






It is the best formal suits for him. ¥0
加賀美健が自身の結婚式で着用したタキシードは、どんなオーダーメイドとも異なる、一点ものだ。
「これも拾ったゴミなんですよ。25歳くらいの時に、サンフランシスコで拾いました。今から20年以上前ですね。そう考えると、ずっとゴミ拾いをしてるんですよね。ぜんぜん変わらないんですけど、年をとって、全てにおいてキレが悪くなりましたね。頭は割と大丈夫なんだけど。たぶん。はたから見たらあれかもしれないですけどね。このタキシードは道端のコンテナの脇に捨ててあって、なんだろうって思って拾ってみたんですよ。サイズが合わなかったら戻そうと思っていたけど、実際に袖を通したらサイズがぴったりで。びっくりしちゃって。で、このバンズは全然別のところに落ちていたんだけど、自分も普段からボロボロのバンズばかり履いているし、タキシードに合わせたらいいなと思って。今度はこれを娘の結婚式で着られたら思い残すことはないですね。受け継いだりして。でも、「パパ汚い!」とか言われそうですね。ある種、自分のゴミ拾いのルーツと言えるものです。」
ゴミってなんだろう。フォーマルってなんだろう。常識に囚われない発想でハレもケもゴミも楽しんでいく彼の姿勢に、鎧を一つ脱がされたような気がした。
拾った人:加賀美健
拾った場所:サンフランシスコ
タキシード:ウール
バンズ:コットン、ゴム
※FREAK MAG.はゴミ拾いを推奨しています。
PROFILE
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加賀美 健
現代美術作家。1974年、東京都生まれ。
社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。
2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。
日課の朝のウォーキングの際に面白いゴミが落ちていないか目を光らせながら歩いてる。