クリエイティブディレクター/アートディレクター/グラフィックデザイナーとして、音楽やファッションなどさまざまな分野で活躍する2BOYが、今話したい人物を訪れる対談企画「2BOYのくりえいてぃぶ研究所」。
第5回目となる今回は「これまでは僕がアートワークを手掛けたアーティストと話してきましたけど、いいタイミングで同じクリエイター、同業者と話したい」という2BOYたっての希望もあり、クドウナオヤとともに原宿の街を歩きつつ、お互いのクリエイティブについて語りあう。
――まずはクドウさんの活動状況について教えてください。
クドウ:えっと、いろいろやってるんで、なんて言ったらいいんだろう……。
2BOY:今日は街ぶらロケだし、あんまり堅苦しいのもあれだから、緩くいくのもあり。なんならふざけてもいいよ(笑)
クドウ:ほんとですか?なら気が楽ですね。えっと、ふだんは広告代理店で働きながら、個人のクリエイターとしても活動しています。具体的にはクリエイティブディレクター、CMプランナー、コミュニケーションデザイナーっていう聞いただけではピンとこないような肩書もありつつ、わかりやすく言うと、みなさんが見ているテレビCMとか、SNSでバズを起こすための企画を考えています。最近は広告っぽいのとは別で、アーティストのミュージックビデオを作ったり、アーティストのプロデュースや作詞もやっています。
2BOY:めっちゃちゃんと説明してる(笑)
クドウ:根が真面目なんで、そうなっちゃうんですよね。
2BOY:作詞もやるんだ。
クドウ:そうなんですよ。
2BOY:確かに、クドウくんの作る広告って、言葉の力も強いから納得。
――2BOYさんとクドウさんの出会いは?
クドウ:2BOYさんのことは地元の秋田にいた高校時代から知っていました。モデルとして『TUNE』や『CHOKiCHOKi』といった雑誌に出られていて、「東京にはこんなにお洒落な人がいるんだ」って思っていましたね。実際にお会いしたのは東京の大学を卒業して今の会社に入ってから。2BOYさんが所属しているASOBISYSTEM主催のパーティーに私が遊びに行ったときでしたっけ?
2BOY:お酒が入っていたことは覚えてるんだけど、酔っぱらってるからいつが最初かは覚えてない(笑)。けど気が付けば仲良くなってたみたいな。
――2BOYさんが今回クドウさんを指名したのはなぜですか?
2BOY:これまでは音楽の表舞台に立つ人ばかりだったから、ぼくと近いクリエイティブの仕事をしている人と話したかったんですよね。そのなかでももっとも尊敬できる人がクドウくん。
クドウ:そんなふうに思ってくれてたんですね。嬉しい。
2BOY:自分はクリエイターの友達が少ないから、若い役者さんとかが居酒屋で演技について語る、みたいなことをやってこなかったの。だから今回はクリエイターとしてのクドウくんと話をしてみたくて。
――そして今日は、お二人のルーツのひとつである原宿の街を一緒に歩いてもらいました。広告を作る人から見た原宿って、私たちとは見え方がまた違っているような気がするんですけど。
2BOY:僕は毎日この街に通っていて、流行の変遷をグラデーションで感じてきました。原宿にいることは日常だからそこまで意識してなんですけど、それでも学ぶことが多い。そんな印象ですね。クドウくんは?
クドウ:田舎から出てきた頃は、お洒落な人たちがたくさんいて、見学させてもらうような気持ちで通ってましたね。そこで「ここ、やたらお洒落な人たちがたくさん集ってるな」と思ったのが表参道のローソン。ストリートスナップのメッカ的な場所になっていて。
2BOY:撮られたくてあそこの前を行ったり来たりする人が多かったよね。
クドウ:それが僕です(笑)
2BOY:最初の服装がだめだったら、トイレで着替えてもう1回歩く人とかも、けっこういた気がする。
クドウ:会社に入ったばかりの頃はお堅い広告の仕事が多くて、そういう原宿周りのカルチャーは趣味であり憧れで。でも、徐々にそっち方面の仕事も増えてきて、嬉しかったですね。
2BOY:まあ、クドウくんなら自然とそうなっていくだろうね。
クドウ:それがそんなことないんですよ。そっち方面の仕事がしたくて、知り合いを作って必死に食らいついてましたよ。けっこう努力しました。
2BOY:努力っていう言葉が似合わないイメージ。
クドウ:気づかれたくはないですよね。めちゃくちゃ勉強したのに「ぜんぜん勉強してないわ~」とか言いながら、100点取りたいタイプなんで。
2BOY:もっと感覚的、センスの人だと思ってた。
クドウ:秋田の公務員一家生まれですから、どうあがいてもお洒落の血なんてないですよ(笑)。計算して「この格好ならOKでしょ?」みたいな感じ。
2BOY:自覚的に考えてるんだ。
クドウ:カルチャーはちゃんと好きなんですよ。そのうえで、完全に左脳タイプ。考えないとできないんですよね。
2BOY:意外だなあ。実際の仕事、クリエイティブに対するスタンスは?案件によってケースバイケースだとは思うけど。
クドウ:内から出てくる「こういう表現がしたい」っていうゼロイチの発想があまりなくて、そういうのがあれば広告クリエイティブじゃなくてアーティスト、音楽なり絵なりをやっていたと思います。それよりも課題があって、それらをどうやって解決するのかを考えるほうが頭が回るんですよね。
2BOY:それは自分も同じだ。ドラえもんの大山のぶ代さんの声を初めて聞いた藤子不二雄Aさんが、「これだ」って思ったみたいな、そういう作者本人だけでは思いつかないアイデアで、内側の人が納得できる、受けても親しめるイメージを生み出したいタイプで、自分がゼロから表現したいことって、なんだよね。
クドウ:基本的なスタンスはずっとそうで、そのなかで考え方が変化してきた感じですね。昔は、例えばCMを作るとき、あまり知名度のあるタレントさんやアーティストを起用したくなかったんですよね。やれることに縛りもできるし、その人の情報が強すぎるから、もっと純粋に自分のアイデアだけで勝負したいと思ってたんです。けど、今はそうは思わなくて。CMであってもミュージックビデオであっても、フィーチャーすべき対象のイメージが確立されている場合は、その魅力をどれだけ伝えることができるか、まだ知名度的にもイメージが確立されてない場合は、そこから一緒に考えてどれだけヒットに寄与できるか、目的はいろいろありますけど、そのどれもにやりがいを感じられるようになりました。
2BOY:クライアントとのコミュニケーションは?
クドウ:ある商品があったとして、その魅力を余すところなくすべて感じてもらうことがクライアントの基本的な意向なんですけど、たいていのユーザーはそこまでの興味はないじゃないですか。
2BOY:使った結果であって、うんちくを知ろうとする人は少ないよね。
クドウ:そうなんです。でもクライアントはなんとか100を言いたい。でもそれで10しか伝わらないなら、50言って50伝わるラインを狙って残りの50でユーザーがおもしろがることをやる方がハッピーですよねっていう。商品のことはクライアントがいちばん詳しいに決まってるから、僕はそのなかでユーザー目線のプロとして「こんなことを言ったらユーザーはおもしろがりますよ」と、提案することが大切だと思っています。
2BOY:会議みたいになってきたね(笑)
クドウ:2BOYさんがふざけていいって言ってくれたのに、やっぱり根の真面目さが出ちゃう(笑)
――そんなお二人が、これから一緒にやりたいことは?
2BOY:自分は入り口のアイデアだけ作って、あとはクドウくんに任せて楽したいなあ。って言うと聞こえが悪いけど、今は自分で考えたことをぜんぶ自分でやりたいっていうはなくて、信頼できる人と組むことで、もっとドキドキしたいんだよね。自分の考えたことに自分の考えもしなかったことが乗るとどうなるか。
クドウ:それわかります。僕ら代理店はクライアントからの依頼があって、机の上でものを考える傾向が強いけど、2BOYさんのいるASOBISYSTEMって、土地のカルチャーに根差した自社コンテンツも持っていることが強みだと思うんです。だからこその説得力がある。自分自身もそういう意味での当事者意識を持ってやれる環境はもっとほしいですね。ああ、やっぱりぜんぜん冗談言えない(笑)
――街ぶらロケとインタビューのギャップがいいですよね。
2BOY:クレープ食べながらね(笑)。具体的に何かやりたいことある?『CHOKiCHOKi』復活とか。
クドウ:ファッションスナップも商業的な感じになってきているじゃないですか。ヤバいヤツらというか、再現性のない個性に目を向けたファッションを紹介するメディアがほとんどない気がしていて。
2BOY:言いたいことはわかる。個性的でお洒落な人が減ったわけではないからね。原宿で言えば、その土地に根付いた人たちが発信するものって昔は昔、今は今でカッコいい。時代は回るていうじゃない?それって螺旋階段みたいなもので、上から見たら何かのリバイバルが回ってるんだけど、ちゃんと登っていってるというか、ハイブリッド感がアップデートされてる気がする。そういうところにちゃんとフォーカスした発信はしたいよね。
クドウ:そういうニュアンスが体感できる場所、2BOYさんとか周りのクリエイターが曜日ごとに立つお店とかどうですか?お酒があってカラオケがあって、そういう日常的な遊びになかにイケてるひとたちの私物もフリマ的に売ってるとか。
2BOY:いいと思う。ファッションや音楽、べニューの繋がりから生まれるカルチャー。そういう概念に触れることができたらいいよね。それと同時に、我々の文化圏とは全く違うことも並行してやってみたい。自分は長野でクドウくんは秋田、お互い田舎出身だし、農業やって野菜作ってパッケージも考えるとか。クリエイティブユニットとしての新しいかたちを模索してみたい。どう?
クドウ:いいですね。あらためてもっと具体的に何がやりたいか、ざっくばらんに話しましょう。
PROFILE
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クドウナオヤ
クリエイティブディレクター / CMプランナー /コミュニケーションデザイナー
1989年 秋田県生まれ。
TVCMから、SNS施策、プロダクト開発など様々な領域を越境した企画をがんばる。ano「ちゅ、多様性。」をはじめ、幾田りら、櫻坂46 など、音楽アーティストのMV制作や監督、作詞、プロデュース等もがんばる。NY広告祭の若手コンペで世界一になるなど、国内外の様々な広告賞を受賞。孫の服を着たら一夜にして世界的ファッションアイコンとなった「シルバーテツヤ」の“生みの孫”としてTED TALK等で登壇。最近ハムスターを飼い始める。名前は「肉ピ」。





