでとても怖いなと。

 

た:僕の感覚では、エネルギー不足に陥っているんじゃないかと思っちゃいますね。人から認知されなくなってるから、今自分にエネルギーを与えてくれる奴への恨みに変わっちゃったんじゃないかと。

 

り:あーなるほど。それはすごいありそう。

 

響:確かに、そうとも考えられるかもしれないですね。

なぜ怪談師に?

り:どうしても聞きたいことがあって、響さんってどうして怪談師として進出していったんですか?やっていこうと思ったきっかけとかありますか?

 

響:いやいや!でもそう…元々単純に好きで。渋谷に小さな DJ バーがあって、そこの店長さんが 怪談好きだったんで夜な夜な友達集めて怪談会をやってたんですよ。

 

り:楽しそう笑

 

響:そう、めっちゃ楽しくて本当に。小さいお店なので 20 人いるかいないかの人数で、夜中に電気消して怖い話をするんですよ。

 

り:いいな~。やりたい。

 

響:でもある時、お店のブログに告知文を載せたんですよ。人を呼びたいとかじゃなくて半分冗談で。僕の地元の友達が東京に遊びに来るっていうし彼も怪談好きなんで、一緒に喋ろうよって 誘ったら乗ってきてくれて。そんな、彼を「ええこんな大掛かりなのかよ…」ってビビらせようみたいな、そういうノリ。

 

り:可哀想なことを笑

 

響:で、それでお店のブログに出したら、その日お店がパンパンになったの。笑

 

り:ははは笑

 

響:全然知らない人が「怪談ここですか?」ってきたり。で、その中には怪談を専門でやられてる方がいたりして、そこから交流を持ったりお誘いをいただくようになって今に至る感じかなあ。

 

り:そうなんだ…。いや DJとかだと自分はわかるんですけど、怪談師ってどうやって進出していくのか気になってて。芸人さんなら、番組でそういう話や企画をしていて、徐々に”そういう人” として知られてくみたいな感じかなってわかるんですけど。響さんとかは DJ で怪談師っていう組み合わせだから個人的に謎で笑

 

響:まあそうだね…そんな感じで交流が増えて自分でも怪談イベントを企画したりして、そうしたらテレビの制作の方がいらっしゃったりして呼んでいただけたりとか…かなあ。

 

り:長年の疑問が解けましたわ…。

 

た:現実いうと DJ と一緒だよ。笑 テクノだとかって怪談と同じくらいニッチなものだし。笑

 

り:確かに。笑

た:どうやってバイレファンキ*7 に出会ったんですか!?みたいな話だと思うよ。笑

 

り:クラブにいると忘れるけど確かに一緒ですね。笑

 

た:そんなに不思議がってるけど、側から見てると多分一緒だよ。笑

 

り:そうですね。笑 失礼いたしました…。

 

響:笑。まあでも確かに怪談の楽しさっていうのは、みんなで共有するのも楽しみかたの一つかなあと思うんですよね。聞いちゃいけない話をここで聞いてる、みたいな一体感とか。

 

り:確かに。怪談イベントとかめちゃくちゃ一体感ありますもんね。

 

響:そう考えるとクラブも、今はだいぶもう違いますけど、夜な夜な地下室のくらい場所に集まって特定の音楽を好きな人が集まってそこで楽しむっていうちょっと特殊な場所って感じではあったので。

 

り:そう考えると DJ と怪談、類似性しかないですね。面白いな~。

−−まだまだ話しが尽きない一同。 我々が知らない世界を何とも楽しそうに熱く語り明かす様は、至って羨ましく感じた。 DJと怪談という一見両極な部分を同時に楽しむなんて、本当に幸せな空間なのだろう。 皆さんもこれを気に、意外と POP でもあるオカルトな世界を覗いてみては如何だろうか? ただ、今後古着を買うのが少しだけ怖くなった取材陣であった。

【注釈】

*1 きさらぎ駅…2004 年に登場したオカルト掲示板発祥のネット怪談。この世に存在しない駅に迷いこむといった内容で、「異界駅」という怪談ジャンルのレジェンド的存在である。

*2 UMA…未確認動物 / 生物を指す。英語では Cryptid と呼ばれる。ネッシーのように目撃報 告などはあるが実際に存在が確認できていない生物を指す。

*3 スカイフィッシュ…長い棒状の体を持ち、空中を高速移動するとされる未確認生物。

*4 イエティ…ヒマラヤ山脈に住むとされる未確認生物。時折雪男とも混同される。

*5 ビッグフット…アメリカで目撃される未確認生物。足跡は最大 47cm もあるとされ、そこ からこの名がついた。時にイエティと混同されているが生息地も違うため基本的には別物と考 えられている。

*6 モスマン…アメリカで目撃された未確認生物。宇宙人のペットという説がある。体長が 2m あり、目が赤く、背中に大きな翼が生えている。翼を羽ばたかせることなく飛行するといわ れる。

*7 バイレファンキ…80年代に生まれたブラジルのファベーラ発祥の音楽ジャンルの一つ。ファンクカリオカとも。

PROFILE

  • Ririko

    DJ、写真家、怪談オタク。多摩美術大学 / 大学院卒。都内でクラブ DJ をする傍ら、写真、デザイン、 イラストレーションなど、マルチに活動している。それだけには留まらず、異界駅「きさらぎ駅」 に魅せられたことから日々しつこく異界入りのトリガーを探して彷徨い歩いている。

  • 響洋平

    怪談蒐集家・クラブ DJ・ターンテーブリスト。 国内外での DJ 活動を展開する傍ら、その幅広い交友関係を活かし多彩な怪異譚を集める怪談 蒐集家として活躍。クラブや DJ バーを舞台とした怪談ライブをプロデュースする他、怪談・ オカルト系トークライブ、テレビ番組や映像作品への出演等、その活動は多岐に渡る。単独D VD作品に「怪奇蒐集者 響洋平」シリーズ(楽創舎)、単著に「地下怪談 忌影」「地下怪談  慟哭」(竹書房怪談文庫)他。

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