唯一無比。つまり、誰にも似ていない表現性やセンスをまとっている音楽家の装い。そのファッションスタイルには、どんなバックグラウンドとストーリー、譲れないこだわりがあるのかを、フォトセッションとインタビューで紐解く連載。
第7回に続き登場するのは、松浦大樹。今回のスタイリングのテーマは、黒を基調にした勝負服であり、武装服であり、特攻服であり、あるいは特効服。撮影は筆者の事務所スペースで行った。ぜひ前回と併せて彼の音楽とファッションにまつわるアイデンティティに触れてほしい。
オカンがスナックに立つときに勝負服的に黒の着物を纏っていたことがあって、それがすごく似合っていたんです。酒とタバコと化粧に、黒が映えるというか。俺の中で黒は品がいいというイメージがあるし、黒の服を着るとすごく引き締まるんですよね。だから、saccharinでもステージ衣装は黒で統一していて。
やっぱり服って自分のアイデンティティが反映されるし、俺の場合はじいちゃんの話(前回にエピソードを掲載)もそうだけど、オカンであり家族の影響がありますね。じいちゃんもオカンもその服を纏うことで強くなっていたから。俺はそういう姿を信頼していたんです。オカンもじいちゃんもめっちゃピュアな人なんですけど、店や病院ではちゃんと武装する。その一方で、そうしないとやっていけないという部分があったと思うんです。今振り返っても、その姿勢がカッコいいなと思います。
このスタイリングはsaccharinとしてステージに立つときにも通じる黒を基調にした勝負服であり、武装服であり、特攻服、あるいは特効服という感じです。ジャケットとトップスはNICHOLAS DALEYというブランドのアイテムです。ここもすごく品のいいアイテムを作っていて、大好きなブランドです。パンツは渋谷の_&Co.というヴィンテージ&セレクトショップで買ったものです。渋谷で黒いアイテムを集めたかったら、ここ一択ですね。
今、She Her Her Hersが中国を筆頭にアジア圏での求心力を得て、国ごとにエージェントがいて協力してくれているなかで、ここからどんどんいろんな土地に行ってライブをやりたいと思ってます。アメリカやヨーロッパもいずれ行くタイミングがくると思うし。結局、俺も周りの仲間も音楽が大好きだから。真摯に音楽を作り続けて、それをカッコいいと言ってもらえる土地やカルチャーを広げていく。その追い風みたいなものを、仲間たちより少し先にアジア圏で感じられていると思うので、みんなの先導役みたいになるのも自分の挑戦としてやってみたいですね。
PROFILE
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松浦大樹
茨城県出身のドラマー/シンガーソングライター。ドラマーとして数々のライブやレコーディングの経験を積み、2013年に正式加入したShe Her Her Hersではバンドのブレインとしても手腕を発揮している。現在はドラマーとして、TENDRE、Michael Kaneko、小原綾斗とフランチャイズオーナー、奇妙礼太郎などのサポートを務める一方で、2021年に始動したソロプロジェクト、saccharinでは原風景にあるスナックの生々しい匂いや情景、物語をどこまでも独創的なNEW POPとして昇華し、現代に響かせている。
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