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#ART & CULTURE

CINEMA FREAK!! Vol.26 番外編『パリからロンドンへ、「SCRT®︎」を追いかけた日々の記録』

Text:Mikiko Ichitani

Edit:FREAK MAG.

映画館で上映中の話題作から、ちょっとニッチなミニシアター作品、おうちで観ることのできる配信作品など数多ある映像作品の中からライターの独断と偏見で、いま観てほしい一本を深掘りする「シネマフリーク!!」。

 

番外編でお届けする今回は、オンライン上で長らく気になっていたロンドンのストリートウェアブランド「SCRT®︎」のイベント潜入レポートをお届けします。

みなさんは「SCRT®︎(エスシーアールティー)」を知っていますか?

『エターナル・サンシャイン』や『サブスタンス』といった新旧問わず人気の映画モチーフをクールなグラフィックでデザインに落とし込んだ個性豊かなアパレルやグッズが魅力的なストリート&ワークウェアブランド。私はインスタグラム広告をきっかけに1年くらい前からフォローしていました。

 

日本でもいくつかのショップで取り扱われている「SCRT®︎」ですが、日本でキャッチできる情報はかなり少なめ。一体「何者なんだ?!」と思っていたところ、ちょうどパリとロンドンに旅行で訪れるタイミングでさまざまなイベントが開催されていたので、推し活さながらのフットワークの軽さでいくつか参加してきました。

まずは、ファッションウィークに合わせてオープンしたパリのショールームのレセプションイベントへ。彼らのイベントでは先着制でフリーTシャツなどの特典などがあるようで、オープン前から長蛇の列が!

 

ファッションウィークに集まった世界中のファッショニスタから、カルチャーギークまでさまざまな人々が集まり、思い思いの個性的なファッションを狙ってスナップを行うフォトグラファーの姿も。

 大盛況の会場では、ジャズバンドのライブや先行発売していた新作のトランプにかけてマジシャンがパフォーマンスを実施。コンパクトな空間ながらファッション、そしてポップカルチャー好きの心をくすぐるコンテンツに大興奮の夜でした。

別の日には、ショールームで新作アイテムなどを使ったカスタムイベントも。

事前予約制になっていて、ゆったりと新作ルックを見ることができました。

 

2026秋冬のテーマは「NO HAY BANDA」。昨年亡くなったカルト映画の巨匠、デイヴィッド・リンチの名作『マルホランド・ドライブ』のなかで、音楽や歌が録音されたものであることを示す、幻想と現実の境界をテーマにした象徴的なシーンから由来しているそう。映画の世界観を表現するグラフィックやプロップが配された空間では、アイコニックなキャップやTシャツ、そのほか幅広いラインナップがラックに並んでいました。

 この日のお目当ては、Tシャツやキャップのカスタムイベント。

予約をしておけば誰でも参加できて、ショールームの壁に貼られていた「NO HAY BANDA」コレクションのグラフィックのシートからデザインを切り取って缶バッジを作ったり、その場で購入したTシャツやキャップにデザイナー自らクラッシュ加工をしてくれるというスペシャルなDIYを体験することができるとのこと。

私はアイコニックなキャップを購入して、せっかくなのでDIYフルコースをオーダー。

缶バッジ用のグラフィックシートは本当にさまざまなデザインパターンがあり、どう切り取るかで印象ががらりと変わります。とてもシンプルなフローだけれどデザイン力が試されるというか、大袈裟でなくめちゃくちゃ悩みました。

 

正直全く英語が話せない私にも、スタッフのみなさんが優しくフォローしてくれて、「これはこのシーンのイメージなんだ。これもおすすめだよ」とレコメンドをくれる場面も。

 続いて、商品を含むさまざまなデザインのなかから好きなピンバッジを選んで、キャップに装着!最後はクラッシュ加工です。

 

「どんな感じにしたい?」と聞かれて、ちょっと悩みましたが、こんな機会はなかなかないから思いっきりやってくれとオーダー。フロントを中心にダメージを加えて、最後にシリアルナンバーを入れたら完成。スーパーかっこいい私だけのオリジナルキャップができました!

 パリでは、「Le Gland Rex」という映画館を貸し切って、『マルホランド・ドライブ』の上映会が行われたのですが、チケットが完売していたため参加を断念。

すると、友人から私がロンドンに滞在している間に現地で上映会があると連絡をもらい、すぐさまチケットを購入してロンドンへと向かいました。

1909年からハックニーで上映を続ける独立形の映画館「RIO CINEMA」で開催されたのは、mubi配給の映画『DIE MY LOVE(原題)』の上映会。

 

開場の30分前に着いたのですが、ここでも長蛇の列に。前述のイベントやヨーロッパの映画館をいくつか回って感じたのですが、会場の外まで列ができているってなんか盛り上がっている感じがしていいですよね。それは旅先だからなのかもしれないけれど、待っている間にあーだこーだ好きなことを話すカップルや友人たちがいて、みんなこの後の体験に向けて高揚感を共有しているみたいな。

今回のイベントでは、チケット代のなかにドリンクとポップコーン、そして先着でオリジナルのパンフレットが含まれていて、入場してすぐにパンフレットとノベルティのオリジナルステッカーをゲット。

 

海外では日本のようなパンフレット文化はあまりないので、プロダクションノートなどが収められた冊子というのはとても貴重だなと思いました。そして、もちろんデザインがいちいちかっこいい。

この日は2階席と1階席合わせて最大400席が並ぶ2層構造のメインスクリーンで開催。各座席にはmubiのオリジナルトートバッグがずらーっと並んでいて、少数精鋭のスタッフたちが直前まで準備していたのかと思うと、観客たちをとことん喜ばせたいというホスピタリティに改めて感激!

 

最初に全部渡して終わりというフローもできたはずなのに、視覚的にも体験としても印象に残る方法を選んでいるということに心を打たれました。

上映された『DIE MY LOVE』は『少年は残酷な弓を射る』で知られる、イギリスの映画監督リン・ラムジーの最新作で、ジェニファー・ローレンスとロバート・パティンソンが産後うつといった経験を通して崩壊していく若いカップルの姿をセンセーショナルに演じたスリラー コメディです。

 

ジェニファー・ローレンスの生き生きとした狂いっぷりも、ロバート・パティンソンのやるせなさもたまらなくいい!

ところどころで笑いの起きていた口論シーンは英語力の乏しさから理解が追いつかなかったので、日本での公開を楽しみに待ちたいと思います。

 ちなみにここ「RIO CINEMA」は、70年代から地域のコミュニティ運営に力を入れた慈善団体としても活動していて、フェミニズム映画の特集上映やケアラーズ&ベビーズクラブと名付けた0歳児と保護者のための上映会、難聴障害を持つ方のための特別上映など、さまざまなコミュニティに対して広く映画カルチャーの門戸を開いています。

LGBTQIA+への支持やレイシズム反対の立場も示していて、現代の多様な社会におけるセーフスペースとして50年に渡って活動を続けてきた場所なのだそう。館内に貼られたイベントのポスターもユニークで、DJイベントやレイヴパーティーなど映画というジャンルを超えて人々をつなぐ役割を担っているのだと感じました。

 

上映後は多くの観客たちがバーフロアやカフェスペースに残って思い思いに感想を話したり 、「SCRT®︎」のスタッフと交流したりと、かなりオープンな空気感だったのが印象的でした。

日本だと音楽のライブやなにかしらのイベントは会場の時間の制約もあって、参加者同士の交流といったコンテンツはなかなか発展しにくい感覚がありますが、今回ヨーロッパで参加したいくつかの鑑賞イベントでは、前後に交流するための空間と時間が用意されていて、自由に感想を述べたり、対話ができることが当たり前という印象。

 

最近よく思うのですが、映画って誰かの批評やランキングに習った感想ではなくて、もっと自由に解釈していいし、もっと自分の感覚に沿って純粋に楽しんでいいはずなんですよね。SNSでは他者の意見に合わせた感想が目立つけれど、映画を通して自分の考えや思想、日常の感情の機微と向き合い、自分らしい言葉で整理してアウトプットすることで、コミュニケーションのきっかけにすることができるんじゃないかなって改めて感じました。

オフラインでもっともっとソーシャルな場が増えていけば、きっともっと日常が楽しくなるし、社会や他者への理解も深まるはず。そういったコミュニティ作りをロンドンの一角から世界に向けて発信している「SCRT®︎」の今後の活動をこれからも追いかけていきたいなと思います。

ショーディッチにある旗艦店

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