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「ピンクの象のことを想像しないでください」と言われて、そうしないでいられる人はどのくらいいるだろう。それは頭の中を占拠し、人それぞれの意識の中で自由に動き出す。頭の中のことは誰にもわからない。想像力は、人の持つ最も素晴らしく、恐ろしい道具だ。だからこそ、加賀美健は、ゴミを拾うとき、「自分の頭の中で想像しないもの」に惹かれると語る。
「何でこんなところにこんなものが落ちているんだろう?と思って、拾ってみるんです。缶とかはよく見かけるけれど、トイレのティッシュカバーを拾ったことがあって。普通、道に落ちることはないじゃないですか。自分の頭の中で想像しないものに魅力を感じますね。
この灰皿は、道路に落ちていたんです。何が落ちているんだろうと思って気になって。そしたら灰皿だった。車に何度も轢かれたんですかね。造形がとにかくかっこいいし、スタンダードな灰皿なのが気に入っています。たばこを吸える場所が減っていて、こういうものを見かけることも減りましたね。」
現実に存在する、想像力の外側にはみ出たものを見つけて、おもしろがる。こういう技術を持っていると、生活の中にニヤニヤできる瞬間が増えてゆく。誰かに評価されることのない、自分だけが知っている「ニヤニヤできるポイント」を守ろう。2024年も、想像力と、ユーモアと、ゴミ拾いの習慣を大切に。
PROFILE
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加賀美 健
現代美術作家。1974年、東京都生まれ。
社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。
2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)ストレンジストアをオープン。
日課の朝のウォーキングの際に面白いゴミが落ちていないか目を光らせながら歩いてる。