モデルとして、またプライベートでも旅に縁のある両角颯さん。かつて学生時代にスペインへ1ヶ月留学した際は、Wi-Fiも持たず、バルセロナの地図をすべて頭に入れて臨んだという徹底ぶりだ。
だが、今回の旅は様子がまったく違った。目的地は、ロンドンとポルトガル。きっかけは、ワーキングホリデーでロンドンに住む妹さんの存在。「いい口実ができたと思って」。そう笑う両角さんが1年半ぶりに再会した妹さんは、すっかりたくましくなっていたという。そんな彼女にすべてを委ねた「何もしない」旅の贅沢。兄妹だからこそ許される、気負わない海外旅行の全容を伺った。
ーー今回の旅は、ロンドンに住む妹さんに会いに行くのが目的だったそうですね。
両角: 妹は今、ワーキングホリデーでロンドンに住んでいて、もう1年半ぐらい会っていなかったんです。ワーキングホリデーの期間は2年ほどで、その間に必ず会いに行こう、とはずっと思っていて。ちょうど天気もいい時期でしたし、いい機会だと思い、訪れることにしました。
ーーそもそも、大人になってから兄妹で旅行というのは、かなり珍しいことのようにも感じられます。普段から仲が良いのですか?
両角: ここ数年は一緒に住んでいませんでしたが、彼女がまだ東京にいた頃も、普通に2人でお酒を飲みに行ったりしていました。僕の周りの友達もみんな妹のことを知っていますし。妹の友達曰く「鼻とか超似てる」らしくて、実際、驚くほど同じ顔なんですよ(笑)。
ーーロンドンの空港で1年半ぶりに再会した時はいかがでしたか?
両角: ヒースロー空港に着いて、妹が迎えに来てくれた時の安心感は、ものすごかったですね。昔は、家族旅行で海外へ行く際は必ず僕が案内しているような感じだったのに、僕が日本でのほほんと生きてる間に、気づいたら抜かれてしまったな、と。コテコテのイギリス英語も普通に生活の一部になっていて、そのたくましさに心から感動しました。
ーーロンドンではどのように過ごしたのですか?
両角:もう、完全に妹任せです。朝食に「イングリッシュブレックファスト」を食べたんですけど、まず物価の高さに驚いて。それからビッグベンを見たり。「肉食いたい」って言ったらステーキ屋を予約してくれたり。パブにも行ったんですけど、ロンドンに住む人々はハーフパイントじゃなくて、もれなく全員が「パイント」で飲んでるんですよ。ここでハーフ頼んだらバカにされるんだろうなと思い、見栄を張ってずっとパイントで飲んでました。
ーー見栄を張った結果、初日からかなり酔ってしまったとか。
両角:そうなんです(笑)。ステーキとワインも飲んで、夕方4時とか5時にはもうベロンベロンでしたね。
ーー2日目には「ペリカン」というミシュラン掲載のお店にも行かれたそうですね。
両角:ノッティングヒルにある店で、そこは僕がリクエストしました。予約もオーダーも全部妹に任せたのですが、そもそも「ペリカン」の予約時間までバーで飲んで待ってたら、肝心の料理を食べる頃には僕が酔っ払いすぎてて(笑)。何が美味しかったか、何も思い出せないんです。妹の方がお酒が強いので、全部覚えてると思いますけどね。
ーー人生初のアフタヌーンティーも体験されたとか。
両角:「ザ・リッツ ロンドン」を予約してもらいました。でも、昔はあんなに好きだった甘いものが全然食べられなくなっている自分に気づきましたね。「ずっとビール飲みたいなあ」と思いながらお茶してました(笑)。
ーーなぜロンドンだけでなく、ポルトガルにも?
両角:妹のシェアハウス先の友達が「遊びに行くんだったらポルトガルが熱いらしい」と教えてくれたんです。僕も学生時代に1ヶ月だけスペインに住んでいたことがあって、イベリア半島だし、絶対飯がうまいだろうなと思って。
ーー実際のポルトガルはいかがでしたか?
両角:もう、住んでしまいたいぐらいです。日本語が通じるなら(笑)。ずっと晴れていて、空気もカラッとしてるし、飯はうまいし。観光地化されすぎてなくて、街の時間がゆっくり流れてるんですよ。誰も急いでいない感じが、すごく良かった。
ーーポルトガルでも変わらず「美味しいものを食べまくろう」といったムードだったのだとか。
両角:ええ。なぜかマックに2回行きました(笑)。現地の「プレズント」という生ハムが入ったご当地マックが、もうとにかく美味しくて。有名な海鮮の店にも行って、サングリアをたらふく飲んだのも楽しかったですね。あと、ポルトガルはエッグタルトが有名らしくて、おすすめされた店を6ヶ所ぐらい歩いて食べ比べたんですが、正直味の違いはあまりわかりませんでした。パエリアが美味しかった、ぐらいの感じでしたね。
ーーいわゆる “観光スポット” は、あまり訪れなかったのでしょうか?
両角:ほぼ行きませんでしたね。ロンドンでのビッグベンぐらい、かな。ポルトガルでも、早く行かないと入れない修道院だけは朝イチで行きましたけど、あとは海沿いでビール飲んだり。夜も、スーパーでご飯とめちゃくちゃ安いワインをボトル2本ぐらい買い込んで、ホテルの部屋でゆっくり飲んだり。
ーーかつての旅とはスタイルがまったく違ったようですね。
両角:まさに、真逆ですね。学生の時に留学でスペインへ行った時は、バルセロナの地図を全部頭に入れた上で、思いっきり用意周到な感じで行動してました。でも今回は、何の下調べもせず、全部妹任せ。大人になって初めての「休暇」としての海外旅行だった気がします。「海外まで行って、あえて何もしない」って、すごく贅沢だなって。ホテルでゴロゴロしてる時間が最高でした。
「いつも通り」を、海外でやる豊かさ
ーー兄妹での旅、いかがでしたか?
両角:とにかく、妹がたくましくなっていて、普通に「かっこいいな」と感じました。異国の地でちゃんと仕事して生きていくって、自分じゃなかなかできない決断なので。
ーー新しい旅のスタイルを発見できた、というのも印象的でした。
両角:そうですね。海外だからってバタバタ観光するんじゃなくて、日本にいる時とやってることはあんまり変わらない。うまい飯を食べて、酒を飲んで。特別な話をしたわけでもないですし。でも、その「いつも通り」を、わざわざ贅沢にお金と時間をかけて海外でやるっていうのが、すごく豊かな休み方だなと。ロンドンは飛行機が長いんで、今すぐはいいかなって感じですけど(笑)、本当に素晴らしいタイミングで行けて良かったです。





