FAVORITE PARK
「なんか好き」なあの公園
(すっかり大人になってしまったなぁ……)と自らを見つめた経験は、きっと誰しもあるはず。たとえば「休み時間」なんていうものについて。小学生の頃は、そのたった10分間をフルに使って、ドッジボールにおにごっこ、サッカーにキャッチボール。何かと充実していたようにも思える。
別に、特段エモーショナルな気持ちに浸りたいわけではないのだ。僕らは事実、大人になったんだから。楽しいことだって、たくさんある。僕らは確かに、大人になった。そんな僕らがふと、幼き頃の遊び(たった10分間であっても)を思い出すとき、そこにはいつも決まって「公園」があったような。
この特集”「なんか好き」なあの公園”では、著名人たちがこよなく愛する公園をご紹介。子どもの頃とはまた違う(違わないかもしれない)、それぞれの公園の愛し方に触れてみよう。
記念すべき第一回目に出演するのは、ラッパーの舟平 / SAMさん。若い方々を中心に多くの人気を集める彼が紹介してくれるのは、西池袋公園だ。
西池袋公園 ラッパー:舟平 / SAM
ー舟平さん、今日はよろしくお願いします。 舟平:よろしくおねがいします! ー舟平さんが今回ご紹介くださるのは、西池袋公園。ここにはどんな思い入れがあるのでしょうか? 舟平:一言で言うならば、「成長を実感できた」という点ですかね。
ー成長、ですか。 舟平:僕がこの公園にはじめて来たのは、2016年の頃でした。それまでは、地元・宇都宮でおこなわれてきたいくつかのMCバトルで優勝したり、埼玉県で開催されたバトルでも何度か勝ってきたのですが、「東京のMCバトル」というのには一度も出たことがなくて。 ー東京はちょっとレベルが高そうなイメージですね。 舟平:そんななか、友達が『SAMは東京のバトルに出た方がいい』と言ってくれたんです。内心かなり緊張しましたが、せっかくだから出てみようと思い「大粒fight」と呼ばれる大会にエントリーしました。その会場が、この西池袋公園のすぐ近くだったんですよ。 ーなるほど。この公園の近くに、会場があった、と。 舟平:当時の僕は、初めて東京で開催される大会に出場するということで、ものすごく緊張していました。エントリーの手続きを終えて、外を歩いていたら、この公園を見つけて。気持ちを紛らわすために、この西池袋公園で震えながら出番を待っていたのを、今でも思い出しますね。 ーそれで言うと、この公園を一言で表せば、「成長」というよりも「緊張」の方が近そうな……?
舟平:まだまだ、この話には続きがあるんです。そうして人生で初めて東京のバトルに参加した僕は、ひょんなことから、2年後の2018年にまたこの公園へと来ることになったんです。 ーそれは、どういう経緯で……? 舟平:2018年、たまたま地元・栃木の先輩が経営しているバーでアルバイトをしていたことがあって。事実、その頃はあまり自分のラップに自信を持てていない頃でした。そんななか、とある日、店で使っていたグラスが足りなくなり『この公園の近くのお店にグラスを借りてきてくれ』と言われたんです。 ー夜のおつかいですね。
舟平:西池袋公園の近くを通った際、たまたまサイファー(ビートを流しながらフリースタイルラップをすること)をやっている人たちを見かけたんですよ。 ー自分のラップに自信を持てていないなか、サイファーを見かける。これって結構心に来るかもしれませんね。 舟平:まさに。ちょっとキツいなぁなんて思いながらも、やっぱり僕、ラップが好きなんですよね。アルバイトをさせてくれていた先輩に内緒で、そのサイファーに参加したんです。 ーこれ、書いていいのかな(笑)。 舟平:いいんじゃないですか、わかんないけど(笑)。で、いざサイファーに参加しようとしたら、みんなが僕のことを知っていたんです。『えっ! SAMさん!!』とか言ってくれて。 ーうわぁ。それは感動してしまう。 舟平:そうなんですよ。2016年にこの公園を訪れた際には、僕のことなんかみんな知らなかった。東京の地で一人、震えながら出番を待っていたぐらいですから。でも、それから2年経った2018年には、ほとんどの人が僕に対して『握手してください!』とか『応援してます!』とか、言ってくれるわけですよ。 ーそれは嬉しいですよね。
舟平:それが本当にうれしかったんですよね。少なくとも、自分は前進できているんだと思えて。自信こそなくなってしまっていたけれど、みんなが応援してくれるんだ、って。 ー素晴らしいなぁ。ファンの方々に背中を押された、というか。 舟平:まさにそうですね。その次の年、2019年には『戦極19章』という大会で、その翌々年の2020年には『戦極20章』、『凱旋MCバトル』で優勝することができたんです。 ーファンの後押し、といったところでしょうか。
舟平:心からそう思います。親友であり、尊敬できるラッパー仲間のIDもそう。ファンの方々もそう。僕のことをカッコいいと思ってくれる人たちのことは裏切りたくないし、彼らの存在こそが僕の原動力だと思っています。今、この公園でだってそうですよ。 ーまさに今、ですか? 舟平:たくさんのファンの方が、取材中なのにも関わらず『SAMさんですよね!』と声をかけてくれる。2016年、僕が初めてこの公園に来た頃では考えられないことです。思い出が詰まった場所はたくさんあれど、この公園はきっと僕にとって特別な場所だろうなぁと感じていますね。

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着用アイテム 寅壱 × S.H.I.P & C.R.E.W × 9090
NIGHTLIFE TEE
寅壱で用いられている「FIGHTING SPIRIT FOR WORKING」というワードを、「FIGHTING SPIRIT FOR NIGHTLIFE」= ‘夜遊びのための服’と再解釈したデザイン。
¥5,940 tax-in
ONLINE STORE
豊島区立西池袋公園
東京都豊島区西池袋3-20-1 MAP

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舟平 a.k.a SAM
栃木県出身のラッパー。
数々のMCバトルで優勝し、
現在は楽曲制作を中心に活動中。
- 次回、イラストレーター:オリタケイ

ディレクターおすすめの公園 撮影時、運悪く全ての公園が芝生養成中のため芝生内は立ち入り禁止でした。
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